地域包括支援センターとは?何をしてくれる?相談できること・費用・探し方【家族向け】

地域包括支援センターの窓口で、高齢の母親に付き添った娘が女性職員に介護の相談をしているイラスト ・制度・保険
「親の介護が心配になってきたけれど、どこに相談すればいいのかわからない」「近所の高齢の方が一人暮らしで気になる」。そんなときに、最初に頼れる窓口が地域包括支援センターです。 地域包括支援センターは、高齢者と家族の介護・暮らしの相談を受ける、市区町村の公的な窓口です。本人だけでなく家族や近所の人も相談でき、相談そのものは無料です。この記事では、できること、費用、担当の探し方、相談の流れを整理します。 先に結論
  • 市区町村が設置する(または市区町村から委託を受けた法人等が運営する)公的な相談窓口
  • 本人・家族・近所の人からの相談を受け付けている。介護保険を使っていなくても、認定を受ける前でも相談できる
  • 相談は無料。ただし、相談後に使う介護サービスや福祉用具には別途自己負担がある
  • 担当のセンターは、支援を必要とする本人の住所で決まる。遠方の親なら親の住所の担当に連絡する
  • 要支援1・2のケアプランの相談もできる(介護予防支援の指定を受けた居宅介護支援事業所に、直接依頼できる場合もある)

※この記事は、元福祉用具専門相談員の立場から、厚生労働省や自治体の公開資料で確認できた内容をもとに作成しています。窓口の運用や受付時間は市区町村・センターによって異なります。

▶ 動画でも解説しています(約3分20秒)

地域包括支援センターとは

地域包括支援センターは、介護保険法で定められた、高齢者の暮らしを支える相談機関です。市区町村が設置し、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)などの専門職が、地域の高齢者や家族の相談を受けます。法律(介護保険法115条の46)では、地域住民の心身の健康の保持と生活の安定のために必要な援助を行い、保健医療の向上と福祉の増進を包括的に支援する施設とされています。
項目 内容
設置数 全国で5,487か所。すべての市町村に設置(2025年〈令和7年〉4月末現在)
ブランチ・サブセンター ブランチ1,567か所、サブセンター320か所を含めると全国で7,374か所
運営の形 個別の担当圏域を持つ5,362か所では、市町村直営1,020か所(19%)、委託4,342か所(81%)
委託先の法人 社会福祉法人54%、社会福祉協議会17%、医療法人等18%、その他11%(委託している場合の内訳)
配置される専門職 原則として、保健師等・社会福祉士等・主任介護支援専門員等
主な対象 65歳以上の高齢者と、その家族・支援する人
※出典:厚生労働省老健局の資料(2025年4月末現在)。複数の圏域を担当するセンターなどでは、配置のしかたに柔軟さが認められています。

ブランチとサブセンターの違い

  • ブランチ:本体のセンターと連携し、地域の身近な場所で相談を受け付けて、センターにつなぐ窓口
  • サブセンター:本体のセンターと一体になって業務を行う支所

40〜64歳の人は相談できる?

センターが主な対象にしているのは65歳以上の高齢者と家族です。一方、介護保険の介護・介護予防サービスは、原則として、65歳以上で要介護・要支援認定を受けた人と、40〜64歳の医療保険加入者で特定疾病が原因で要介護・要支援認定を受けた人が使えます。相談できるかどうかと、介護保険のサービスを使えるかどうかは別の話なので、40〜64歳の家族のことで迷うときは、まず市区町村の窓口やセンターに確認してください。

相談できること

センターの主な役割は、大きく4つに整理できます。
役割 内容 相談の例
総合相談支援 高齢者や家族介護者に、初期の段階から継続的・専門的に相談支援を行い、必要なサービスや機関につなぐ 最近、親の物忘れが増えた/一人暮らしの親が心配/介護保険の申請のしかたがわからない
権利擁護 成年後見制度の活用促進や、高齢者虐待への対応など、高齢者の尊厳を守る支援 悪質な訪問販売などの消費者被害/財産管理が不安/虐待が疑われる
包括的・継続的ケアマネジメント支援 ケアマネジャーへの助言や、地域の関係機関との連携づくり 支援が複雑になり、担当ケアマネジャーだけでは調整が難しいときなど
介護予防の支援 要支援1・2の人の介護予防ケアプラン(介護予防支援)など、介護予防のためのケアマネジメント 要支援と認定された/要介護になるのを防ぎたい
  • 認知症かもしれないとき:様子の変化や接し方の相談ができます。接し方は認知症の人への接し方もご覧ください。
  • 家族自身のこと:介護で疲れている、仕事と介護の両立が難しいなど、家族自身の悩みも相談できます。
  • 医療のこと:センターが診断や治療をするわけではありません。必要な医療や専門機関につなぐ相談をします。
  • お金・財産のこと:成年後見制度などの入口になります。家族信託などの考え方は成年後見制度・家族信託の基本で整理しています。

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相談の前後で考えておきたい、親のお金・財産のこと

介護保険が助けてくれるのは「サービスにかかる費用」です。親自身の預金や不動産を誰がどう管理するかは、この制度の外にあります。認知症が進むと、家族であっても本人名義の財産を動かせなくなることがあり、介護費用の支払いに困る場面が出てきます。成年後見や家族信託はそのための備えで、家族信託は本人に判断能力があるうちにしか結べない契約です。

家族信託のおやとこ

※制度の入口相談は地域包括支援センターでも受けられます。費用や手続きは家庭の事情によって変わります

費用|相談は無料

地域包括支援センターへの相談は無料です。市区町村の案内(川崎市など)でも、相談は無料で、相談した内容については守秘義務があるとされています。介護保険法でも、職員は正当な理由なく業務で知った秘密を漏らしてはならないと定められています。 相談に加え、介護保険の居宅介護支援・介護予防支援によるケアプランの作成も、原則として自己負担はありません。一方、介護サービスや福祉用具の利用には費用がかかります。介護保険の給付対象部分は原則1割(一定以上の所得がある65歳以上の人は2割または3割)の負担で、食費などは別途必要です。

担当のセンターの探し方

担当のセンターは、支援を必要とする本人の住所で決まります。遠方に住む親のことで相談するときも、家族の住所ではなく、親の住所の担当に連絡します。
  1. 市区町村のウェブサイトで探す:「(市区町村名)地域包括支援センター」で検索すると、住所や町名から担当を確認できる一覧が載っていることが多くあります。
  2. 厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で探す:都道府県のページで「地域包括支援センターを検索する」を選び、市区町村などで絞り込みます。所在地・電話番号・業務日と時間・職員体制などが確認できます。
  3. 市区町村の高齢者福祉の窓口に電話する:担当がわからないときは、役所の高齢者福祉・介護保険の担当課に聞くのが確実です。
地域によっては「高齢者あんしん相談センター」「高齢サポート」など、別の名称が使われています。所在地だけでなく、担当区域も確認してください。開いている日や時間、夜間・休日の電話対応はセンターごとに異なります。来所できる時間と、時間外の連絡方法を確認しておくと安心です。

相談の流れ

  1. 電話か来所で相談する:家族だけでも相談できます。
  2. 状況を聞き取る:困っていること、本人の様子、これまでの経過などを聞かれます。
  3. 必要に応じて訪問する:本人の様子を見るために、自宅を訪問することがあります。
  4. 制度やサービス、専門機関につなぐ:介護保険の申請、介護予防、医療機関、成年後見など、必要なところを案内します。
相談した人全員が介護保険の申請に進むわけではありません。状況によっては、見守りや地域の支援につなぐだけで済むこともあります。遠方に住む親のことは、電話で相談し、必要に応じて訪問につなぐ形が基本です。すぐに訪問してもらえるとは限らないので、急ぎの相談はその旨を伝えてください。ただし、意識がない、呼吸が苦しいなど救急対応が必要なときは、センターの対応を待たず119番へ連絡してください。

相談前に用意しておくとよいメモ(目安)

次のメモは必須ではありません。なくても相談できますが、あると話が早く進みます。
  • 本人の名前・年齢・住所、家族の連絡先
  • 困っていること、いつ頃からか
  • 持病とかかりつけの医療機関
  • 介護保険の被保険者証(持っていれば)

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離れて暮らす親の様子が、ふだんから気になるとき

センターに相談しながら、日ごろの見守りの手段も考えておきたい、という方もいます。ホームセキュリティの見守りプランは、一定時間動きがないこと・急病・火災を検知して、人が駆けつける形です。機器・通信・異常時の対応をまとめて契約するため、親の家にインターネット回線がなくても使えるものがあります。ただし外へ出ていくことは感知しません。月額や対応の範囲は会社ごとに違うので、資料で条件を確かめてから決めてください。

セコム・ホームセキュリティの資料を取り寄せる(無料)

※ホームセキュリティは介護保険の対象外で、費用は自費になります。見守りの必要性は、担当のセンターやケアマネジャーにも相談してください

要支援のケアプランと福祉用具は誰に相談する?

要支援1・2と認定された人のケアプランは「介護予防ケアプラン」と呼ばれ、居宅で介護予防支援を受ける場合、担当するのは次のいずれかです。
  • 地域包括支援センター
  • センターから委託を受けた居宅介護支援事業所
  • 市区町村から介護予防支援の指定を受けた居宅介護支援事業所(2024年4月から、センターの委託を受けずに利用者と直接契約できるようになりました)
ただし、この直接契約は、要支援1・2で介護予防支援を受ける場合に限られます。総合事業のサービスだけを使う人や、基本チェックリストで事業対象者となった人の「介護予防ケアマネジメント」は、これまでどおり地域を担当するセンターが関わります(横浜市の案内)。 福祉用具のレンタルは、要支援の人の場合は「介護予防福祉用具貸与」という名前になります。担当が決まっていなければ地域包括支援センターへ、担当者がいる場合はそのケアプラン担当者へ相談します。用具の選び方や貸与は、福祉用具貸与事業所の福祉用具専門相談員とも相談しながら進めます。 要支援1・2と要介護1の人は、車いすや介護ベッド(特殊寝台)などが、原則として介護保険によるレンタルの対象外です。ただし、身体の状態などによって例外的に給付対象となる場合があります。どの用具が借りられるかは要支援1・要介護1で借りられる福祉用具の早見表にまとめています。

介護保険の申請も相談できる

要介護・要支援認定の申請は、本人や家族のほか、地域包括支援センターや指定居宅介護支援事業者などに手続きの代行を依頼できます(介護保険法27条1項・32条1項)。必要な書類や受付の方法は自治体によって違うので、窓口で確認してください。認定を決めるのはセンターではなく市区町村で、介護認定審査会の判定を経て決まります。 申請の流れは要介護認定の申請方法と手順、すでに認定を受けていて状態が変わったときは区分変更申請で解説しています。

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申請から認定結果が出るまでの間、介護が回らないとき

介護保険の認定は、申請から原則30日以内に出ます。その間や、サービスが始まるまでの間に介助が必要になることもあります。介護保険の対象外の部分を補う、介護保険外のサービスもあります。内容や料金は事業者ごとに異なるので、資料や相談で確認してください。

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※介護保険の申請や、利用できるサービスの相談は、まず地域包括支援センターや市区町村の窓口へ

よくある質問

Q. 担当のケアマネジャーとは何が違いますか?

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、ケアプランの作成やサービスの調整などを担う専門職です。地域包括支援センターは、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーなど複数の職種で対応する、市区町村の総合相談窓口です。要介護1〜5で自宅での生活を支えるサービスを使う場合は、通常、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当します(施設に入所する場合などは担当が異なります)。要支援1・2の人は前の項目のとおりです。

Q. 介護保険を使っていなくても、認定を受ける前でも相談できますか?

相談できます。市区町村の案内では、介護保険を使っているかどうか、認定を受けているかどうかに関係なく相談を受け付けています。

Q. 本人が相談に行きたがりません。家族だけで相談できますか?

家族だけで相談できます。本人が受診や相談を嫌がるときの進め方も、センターに相談できます。認知症が疑われる場合、「認知症初期集中支援チーム」が置かれている市区町村では、センターを通じて連携することがあります。ただし、すべてのセンターにチームが常駐しているわけではありません。

Q. 民間の紹介会社や有料老人ホームの相談窓口とは違いますか?

地域包括支援センターは、市区町村が設置する、または委託した法人等が運営する公的な窓口で、公正・中立な運営が求められています。

Q. 土日や夜間でも相談できますか?

開いている日や時間、夜間・休日の電話対応は、センターごとに異なります。公表システムや市区町村の一覧で、業務日・業務時間を確認してください。

Q. センターの対応に困ったときはどうすればよいですか?

市区町村の地域包括支援センター担当課(高齢者福祉の担当課)に相談できる自治体があります。窓口は自治体によって違うので、役所に問い合わせてください。

まとめ

地域包括支援センターは、介護や高齢者の暮らしで迷ったときに、まず相談できる無料の公的窓口です。
  • 本人・家族・近所の人が相談できる。相談は無料
  • 担当は、支援を必要とする本人の住所で決まる
  • 要支援1・2のケアプランや、介護保険の申請の代行の相談もできる
  • 診断や治療はしないが、必要な医療・制度・サービスにつないでくれる
「まだ介護が必要かどうかわからない」という段階でも、早めに相談して大丈夫です。窓口の運用は市区町村によって異なるので、最新の情報は担当のセンターや役所に確認してください。

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参考資料

  • 厚生労働省「地域包括支援センターについて」(設置状況・令和7年4月末現在):資料
  • 厚生労働省「地域包括支援センター」:ページ
  • 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」:システム
  • 横浜市「介護予防支援の改正(令和6年4月)」:ページ
  • 介護保険法(第27条・第115条の46):e-Gov法令検索

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