介護保険でレンタルできる自動排泄処理装置の選び方【尿のみ対応・尿便両対応の違いを専門相談員が解説】

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「毎回のおむつ交換が介護者・利用者ともに負担になっている」「夜中に何度も起こされておむつ交換している」——排泄ケアは在宅介護の中で最も頻度が高く、介護者・利用者の双方にとって負担になりやすいケアのひとつです。

介護保険では自動排泄処理装置をレンタルできます。センサーが排泄を感知し、自動で吸引・処理することで、排泄のたびの介助回数を大幅に減らせます。福祉用具専門相談員として15年以上、重度の方の排泄環境整備に携わってきた経験から、装置の種類・適応条件・正しい使い方まで詳しく解説します。

介護保険レンタルの対象条件

自動排泄処理装置は要介護4以上が原則対象です(排尿のみ機能するものは要介護3以上の場合もあります)。要介護1〜3の方でも例外給付が認められる場合があります。

機能対象介護度
尿・便両対応(排尿・排便処理機能)要介護4以上(例外あり)
排尿のみ対応要介護3以上(例外あり)

例外給付の条件は「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)がランクB以上」などが目安となります。担当ケアマネジャーに相談してください。

自動排泄処理装置とは?仕組みを理解する

自動排泄処理装置は、専用レシーバー(カップ状のもの)を陰部に当てておき、排泄を感知すると自動で吸引・処理する機器です。おむつに吸収させる代わりに、ホースで本体タンクに吸い取ります。

構成パーツ役割
レシーバー(カップ)陰部に当てて排泄を受け止める。尿用・便用で形状が異なる
チューブ(ホース)レシーバーと本体をつなぐ
本体(タンク+ポンプ)吸引ポンプと排泄物のタンクが内蔵
センサー排泄を検知して自動吸引を開始する

2種類の違い:尿のみ対応 vs 尿・便両対応

尿のみ対応タイプ

項目内容
処理できるもの尿のみ
レシーバー形状比較的シンプルで小型
装着難易度尿便両対応に比べてやや低い
月額レンタル目安(全額)約10,000〜20,000円
自己負担1割目安約1,000〜2,000円/月
向いている方便失禁はない・主に尿失禁でおむつ交換頻度が多い方

💡 尿のみタイプでも、夜間の排泄回数が多い方・介護者が夜中に何度も起こされている方には大きな効果があります。夜間の介護者の睡眠を確保するためだけでも活用する価値があります。

尿・便両対応タイプ

項目内容
処理できるもの尿・便の両方
レシーバー形状陰部全体を覆う大型のもの(尿と便を別々に処理できる構造)
装着難易度やや難しい。正確な装着が必要
月額レンタル目安(全額)約20,000〜40,000円
自己負担1割目安約2,000〜4,000円/月
向いている方尿・便とも失禁がある・おむつ交換回数を全体的に減らしたい方

⚠️ 尿・便両対応タイプは機能が高い分、正確なレシーバーの装着が難しく、装着がずれると便が漏れてしまいます。使用開始時は福祉用具専門相談員や訪問看護師による装着指導が必須です。

自動排泄処理装置のメリットと限界

メリット

  • 介護者の夜間起き上がり回数が激減:排泄のたびに起きる必要がなくなり、介護者の睡眠が確保される
  • 利用者の尊厳が守られる:自分でトイレに行けなくてもセンサーで自動処理されるため、「濡れたまま待つ」時間がなくなる
  • 褥瘡・皮膚トラブルの予防:排泄物が皮膚に触れる時間が短くなり、おむつかぶれ・褥瘡の悪化を防げる
  • 排泄介助の体力的負担軽減:特に深夜・早朝の介助回数が大幅に減る

限界と注意点

  • 完全にノーメンテナンスではない:本体タンクの廃液処理・チューブの洗浄・レシーバーの洗浄が毎日必要
  • 装着位置のずれで漏れが起きる:利用者が動いたり寝返りを打つとレシーバーがずれることがある
  • 皮膚トラブルに注意:長時間装着することで陰部の皮膚が蒸れやすくなる。定期的な皮膚確認・スキンケアが必要
  • すべての便に対応できるわけではない:硬い便・大量の便は詰まりの原因になる

日常管理のポイント

毎日のルーティン

タイミング作業内容
朝(装着前)レシーバーの洗浄・乾燥確認・チューブの接続確認
使用中タンクの残量確認(満タンになると自動停止する機種が多い)
夜(取り外し後)タンクの廃液を捨て・本体内部のチューブ洗浄・レシーバー洗浄
定期(週1〜月1)本体内部の消毒・フィルター清掃(製品マニュアル参照)

皮膚トラブルを防ぐために

  • 装着は24時間つけっぱなしにしない。1日数時間は取り外して皮膚を休める
  • 取り外し時に陰部を清拭し、保湿剤で皮膚を保護する
  • 発赤・びらん・皮膚剥離が見られたら使用を中断し、訪問看護師・皮膚科に相談する

自動排泄処理装置が向いている方・向いていない方

向いている方向いていない方・注意が必要な方
寝たきりに近く自力での排泄ができない陰部皮膚にすでに重度のただれ・褥瘡がある
夜間の排泄回数が多い・介護者が疲弊している本人がレシーバーを自分で外してしまう(認知症等)
排泄物による皮膚トラブルが繰り返し起きている硬い便秘状態が続いている(詰まりのリスク)
訪問介護・訪問看護が入っておりメンテナンスをサポートできる環境日常管理を担う家族がいない・管理が難しい環境

よくある質問(Q&A)

Q. おむつは全く不要になりますか?

A. 完全には不要になりません。装置の取り外し中・外出時・装置の洗浄中はおむつを使用します。また、装置がうまく機能しない場合のバックアップとしておむつは手元に置いておくことをおすすめします。

Q. 音はうるさいですか?

A. 吸引時にポンプ音が発生しますが、最新機種は静音設計が進んでいます。寝室での使用を想定した製品が多く、夜間でも気になりにくいレベルの製品が増えています。試用してから決めることをおすすめします。

Q. 訪問介護員(ヘルパー)でも対応できますか?

A. レシーバーの装着・取り外し・日常的な洗浄は訪問介護員が行える「身体介護」の範囲です。ただし機器の調整・皮膚トラブルへの対応は訪問看護師と連携して行うことが推奨されます。

まとめ

  • ✅ 要介護4以上(条件付きで軽度も可)。夜間介護の負担軽減に大きな効果
  • ✅ 尿のみ対応は操作が簡単・尿便両対応は機能は高いが装着が難しい
  • ✅ 毎日のレシーバー洗浄・タンク廃液処理が必須。メンテナンス体制の確認が先決
  • ✅ 24時間装着しっぱなしにしない。皮膚の定期確認を忘れずに
  • ✅ 訪問看護との連携で安全・安心な使用ができる

「おむつ交換で介護者が疲れ果てている」「夜間に何度も起こされている」という方は、担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員にご相談ください。

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