介護保険でレンタルできる福祉用具13種類|選び方・使い方を専門相談員が解説

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この記事の位置づけ:この記事は、介護保険でレンタルできる福祉用具13種類を詳しく比較したい方向けの主力ガイドです。まず全体像だけ知りたい方は、初心者向けの早わかり記事から読むと理解しやすくなります。

福祉用具制度関連記事の役割整理
この記事は「介護保険でレンタルできる福祉用具13種類」を詳しく確認する中心記事です。まず短く全体像を見たい場合ははじめての方向け早わかりガイド、購入対象の福祉用具は特定福祉用具販売とは?、レンタルと購入で迷う場合はレンタルと購入の判断ガイドを確認してください。

「介護保険でレンタルできる道具があると聞いたけど、何が借りられるの?」「似たような商品がたくさんあって、どれを選べばいいかわからない」——そんな疑問を持つご家族はとても多いです。

福祉用具専門相談員として15年以上、数百件の介護現場をサポートしてきた経験から、介護保険でレンタルできる福祉用具の全13種類について、選び方・使い方・同じジャンル内の製品の違いまで徹底的に解説します。

  1. 介護保険の福祉用具レンタルとは
  2. レンタルできる福祉用具13種類一覧
  3. ① 車いす|自走式・介助式・電動の違いと選び方
    1. 【種類の違い】自走式 vs 介助式 vs 電動
    2. 【専門相談員の選定ポイント】
  4. ② 車いす付属品|クッションとアームサポートの重要性
    1. クッション素材の違い(専門相談員の視点)
  5. ③ 特殊寝台(介護ベッド)|モーター数の違いを理解する
    1. 【1モーター・2モーター・3モーターの違い】
    2. 「背上げ」と「膝上げ」を同時に使う意味
    3. 【専門相談員の選定チェックリスト】
  6. ④ 特殊寝台付属品|マットレス・サイドレール・テーブルの選び方
  7. ⑤ 床ずれ防止用具(体圧分散マットレス)|素材で変わる効果
    1. 【静止型 vs 動的エアマットの違い】
  8. ⑥ 体位変換器|クッションとパッドの使い分け
  9. ⑦ 手すり(工事不要のもの)|置き型・突っ張り型・ベッド用の違い
    1. 【工事不要手すりの種類と違い】
    2. 【専門相談員が重視する設置のポイント】
  10. ⑧ スロープ(工事不要のもの)|折りたたみ・アルミ・ゴムの選び方
    1. スロープの傾斜角度と長さの目安
  11. ⑨ 歩行器|固定型・交互型・キャスター付きの違い
    1. 歩行器の高さ調節と使い方のポイント
  12. ⑩ 歩行補助つえ(多脚杖など)|杖の種類と選び方
    1. 杖の長さ(高さ)の正しい設定方法
  13. ⑪ 認知症老人徘徊感知機器|センサーの種類と設置場所の考え方
  14. ⑫ 移動用リフト|床走行式・天井走行式・スタンディングリフトの違い
    1. つり具(スリング)の種類と選び方
  15. ⑬ 自動排泄処理装置|種類と使用条件
  16. 軽度者(要支援1・2・要介護1)の取り扱い注意
  17. レンタル開始までの流れ
  18. 福祉用具レンタルの価格目安(2024年度)
  19. 専門相談員が伝えたい「用具選びの失敗あるある」
  20. まとめ:福祉用具レンタルは「状態に合わせて柔軟に使う」のが正解
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介護保険の福祉用具レンタルとは

介護保険の福祉用具レンタルとは、要介護・要支援の認定を受けた方が、月額レンタル料の1〜3割の自己負担で福祉用具を借りられる制度です。購入と異なり、状態変化に応じていつでも交換・返却できるのが最大のメリットです。

項目内容
対象者要支援1・2、要介護1〜5の認定を受けた方
自己負担レンタル料の1割(所得により2〜3割)
手続きケアマネジャーにケアプランへ組み込んでもらう
業者選定指定を受けた福祉用具貸与事業者から選ぶ
価格の目安全国平均貸与価格・上限価格が厚労省により公表
💡 2024年度改正ポイント:「貸与と販売の選択制」が導入され、固定用手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえの一部は、利用者がレンタルか購入かを選べるようになりました。

レンタルできる福祉用具13種類一覧

#種目対象介護度
1車いす要介護2以上(例外あり)
2車いす付属品要介護2以上(例外あり)
3特殊寝台(介護ベッド)要介護2以上(例外あり)
4特殊寝台付属品要介護2以上(例外あり)
5床ずれ防止用具要介護2以上(例外あり)
6体位変換器要介護2以上(例外あり)
7手すり(工事不要のもの)全介護度
8スロープ(工事不要のもの)全介護度
9歩行器全介護度
10歩行補助つえ(多脚杖等)全介護度
11認知症老人徘徊感知機器要介護2以上(例外あり)
12移動用リフト(つり具の部分を除く)要介護2以上(例外あり)
13自動排泄処理装置要介護4以上(例外あり)

※要支援1・2、要介護1の方(軽度者)はいくつかの種目に制限があります。詳しくは後述します。

① 車いす|自走式・介助式・電動の違いと選び方

車いすは福祉用具の中でも最もバリエーションが多く、利用者の身体状況・生活環境・使用目的によって選ぶべき種類が全く異なります。

【種類の違い】自走式 vs 介助式 vs 電動

種類特徴こんな方に向いている注意点
自走式後輪が大きく、自分で漕げる上肢の力がある・室内を自分で移動したい方幅が広くなりやすい・廊下の広さ要確認
介助式後輪が小さく軽量介助者が押して使う・外出用に使う方自走はできない・段差に弱い
電動車いすジョイスティック等で操作上下肢に障害がある・長距離移動が多い方操作能力の確認が必要・充電が必要
リクライニング式背もたれを倒せる長時間乗る・姿勢保持が難しい方重くなる・奥行きが長くなる
ティルト式座面ごと後ろに傾く体圧分散が必要・ずり落ちやすい方さらに重くなる・使いこなすには慣れが必要

【専門相談員の選定ポイント】

  • 座幅の選び方:座面に座ったとき、お尻の両側に指2本分(約5cm)の隙間ができるサイズが基本。広すぎると姿勢が崩れ、狭すぎると圧迫で褥瘡リスクが高まります。
  • 座面高の選び方:足が床にしっかりつき、膝が90度になる高さ。足こぎで移動する方は低めに設定します。
  • フットサポートの高さ:膝から足首が90度になるよう調整。高すぎると大腿部への圧迫、低すぎると足がぶらぶらします。
  • 廊下幅の確認:標準的な車いすの幅は約60〜65cm。廊下は75cm以上あれば通過可能ですが、曲がり角は要注意です。

⚠️ よくある間違い:「とりあえず標準サイズ」で選んでしまうケースが多いのですが、体格に合わない車いすは褥瘡・姿勢悪化・転落リスクにつながります。必ず身体計測をして選定してください。

② 車いす付属品|クッションとアームサポートの重要性

車いす本体とセットで活用することで、乗り心地・褥瘡予防・姿勢保持が大きく改善します。

付属品目的選び方のポイント
クッション(座面)褥瘡予防・乗り心地向上長時間乗る方・皮膚が弱い方は必須。素材はウレタン・ゲル・エア・ウォーターなど
バックサポート背中の姿勢保持体幹が弱い方。形状が体に合うか要確認
アームサポート(肘かけ)姿勢安定・移乗補助デスクの下に入れる際は「跳ね上げ式」が便利
レッグサポート足の保持・むくみ軽減浮腫がある方は高め設定。取り外し可能なものが移乗しやすい
テーブル食事・作業用車いすに固定するタイプ。アームサポートが邪魔になることも

クッション素材の違い(専門相談員の視点)

素材特徴向いている方デメリット
ウレタンフォーム軽量・安価・扱いやすい比較的短時間の乗車長期使用で劣化・圧分散効果は中程度
ゲル+フォーム体圧分散性が高い・安定感あり長時間乗車・皮膚リスク中程度やや重い
エア(空気)圧分散性最高・姿勢調整可褥瘡リスクが高い・すでに褥瘡がある方空気圧の管理が必要・安定感が低下
ウォーター(水)体圧分散◎・冷感効果あり夏場・高熱がある方にも重い・破損リスクあり

③ 特殊寝台(介護ベッド)|モーター数の違いを理解する

介護ベッドは、モーター数によって動かせる部位と使い勝手が大きく異なります。これが選定で最も重要なポイントです。

【1モーター・2モーター・3モーターの違い】

モーター数動く部位こんな方に向いている月額レンタル目安
1モーター背上げのみ起き上がり補助が主な目的・自分でベッドから離れられる方約1,000〜2,000円/月(自己負担)
2モーター背上げ+高さ調節介助者の腰痛予防も必要・立ち上がり動作に課題がある方約1,500〜3,000円/月(自己負担)
3モーター背上げ+膝上げ+高さ調節長時間臥床・褥瘡予防・ポジショニングが必要な方約2,000〜5,000円/月(自己負担)

「背上げ」と「膝上げ」を同時に使う意味

3モーターの特徴である背上げ+膝上げの同時動作は非常に重要です。背上げだけ行うと体が足元にずり落ちてしまいますが、膝を同時に上げることで「ずれ防止」になります。これが褥瘡予防と姿勢保持に直結します。

寝たきりに近い状態の方や、食事を半座位でとる方には、3モーターが強く推奨されます。

【専門相談員の選定チェックリスト】

  • ✅ 寝室の広さ(シングルサイズ:約200×100cm、ゆとりが必要)
  • ✅ サイドレールの位置(ベッドから転落しないか・起き上がりの補助になるか)
  • ✅ リモコンの操作性(認知症の方はシンプルなものを選ぶ)
  • ✅ マットレスの硬さ(軟らかすぎると沈み込みで褥瘡リスク・硬すぎると体圧集中)
  • ✅ ベッドの高さ(介助者の腰の高さに合わせると介助が楽)

④ 特殊寝台付属品|マットレス・サイドレール・テーブルの選び方

付属品役割選び方のポイント
マットレス体圧分散・寝心地単体の床ずれ防止マットレスとは別扱い。ベッドに合うサイズを選ぶ
サイドレール転落防止・起き上がり補助差し込みタイプとL字固定タイプがある。認知症の方は取り外し防止型を
ベッド用テーブル食事・作業用オーバーテーブル(上から覆う)とサイドテーブルがある。高さ調節機能確認を
介助バー立ち上がり補助ベッドフレームに挿して使う。位置の調節が重要

⑤ 床ずれ防止用具(体圧分散マットレス)|素材で変わる効果

特殊寝台の付属品(通常マットレス)と異なり、床ずれ防止に特化した医療・介護グレードのマットレスです。既に床ずれができている方、褥瘡リスクが高い方に使用します。

【静止型 vs 動的エアマットの違い】

種類仕組み対象者使用上の注意
静止型(高機能ウレタン)素材の弾性で体圧分散体位変換できる・褥瘡リスクが低〜中程度素材の劣化に注意。3〜5年で交換
静止型(ゲル)ゲルが体型にフィットして圧分散皮膚が弱い・軽度〜中等度リスク重い・洗浄が必要
動的エアマット(交互圧式)セルが交互に膨らみ・縮み、圧を移動させる2時間ごとの体位変換が困難・中〜高リスクポンプ音がする・異常音に注意
動的エアマット(ローエアロス)常時空気を微量漏らし続ける重度褥瘡・ずり摩擦が強い方定期的な空気圧確認が必要

⚠️ 専門相談員からの注意:交互圧式エアマットは体圧分散効果が高い反面、「底付き」(空気が抜けきって直接ベッドに当たる状態)が起きると逆効果になります。手のひらを差し込んで確認するか、適切な体重に合った圧設定を行ってください。

⑥ 体位変換器|クッションとパッドの使い分け

体位変換器は、寝返りができない・しにくい方の体位を変えるためのクッション・パッド類です。2時間ごとの体位変換を安全・楽に行うためのサポート用品です。

種類特徴使用シーン
くさびクッション三角形・台形のウレタン。背中や腰に当てて側臥位を保持ベッド上での側臥位保持・スモールポジショニング
体位変換グローブ・シート摩擦が少なく、少ない力で体を動かせる介助者の腰痛予防・スライディング移乗
エアパッド型空気で膨らませて体の下に滑り込ませる体重が重い方の体位変換

💡 活用のコツ:体位変換器は単独で使うより、床ずれ防止用マットレスと組み合わせることで効果が上がります。ポジショニングは「骨突出部への圧迫を避けること」が基本原則。踵・仙骨・大転子・肩甲骨を特に意識して配置しましょう。

⑦ 手すり(工事不要のもの)|置き型・突っ張り型・ベッド用の違い

介護保険でレンタルできる手すりは「工事不要のもの」に限られます。壁に固定する工事が必要な手すりは「住宅改修」として別途申請が必要です。

【工事不要手すりの種類と違い】

種類特徴設置場所注意点
置き型(床置き式)重りやベース板で固定。ネジ不要玄関・リビング・寝室床面が平坦でないと安定しない
突っ張り型(縦型)天井と床で突っ張って固定リビング・寝室の立ち上がり補助天井強度の確認が必要。天井が弱い場合は不可
ベッド用サイドレール兼用型介護ベッドのフレームに差し込むベッド脇の立ち上がり補助特殊寝台付属品として扱われることも
玄関用(段差補助スロープ付き)玄関の上がり框(かまち)に対応玄関高さが合わないと効果なし
トイレ用(据置型)便器の横に設置するL字・縦型トイレ便器の形状・位置によって選択肢が限られる

【専門相談員が重視する設置のポイント】

  • 高さ設定:立った状態で手首の高さが標準。低すぎると前かがみになり転倒リスクが増します。
  • どこで使うか明確にする:「とりあえずリビングに置く」ではなく、「ここからここへの動作を助ける」という動作分析が大切。
  • 握りやすさ:直径32〜35mmが一般的に握りやすい。太すぎると握力が弱い方には不向き。
  • 固定の安定性を必ず確認:設置後に体重をかけて揺れがないか確認。不安定な手すりは転倒の原因になります。

⑧ スロープ(工事不要のもの)|折りたたみ・アルミ・ゴムの選び方

段差をなだらかにして移動をスムーズにするスロープも、工事不要のものに限りレンタル対象です。

種類特徴向いている場面デメリット
折りたたみアルミ製軽量・コンパクト収納可外出先での段差解消・持ち運びが必要な場面継ぎ目で車輪が引っかかることも
一体型アルミ製継ぎ目なし・安定性高い玄関の固定設置・重い車いすにも対応重くて取り扱いが大変
ゴム製(薄型)1〜3cm程度の小段差向けフローリングと和室の段差・敷居の段差大きな段差には対応不可
組み合わせ型複数パーツを組み合わせて高さ調節段差の高さが特殊な玄関設置の手間がかかる

スロープの傾斜角度と長さの目安

スロープは長さが長いほど傾斜が緩やかになります。基本の目安は「段差×6〜12倍の長さ」が目安です。

  • 段差10cmの場合:60〜120cmのスロープ
  • 段差20cmの場合:120〜240cmのスロープ

自走式車いすの場合は緩やかな傾斜(1/12以下、約8度以下)が必要です。介助で押す場合は1/8程度まで許容できます。

⑨ 歩行器|固定型・交互型・キャスター付きの違い

歩行器は「杖より安定感が必要だが、車いすほどではない」方に最適な移動補助用具です。種類の違いを正しく理解することが重要です。

種類特徴・動き方向いている方注意点
固定型(四点歩行器)持ち上げて前に出し、進む。安定性が最も高い筋力・バランスが低下している方・屋内使用持ち上げる動作に腕の力が必要
交互型左右交互に前に進める。自然な歩行に近い片側に力が偏っている方・中等度の歩行困難固定型より不安定感あり
前輪付き(キャスター2輪)前足2輪がキャスター。滑らせて進む持ち上げが困難・床が平坦な方下り坂・不整地では使えない
四輪タイプ(歩行車・シルバーカー)四輪キャスター+ブレーキ・座れるものも屋外歩行・疲れたら座りたい方平坦な舗装路向け。段差に弱い

歩行器の高さ調節と使い方のポイント

  • グリップの高さ:立った状態で手首のしわの位置が標準。肘がわずかに曲がる(15〜20度)のが理想。
  • 前傾姿勢への注意:前かがみで歩く方は転倒リスクが高まります。姿勢が伸びるよう高さを調整してください。
  • 狭い場所での使用:歩行器の幅(約60cm)が通れる廊下・トイレかを必ず確認します。

⑩ 歩行補助つえ(多脚杖など)|杖の種類と選び方

介護保険でレンタルできるつえは「多脚杖(三点杖・四点杖)」「ロフストランドクラッチ」「松葉杖」などです。一般的なT字杖(一本杖)は対象外となる場合が多いです(2024年度改正により選択制が導入された種目に含まれる)。

種類特徴向いている方
T字杖(一本杖)最もシンプル・軽量軽度のバランス補助・外出時のサポート
三点杖接地面が3点・安定感が高い片麻痺・バランス不良の方
四点杖接地面が4点・最も安定筋力低下が著明・屋内使用が多い方
ロフストランドクラッチ前腕に固定するタイプ握力が弱い・長距離歩行が多い方
松葉杖脇で支えるタイプ骨折後・下肢に体重をかけられない方

杖の長さ(高さ)の正しい設定方法

杖の高さ設定は安全な歩行のために非常に重要です。

  • 基本の設定:立った状態で杖の先端を小指の前方15cmに置いたとき、肘が30度程度曲がる長さ
  • 簡易計算式:身長÷2+2〜3cm
  • 麻痺側と反対の手:片麻痺の方は健側(麻痺のない側)に杖を持ちます

⚠️ 杖が長すぎると肩に力が入り疲れやすく、短すぎると前かがみになり転倒リスクが高まります。

⑪ 認知症老人徘徊感知機器|センサーの種類と設置場所の考え方

認知症による徘徊は、家族にとって大きな不安要素です。徘徊感知機器は玄関・窓・ベッドなどに設置して、異常な動きを感知しアラームや通知を発する機器です。

種類仕組み設置場所特徴
赤外線センサー型人体の熱・動きを感知玄関・廊下通過するだけで検知。誤検知のリスクも
マットセンサー型踏んだ圧力を感知ベッド脇・玄関マット起き上がり・外出の動きを検知
ドア開閉センサー型ドアの開閉を感知玄関ドア・窓外出を確実に検知。誤検知が少ない
離床センサー型ベッドからの離床を感知ベッド上・フレーム転倒防止にも活用できる

💡 専門相談員のアドバイス:機器だけでの安全管理は難しく、近隣への挨拶・地域包括支援センターへの相談・GPS機器の活用(販売品)との組み合わせが現実的です。「感知してから対応する」仕組みを家族全員で共有しておくことが重要です。

専門相談員の確認ポイント
徘徊感知機器は、本人を閉じ込めるための用具ではなく、家族や介護者が早く気づくための見守り用具です。設置場所、通知先、夜間の動線、本人の不安感を確認し、必要に応じて認知症の方への接し方・対応のコツもあわせて見直してください。

⑫ 移動用リフト|床走行式・天井走行式・スタンディングリフトの違い

自力での移乗が困難な方の移動・移乗をサポートする機器です。介護者の腰への負担を大きく軽減します。

種類特徴向いている方設置条件
床走行式リフトキャスターで床を走行。つり具でつり上げるほぼ全介助・寝たきりの方ベッド周囲に操作スペースが必要
天井走行式リフト天井にレールを設置して走行寝たきり・在宅での長期介護天井工事が必要(住宅改修)
スタンディングリフト胸や体を支えながら立位をとらせる下肢に少し力が残っている・立位訓練が必要な方ベッド〜車いす間など比較的狭いスペースで使用可

つり具(スリング)の種類と選び方

リフトと一緒に使うつり具(スリング)は購入種目です(レンタル対象外)。体形・状態に合わせて選ぶ必要があります。

種類特徴向いている方
全身型(ハンモックタイプ)背中・お尻全体を包む。安定感最高筋力がない・姿勢保持困難な方
セパレート型上半身・下半身で分かれる更衣・排泄介助を行いながら移乗する場合
トイレ用スリングお尻が開いた形状リフトのままトイレ介助をする方

⚠️ 安全上の重要ポイント:つり具は利用者の体重・体型に合ったサイズを必ず選ぶこと。小さすぎると滑り落ちのリスク、大きすぎると安定しません。使用前は必ずフック・ストラップの破損がないか確認してください。

⑬ 自動排泄処理装置|種類と使用条件

自動排泄処理装置は、排泄のたびに自動で吸引・処理する機器です。要介護4以上(例外あり)が対象で、寝たきりの方の尊厳ある排泄ケアを支えます。

タイプ特徴対象者
尿のみ対応専用レシーバーで尿を感知・吸引便失禁がない・主に尿失禁がある方
尿・便両対応尿・便とも吸引できる高機能タイプ両方の失禁がある・おむつ交換頻度を減らしたい方

💡 自動排泄処理装置を使用することで、介護者の夜間対応回数を大幅に減らせます。一方で、装置の洗浄・メンテナンスが欠かせません。使用前に機器の洗浄方法を必ず確認してください。

専門相談員の確認ポイント
自動排泄処理装置は、身体状況や排泄パターン、皮膚状態、介護者の負担を確認して慎重に検討する用具です。排泄ケア全体ではポータブルトイレの選び方特定福祉用具販売との違いも確認しておくと判断しやすくなります。

軽度者(要支援1・2・要介護1)の取り扱い注意

要支援1・2および要介護1の方(いわゆる「軽度者」)は、以下の種目については原則としてレンタルが制限されています。

制限対象種目例外的に給付できる場合
車いす・車いす付属品日常的に歩行が困難、日常生活範囲において移動困難 など
特殊寝台・付属品日常的に起き上がりが困難 など
床ずれ防止用具・体位変換器日常的に寝返りが困難 など
認知症老人徘徊感知機器意思の伝達・介護者への反応・記憶・理解いずれかが低下している
移動用リフト日常的に立ち上がりが困難 など

⚠️ 例外給付の手続き:担当のケアマネジャーが「軽度者への福祉用具貸与に係る確認書」を作成し、医師の確認または主治医意見書による判断が必要です。「使いたいのに使えない」と感じた場合は、すぐにケアマネジャーに相談してください。

レンタル開始までの流れ

福祉用具レンタルを開始するには、以下のステップが必要です。

  1. ケアマネジャーに相談:「○○に困っている」「○○が使いたい」と具体的に伝える
  2. ケアプランに組み込む:ケアマネジャーがケアプランに福祉用具レンタルを位置づける
  3. 福祉用具専門相談員が訪問:事業者の専門相談員が自宅を訪問し、身体状況・住宅環境に合わせて用具を選定・提案
  4. 利用者・家族で確認・同意:「福祉用具貸与計画書」に基づいて選定内容を確認
  5. 納品・設置・使い方説明:搬入後、実際に使い方を説明
  6. 定期的なモニタリング:状態変化に応じてプラン変更・用具の調整・交換

💡 重要なポイント:「レンタルしたけど合わなかった」場合はいつでも交換・返却できます。購入と違い、リスクが少ないのがレンタルの最大の利点です。遠慮なく交換を依頼してください。

福祉用具レンタルの価格目安(2024年度)

福祉用具のレンタル価格は、全国平均貸与価格・上限価格が厚生労働省によって公表されており、事業者間の比較が可能になっています。以下は自己負担1割の場合の月額目安です。

種目全国平均貸与価格(月額)1割自己負担目安
手動車いす(標準型)約5,000〜8,000円500〜800円/月
電動車いす約20,000〜40,000円2,000〜4,000円/月
介護ベッド(2モーター)約10,000〜20,000円1,000〜2,000円/月
介護ベッド(3モーター)約15,000〜30,000円1,500〜3,000円/月
エアマットレス約10,000〜25,000円1,000〜2,500円/月
手すり(置き型)約2,000〜5,000円200〜500円/月
歩行器約2,000〜5,000円200〜500円/月
移動用リフト約30,000〜60,000円3,000〜6,000円/月

※価格は商品・事業者・地域によって異なります。上限価格を超える請求は介護保険の対象外となります。

専門相談員が伝えたい「用具選びの失敗あるある」

15年の経験から、現場でよく見かける選定ミスをまとめました。

  • 「とりあえず標準サイズ」で車いすを選ぶ→ 体に合わず褥瘡・姿勢悪化の原因に。必ず計測を。
  • 介護ベッドを1モーターで済ませる→ 介護度が上がったときにすぐ2・3モーターが必要になる。最初から適切なモーター数を選ぼう。
  • スロープが短すぎて急傾斜になる→ 転落・転倒リスクが上がる。段差の高さに合った長さを必ず計算する。
  • 歩行器の高さを調整しない→ 前かがみになり、転倒・腰痛につながる。毎回設置確認を。
  • エアマットの空気圧を確認しない→ 底付きが起きると効果ゼロ。定期的な確認が必要。
  • 徘徊センサーを設置したが通知に気づかない→ 就寝中でも確実に気づける通知設定と体制構築が必須。

まとめ:福祉用具レンタルは「状態に合わせて柔軟に使う」のが正解

介護保険の福祉用具レンタルは、「一度借りたら終わり」ではありません。介護状態は変化するものです。状態が改善すれば返却・ダウングレードできますし、悪化すれば機能が高いものにアップグレードできます。

  • ✅ 全13種目を適切に活用することで、在宅生活の継続・介護者の負担軽減につながる
  • ✅ 「何が借りられるか」よりも「今の状態に何が必要か」が大切
  • ✅ 専門相談員は訪問・提案・交換まで一貫してサポートする専門家
  • ✅ 疑問・不満・相談はケアマネジャーまたは福祉用具専門相談員へ気軽に

「使ってみたけど合わない」「もっと良いものがないか」と感じたら、遠慮なく担当の福祉用具専門相談員に相談してください。それが私たちの仕事です。

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