親が手すりを嫌がる理由と対処法|無理に使わせなくてもOK

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「まだそんなに弱ってない」「家が介護っぽくなるから嫌」「そこまでしなくても歩ける」。手すりをすすめても、親が嫌がることは少なくありません。

※この記事は、元福祉用具専門相談員として実際の相談現場で多かった事例や質問をもとに作成しています。

家族としては転倒が心配でも、本人からすると「急に年を取ったように感じる」ことがあります。しかし実際には、玄関の段差、夜間のトイレ、ベッドからの立ち上がり、廊下の移動など、日常生活の中で不安定になっているケースも多いです。

この記事では、親が手すりを嫌がる理由、無理に使わせない工夫、危険な“つかまり歩き”、手すりを検討したいタイミングを、介護現場でよくあるケースも交えながら解説します。

親が手すりを嫌がるのは自然なこと

まだ必要ないと感じる方も多いです

手すりを嫌がる高齢者はとても多いです。理由は単純ではありません。多くの場合、年寄り扱いされたくない、まだ歩けると思っている、家の雰囲気が変わるのが嫌、「介護が必要になった」と感じる、という気持ちがあります。

特に今まで元気に生活していた人ほど、心理的な抵抗感は強くなりやすいです。家族からすると「安全のため」でも、本人からすると「弱ったと思われた」と感じることがあります。まずは、「嫌がるのは自然な反応なんだ」と理解することが大切です。

家族がやりがちなNG対応

よかれと思って言った言葉が、かえって本人の気持ちを閉ざしてしまうことがあります。次のような声かけは、現場でも「逆効果だった」とよく聞きました。

  • 「危ないから付けて」 → 本人「そんなに弱ってない」
  • 「みんな付けてるよ」 → 本人「自分はまだ違う」
  • 「もう歳なんだから」 → 本人「年寄り扱いされた」
  • 「まだ元気なんだから」 → 励ますつもりでも、「元気な自分が手すりを使うわけがない」という方向に向かってしまうことがあります

「まだ元気なんだから」と励ますより、「最近ちょっと疲れやすそうやね」くらいの言い方の方が、本人もすっと受け止めやすいことがあります。

心配する気持ちから出た言葉でも、本人には「できなくなった」と言われたように聞こえることがあります。まずは責めずに、本人が困っている場面を一緒に振り返るところから始めると、話が進みやすくなります。

実は危険な“つかまり歩き”

つかまり歩きが危険なこともあります

本人は「まだ大丈夫」と言っていても、靴箱、テーブル、ドア、壁、カーテンなどを支えにしていることがあります。しかし、こうした“つかまり歩き”は意外と危険です。

例えば靴箱は、体重をかける前提で作られていません。動いたり、滑ったりして転倒につながることもあります。玄関で不安定さが出ている場合は、玄関の段差が危ないと感じた時の対策もあわせて確認しておくと安心です。

特に多いのが、玄関の上がり框、夜間トイレ、ベッドから立つ時です。「歩けている」ように見えても、実際には不安定になっているケースは少なくありません。廊下を壁づたいに歩くことが増えた場合は、廊下を壁づたいで歩く時の転倒予防も参考になります。

手すりは「歩けない人のもの」ではない

安心して動くためのサポートです

手すりというと、「歩けなくなった人が使うもの」というイメージを持つ方もいます。しかし実際には、立ち上がり、段差昇降、方向転換、夜間移動などを安全にするために使われることが多いです。

つまり、“転ばないため”“今まで通り生活を続けるため”のサポートです。浴室やトイレのように動作が複雑な場所では、早めの対策が安心感につながることもあります。浴槽のまたぎが不安な場合は、浴槽またぎが怖くなった時の対策も確認してみてください。

特に玄関は、段差・靴の脱ぎ履き・方向転換が重なりやすく、転倒リスクが高くなりやすい場所です。早めに対策することで、安心感につながることもあります。

手すり・杖・歩行器の違い比較

状態に合わせて選ぶことが大切です
種類 主な目的 向いている人 特徴
手すり 動作補助 立ち座り・段差が不安な人 家の中の安全対策
ふらつき補助 少し歩行が不安な人 軽く使いやすい
歩行器 歩行安定 杖だけでは不安な人 身体を支えながら歩ける
シルバーカー 外出補助 長距離外出が不安な人 荷物・休憩にも対応

「まだ杖はいらない」「歩行器は大げさ」という場合でも、まずは手すりだけで安心感が変わるケースもあります。杖を嫌がる気持ちへの向き合い方は、親が杖を嫌がる理由と対処法も参考になります。

歩行の不安が強い場合は、手すりだけでなく歩行器も選択肢になります。本人が歩行器に抵抗を感じている場合は、親が歩行器を嫌がる理由と対処法もあわせて確認してみてください。

こんな変化があれば検討タイミング

次のような変化が見られる場合は、手すりを検討するタイミングかもしれません。

  • 玄関で止まる
  • 靴を履く時にふらつく
  • ベッドから立つ時につかまる
  • 夜間トイレが不安
  • 廊下を壁づたいに歩く
  • 浴室のまたぎが怖そう

特に夜間は、暗さや眠気で転倒リスクが上がります。「まだ転んでないから大丈夫」ではなく、“転ぶ前に対策する”という考え方も大切です。

手すりが必要になるサインを、まず確認してみましょう。

手すりはいつから必要?タイミングを見る

工事したくない場合の選択肢もある

工事しないタイプもあります

「壁に穴を開けたくない」「大掛かりな工事は嫌」という理由で、手すりを嫌がるケースもあります。しかし最近は、工事不要タイプも増えています。

本人が工事を嫌がる場合は、固定型だけで考えず、置き型や突っ張り型などから始める方法もあります。まず試してみたい方は、工事不要で使える手すりはこちらで種類を確認できます。

壁に穴を開けずに試せる手すりを探している方は、工事不要手すりの選び方も参考にしてください。

手すりの種類比較

種類 特徴 向いている場所
工事固定型 安定感が高い 廊下・トイレ・浴室
突っ張り型 工事不要 ベッド横・玄関
置き型 移動可能 玄関・立ち上がり補助
屋外用 外階段やアプローチ対応 玄関外

退院直後などは、まずレンタルや置き型で試し、必要なら住宅改修へ進む流れになることもあります。種類や選び方を詳しく見たい場合は、手すりおすすめ|転倒を防ぐ選び方とタイプ別比較も参考にしてください。

置き型・突っ張り型・固定型のどれが合うか迷う場合は、設置場所ごとの違いを見ながら比較すると選びやすくなります。商品を比較したい方は、手すりおすすめ5選も参考にしてください。

現場では、まず工事不要タイプから試して、受け入れられたケースも多くありました。

手すりおすすめ|タイプ別の選び方を見る

設置しても転倒しやすい場合は、手すりの位置だけでなく生活動線の見直しも必要です。詳しくは、手すりを付けたのに転ぶ時に見直したい生活動線で解説しています。

無理に使わせなくてもOK

必要な場所から少しずつでもOK

一番大切なのは、本人の気持ちを無視しないことです。家族は「転ばないでほしい」と思っています。でも本人には、「まだ自分でできる」という気持ちがあります。

  • 否定しない
  • 急に増やさない
  • 必要な場所から試す
  • まずは短時間使う

必要な場所から少しずつ試すなら、いきなり工事を決めなくても大丈夫です。本人が受け入れやすいか確認したい場合は、まずは工事不要手すりを試す方法を見ておくと、家族も提案しやすくなります。

以前、玄関の上がり框がつらそうな方に「手すりを付けましょう」とお伝えしても、なかなか首を縦に振ってもらえませんでした。そこで言い方を変えて「これがあると、外に出るのが少し楽になるかもしれませんね」とお伝えすると、「それなら試してみようかな」と受け入れてくださったことがあります。

「転んだら家族が大変だよ」と伝えるより、「夜トイレに行く時、自分が少し楽になるかもしれないよ」と伝えた方が届く方もいました。“家族のため”より“自分のため”の方が、すっと受け入れられることもあります。

手すりは「できなくなったから使うもの」ではありません。「今まで通りの生活を続けるために使うもの」と考えると、受け入れられる方も多くいました。

置き型や突っ張り型で不安が残る場合は、住宅改修も選択肢になります。固定型の手すりを検討する前に、介護保険の住宅改修制度はこちらで申請の流れを確認しておくと安心です。

今すぐ工事をする必要はありませんが、介護保険の住宅改修制度を知っておくと、いざという時に慌てません。

住宅改修ガイド|制度と進め方を見る

次に読むならこちら:本人が手すりを嫌がる場合は、工事不要タイプ・住宅改修制度・商品比較を順番に確認すると迷いにくくなります。

あわせて読みたい

工事不要手すりの選び方・おすすめはこちらで確認できます。

工事不要手すりおすすめ|Amazonで確認する
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この記事を書いた人

介護福祉ナビ運営者

元福祉用具専門相談員。

福祉用具の選定、住環境整備、退院支援などに携わった経験をもとに、在宅介護で役立つ情報を発信しています。

実際の相談現場で多かった悩みや失敗例をもとに、家族が判断しやすい形で解説しています。

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家全体の転倒予防を考えたい方は、親が家で暮らし続けるための住宅改修ガイド|転倒予防まとめもあわせてご覧ください。

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