- 入院・骨折・認知症の進行などで介助量が増えたときは、更新を待たずに相談できる
- 最初の相談先は、担当ケアマネジャーまたは市区町村の介護保険窓口
- 申請後は認定調査、主治医意見書、介護認定審査会を経て結果が決まる
- 結果は原則として申請日にさかのぼって適用される
- 希望より低い介護度や非該当になる可能性もあるため、申請中のサービス計画が重要
- 認定が通ると有効期間は原則6か月に戻るので、次の認定調査は早く来る
- 用具が借りられればよいのなら、区分変更のほかに例外給付・自費レンタルという道もある
※この記事は、元福祉用具専門相談員として実際の相談現場で多かった事例や質問をもとに作成しています。
▶ 動画でも解説しています(約3分40秒)
介護保険の区分変更申請とは
区分変更申請とは、現在受けている要支援・要介護認定の有効期間中に、心身の状態が変化し、今の区分と実際に必要な介護量が合わなくなった場合に再判定を求める手続きです。 通常の更新申請は認定の有効期限に合わせて行います。一方、区分変更申請は更新時期を待たずに行える点が大きな違いです。| 手続き | 主な目的 | 申請時期 |
|---|---|---|
| 新規申請 | 初めて要介護・要支援認定を受ける | 介護が必要になったとき |
| 更新申請 | 現在の認定を継続する | 有効期限前 |
| 区分変更申請 | 状態変化に合わせて介護度を見直す | 認定の有効期間中 |
区分変更を検討するタイミング
介護度の数字だけではなく、以前と比べて「誰かの手助けが必要な場面がどれだけ増えたか」を確認します。- 骨折や脳血管疾患などで入院し、退院後の介助量が増えた
- 立ち上がり、歩行、排泄、入浴に見守りや介助が必要になった
- 認知症の症状が進み、服薬・火の管理・外出の見守りが増えた
- 夜間の介助や排泄介助が増え、家族だけでは対応しにくい
- 一人暮らしの継続が難しくなった
- 現在の区分支給限度額では必要なサービスを組みにくい
- 反対に状態が改善し、現在の介護度と実態が合わなくなった
相談でいちばん多い動機は「福祉用具が借りられない」
区分変更の相談で実際に多い入口は、介護度の数字そのものへの不満ではありません。必要な福祉用具が借りられないという、具体的な行き詰まりです。福祉用具の相談で在宅を回っていると、この場面によく居合わせました。要介護2が出なかったために、介護ベッドと車いすが借りられないというご家庭です。そこから区分変更申請をして、実際に借りられるようになった方もいます。ただ、区分変更をしても介護度が変わらなかった方もいました。その場合は自費レンタルで対応していました。
介護保険の福祉用具貸与には、要支援1・要支援2・要介護1(軽度者)は原則として借りられない種目があります。車いす、特殊寝台(介護ベッド)、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフトなどです。どれが借りられてどれが対象外かは要支援1・要介護1で借りられる福祉用具の早見表にまとめています。 ここで押さえておきたいのは、用具が借りられればよいのなら、区分変更以外にも道があるということです。| 方法 | 何が変わるか | かかる時間の目安 |
|---|---|---|
| 区分変更申請 | 介護度そのもの | 原則30日 |
| 軽度者の例外給付 | その用具だけ(介護度は変わらない) | 自治体により数日〜数週間 |
| 自費レンタル | 何も変わらない(全額自己負担) | すぐ |
区分変更を申請できる人
本人や家族のほか、地域包括支援センター、居宅介護支援事業者、介護保険施設などが申請を代行できる場合があります。 すでに介護サービスを利用している方は、まず担当ケアマネジャーへ相談するのが一般的です。状態変化と必要なサービスを整理し、申請中の暫定ケアプランについても相談できます。 担当ケアマネジャーがいない場合は、市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターへ相談してください。区分変更申請に必要なもの
自治体によって異なりますが、一般的には次のものを準備します。- 要介護・要支援認定区分変更申請書
- 介護保険被保険者証
- 主治医の氏名、医療機関名、連絡先が分かるもの
- 本人確認書類
- 40歳から64歳までの第2号被保険者は、医療保険の資格情報を確認できるもの
「区分変更届」と検索する人もいますが、区分変更は届け出ではなく、認定の変更を求める「申請」です。書類の名称は市区町村によって異なるため、区分変更申請に使う様式を確認してください。出しただけで介護度が変わるわけではなく、調査と審査を経て決まります。
なお、介護情報基盤の運用が始まった市町村では、申請書に、介護事業所などへ情報を提供することへの同意(包括同意)の欄が加わることがあります。国の資料では、区分変更・更新の申請書も様式変更の対象とされています。ただし、対応しているかどうか、いつからかは市区町村によって異なります。申請書に同意の欄があれば、内容を確認して記入してください。詳しくは介護情報基盤とマイナンバーで何が変わるかにまとめています。
申請書の「申請する理由」の欄が、いちばん大事
区分変更の申請書に何を書くかは、法令で決まっています。介護保険法施行規則42条1項は、記載事項の2番目に「心身の状況の変化その他の当該申請を行う原因となった事由」を挙げています。これは新規申請の申請書(同規則35条1項)にはない項目で、区分変更の申請書にだけある欄です。 そして、この欄は書いて終わりではありません。同規則43条は、市町村が介護認定審査会へ通知する事項について「第四十二条第一項第一号から第三号まで」と読み替えると定めています。家族が申請書に書いた申請の理由は、審査会へ通知される事項として法令に位置づけられているということです。 ここが「状態が悪くなったため」だけで終わっていると、何がどう変わったのかは伝わりません。時期・場面・回数で書くほうが実態が伝わります。| 伝わりにくい書き方 | 実態が伝わる書き方 |
|---|---|
| 認知症が進行したため | 6月に転倒して以降、夜間に2回はトイレへ付き添っている。5月までは一人で行けていた |
| 介護が大変になったため | 4月の退院後、入浴と着替えが全介助になった。3月までは見守りだけで済んでいた |
| サービスが足りないため | 週2回のデイサービスでは日中一人になる日が3日あり、その日に転倒が2回あった |
要支援の人が申請するときは、根拠の条文が分かれる
窓口の様式は「要介護・要支援認定区分変更申請書」として共通のことが多いのですが、法律上は次のように分かれています。- 要支援1と要支援2の間の変更=介護保険法33条の2(要支援状態区分の変更の認定)
- 要介護1から要介護5の間の変更=同法29条(要介護状態区分の変更の認定)
- 要支援から要介護へ変わったと思うとき=同法27条の要介護認定の申請(区分変更ではなく、要介護認定をあらためて受ける申請になります)
申請から認定結果までの流れ
- ケアマネジャーや自治体へ相談する 状態変化と、追加・変更したいサービスを整理します。
- 区分変更申請書を提出する 本人・家族による申請のほか、代行を依頼できる場合があります。
- 認定調査を受ける 調査員が本人の心身の状態や日常生活の介助状況を確認します。
- 主治医意見書が作成される 自治体から依頼を受けた主治医が、病状や生活機能について記載します。
- 介護認定審査会で審査される 認定調査の基本調査と主治医意見書の一部の項目をもとに、コンピュータが「一次判定」を行います。保健・医療・福祉の専門家でつくる審査会が、一次判定の結果、特記事項、主治医意見書などを踏まえて「二次判定」を行い、その結果に基づいて市区町村が認定します。
- 認定結果が通知される 新しい要介護度と有効期間を確認し、ケアプランを調整します。
区分変更の結果はいつから適用される?
区分変更の認定は、原則として申請日にさかのぼって効力が生じます。結果が出るまでの間にサービス量を増やす場合は、想定する介護度に基づいた暫定ケアプランを作成して利用することがあります。 ただし、実際の認定結果が想定より低かった場合、区分支給限度額を超えた分が全額自己負担になる可能性があります。申請中にサービスを増やすときは、次の点を必ず確認してください。- どの介護度を想定して暫定ケアプランを作るか
- 想定より低い結果になった場合の自己負担額
- 認定結果が出るまで変更を待てるサービスはあるか
- 家族が一時的に対応できる範囲はどこまでか
介護度が上がると、使える上限はどう変わるか
訪問介護・通所介護・福祉用具貸与など、対象となる在宅サービスには、介護度ごとに1か月の利用限度額(区分支給限度基準額)があります。| 介護度 | 1か月の上限(単位) |
|---|---|
| 要支援1 | 5,032 |
| 要支援2 | 10,531 |
| 要介護1 | 16,765 |
| 要介護2 | 19,705 |
| 要介護3 | 27,048 |
| 要介護4 | 30,938 |
| 要介護5 | 36,217 |
区分変更が通ると、認定の有効期間は原則6か月に戻る

- 新規申請・区分変更申請=原則6か月(市町村が認定審査会の意見に基づき特に必要と認める場合は、3か月から12か月の範囲)/施行規則38条
- 更新申請=原則12か月(3か月から36か月の範囲。前回と同じ要介護度なら最長48か月)/施行規則41条2項
区分変更で介護度が下がることはある?
あります。区分変更申請は「介護度を上げる申請」ではなく、現在の状態をあらためて審査する手続きです。そのため、結果は次のいずれになる可能性もあります。- 現在より重い区分になる
- 現在と同じ区分になる
- 現在より軽い区分になる
- 要支援または非該当になる
市町村の判断で下げられることもある
下がる可能性は、家族が申請したときだけの話ではありません。市町村は、介護の必要の程度が低下したと認めるときは、本人の申請がなくても区分変更の認定をすることができます(介護保険法30条1項。要支援の人は同法33条の3)。これを職権による区分変更といいます。 この場合、市町村は「職権で区分変更の認定を行う」旨と、介護保険被保険者証を提出する必要があること、提出先と提出期限を書面で通知することになっています(施行規則44条)。心当たりのない通知が届いたときは、何を根拠にした判断なのかを窓口で確認してください。 また、要介護者に該当しなくなったと認められるときは、認定そのものが取り消されることもあります(同法31条)。認定調査で家族が準備したいこと
本人は調査員の前で普段以上に頑張ったり、困りごとを小さく伝えたりすることがあります。できれば家族や日頃の様子を知る支援者が同席し、普段の状態を具体的に伝えてください。状態変化を時系列で整理する
- いつから何ができなくなったか
- 入院前と退院後で変わったこと
- 転倒、徘徊、服薬ミスなどの頻度
- 昼と夜、良い日と悪い日の違い
介助内容を具体的に伝える
「大変です」だけではなく、「夜間に2回トイレへ付き添う」「入浴時に体を支える」「薬を毎回手渡して確認する」など、回数と介助内容を具体的に説明します。本人の前で話しにくい内容は別に伝える
失禁、認知症による行動、介護者の負担など、本人の前では話しにくい内容は、事前にメモを渡すか、調査員へ別に伝えられるか相談します。区分変更を急がない方がよいケース
- 数日から短期間で回復する見込みの体調不良
- 必要なサービスが現在の限度額内で調整できる
- 更新申請の時期が近く、自治体やケアマネジャーから更新での対応を提案された
- 主治医が最近の状態変化を把握していない
よくある質問
区分変更申請はいつでもできますか?
認定の有効期間中に状態が変化し、現在の区分と実態が合わないと考えられる場合に申請できます。単にサービス量を増やしたいという理由だけでなく、心身の状態と介助量の変化を整理して相談しましょう。申請から結果まで何日かかりますか?
原則30日以内ですが、認定調査、主治医意見書、審査会の日程などにより延びる場合があります。急いでサービス調整が必要なときは、申請と同時にケアマネジャーへ相談してください。区分変更をすると、認定の有効期間はどうなりますか?
原則6か月から数え直しになります(施行規則38条)。更新申請なら原則12か月、前回と同じ区分のままなら最長48か月まで延びますが(同規則41条2項)、区分変更が通るとそこで打ち切られ、新規と同じ扱いに戻ります。次の認定調査が早く来る、ということです。30日を過ぎても結果が来ません。待つしかありませんか?
まず市区町村へ、延期の通知(処理見込期間と理由)が出ているかを確認してください。介護保険法27条11項ただし書で、市町村は30日以内にこの通知をして期間を延ばすことになっています。30日を過ぎても結果が出ず、延期の通知もない場合は、申請が却下されたものとみなすことができます(同条12項)。市区町村から「職権で区分変更の認定を行う」と通知が来ました
介護保険法30条1項にもとづく手続きです。市町村は、介護の必要の程度が低下したと認めるときは、申請がなくても区分変更の認定をすることができます。被保険者証の提出を求められますので、何を根拠にした判断なのかを確認したうえで対応してください。申請中に福祉用具を借りることはできますか?
結果が出るまでの介護度は現在のままなので、要介護1のあいだは、車いすや介護ベッドなど軽度者が原則対象外の種目はそのままでは借りられません。この期間の選択肢は、軽度者の例外給付を先に相談するか、自費レンタルでしのぐかのどちらかになります。区分変更の結果を待ってから動くと、その間ずっと用具がないままになります。申請を取り下げることはできますか?
自治体の手続き状況によって扱いが異なるため、申請先へ早めに確認してください。「思った結果になりそうにない」という理由だけで自由に取り下げられるとは限りません。結果に納得できない場合はどうすればよいですか?
まず自治体へ判定理由を確認します。そのうえで、都道府県の介護保険審査会への審査請求などの方法があります。審査請求の期限は処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内です(介護保険法192条)。ただし裁決までに時間がかかるため、区分変更と審査請求のどちらを選ぶかは要介護認定の結果に納得いかないときは?で比べています。※広告を含みます
認定結果を待つ間、介護が回らないとき
区分変更を申請しても、結果が出るまでには原則30日程度かかります。その間に介助量が増えても、保険で使えるサービスの量がすぐに増えるとは限りません。認定を待つ間だけ、必要な時間帯の介助や見守りを頼める介護保険外のサービスもあります(利用の条件や料金は事業者ごとに異なります)。
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※区分変更の申請手続きや、申請中の暫定ケアプランの調整は、まず担当ケアマネジャーまたは市区町村へ相談してください
まとめ
介護保険の区分変更申請は、状態変化によって現在の要介護度と必要な介護量が合わなくなったとき、更新を待たずに見直しを求める制度です。 申請すれば必ず介護度が上がるわけではなく、据え置きや低下となる可能性もあります。申請中にサービスを増やす場合は、暫定ケアプランと自己負担の可能性を確認することが重要です。 まず担当ケアマネジャーまたは市区町村へ相談し、状態変化、必要なサービス、認定調査で伝える内容を整理してから申請を進めましょう。 介護保険制度の基本を確認する|運営者プロフィール参考資料
- 厚生労働省「介護保険法」
- 厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」
- e-Gov法令検索「介護保険法」(27条・29条・30条・31条・33条の2)
- e-Gov法令検索「介護保険法施行規則」(38条・41条・42条・43条・44条)
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