介護情報基盤とは?マイナンバーで介護がどう変わるかわかりやすく解説【2026年版】

介護情報基盤とは?マイナンバーで介護がどう変わるかわかりやすく解説 ・制度・保険
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「介護保険証がなくなるって本当?」「マイナンバーカードがないとサービスが受けられなくなる?」――2026年4月から「介護情報基盤」という新しい仕組みが段階的にスタートし、多くの方が不安を感じています。

※この記事は、元福祉用具専門相談員として15年間の現場経験をもとに作成しています。制度変更は自治体や時期によって運用が異なる場合があります。実際の申請・サービス利用では市区町村窓口・地域包括支援センター・ケアマネジャーにご確認ください。

この記事では、介護情報基盤の概要・マイナンバーで何が変わるのか・2026年以降のスケジュールを、在宅介護をしているご家族向けにわかりやすく解説します。

介護情報基盤とは何か

介護情報基盤とは、介護に関するさまざまな情報をデジタルで一元管理・共有できる全国統一プラットフォームです。国(厚生労働省)が主導して整備を進めています。

これまでは、要介護認定の情報・ケアプラン・サービス利用状況などがバラバラに管理されており、担当ケアマネが変わるたびに、また一から情報を伝え直す必要がありました。施設・事業所間でFAXや紙のやり取りが当たり前という状況でした。

厚生労働省が示している共有範囲は、次の5種類です。中身の様式まで見ておくと、何が共有されるのかがはっきりします。

介護情報基盤で共有される5つの情報の図解。要介護認定情報・請求給付情報・LIFE情報・ケアプラン・住宅改修費と福祉用具購入費の利用情報
共有される5種類の情報。⑤の住宅改修費・福祉用具購入費は見落とされがちです
情報の種類具体的な様式
要介護認定情報認定調査票/主治医意見書/介護保険被保険者証(要介護度等を含む)/要介護認定申請書
請求・給付情報給付管理票/介護給付費請求書/各サービスの介護給付費明細書 など
LIFE情報ADLなどの状態情報(科学的介護情報システム)
ケアプラン居宅サービス計画書(1)(2)/週間サービス計画表/サービス利用票/同別表/施設サービス計画書 など
住宅改修費利用等の情報介護保険住宅改修費の利用情報/介護保険福祉用具購入費の利用情報

見落とされがちなのが、いちばん下の住宅改修費と福祉用具購入費の利用情報です。どちらも使える枠が決まっているもので、これまでは「以前いくら使ったか」を家族が覚えていなかったり、引っ越しをまたいで分からなくなったりすることがありました。ここが共有されると確認しやすくなります。詳しくは介護保険の住宅改修とは?と特定福祉用具販売とは?で解説しています。

なお、共有する情報の具体的な範囲や共有先は、現在も検討が続いています。上の表も「運用開始後に共有される範囲」として示されているもので、今後変わる可能性があります。

また、認定調査票と主治医意見書が共有対象に入っている点は、家族にとって地味に大きい話です。要介護認定にかかる期間が短くなることが、国の資料でも利用者側のメリットとして挙げられています。認定調査で何が見られるかは介護認定調査で家族が伝えるべきことにまとめました。

マイナンバーカードで何が変わるか

介護情報基盤の導入にあわせて、介護保険証(被保険者証)のペーパーレス化が進められています。マイナンバーカードで資格確認ができるようになれば、毎回、被保険者証・負担割合証・限度額認定証を持ち歩く必要がなくなります。紙の被保険者証の見方や再交付は介護保険被保険者証とは?で解説しています。

ただし、ここは正確に書いておきます。健康保険証のように「マイナンバーカードと一体化して紙をなくす」と決まっているわけではありません。介護保険証については、令和8年6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)で、電子資格確認(マイナンバーカードの電子証明書で市町村に資格情報を照会し、事業所が確認する方法)の導入が定められました。居宅サービスなどを受けるときの「被保険者証の提示等」の方法として、被保険者証の提示と電子資格確認などが並ぶ形で、原則として令和9年4月1日から施行されます(被保険者証の添付・返付などの規定の整備は、公布から3年以内に政令で定める日)。一方で、被保険者証がなくなると決まったわけではありません。「介護保険証がマイナンバーカードに一体化される」という説明を見かけますが、健康保険証で起きたことと同じ形が決定しているわけではない、というのが2026年10月時点の状況です。

先に1つだけ、家族がやることがあります。介護でマイナンバーカードを使って本人確認をする場合、事前に医療保険の「マイナンバーカードの保険証利用登録」を済ませていることが必要とされています。すでに病院でマイナ保険証を使っている方はそのまま使えますが、まだ登録していない方は、そこが入口になります。

  • これまで:介護保険証・負担割合証など複数の書類が必要だった
  • 導入後:マイナンバーカード1枚で確認OK(移行期間中は従来の書類も使える)
  • これまで:ケアマネや事業所が変わるたびに情報を一から提供
  • 導入後:必要な情報をオンラインで共有・引き継ぎ
  • これまで:施設・事業所間でFAXや紙のやり取り
  • 導入後:デジタルで情報連携(業務効率化)

利用者・ご家族への影響は?今すぐ何か必要?

重要なのは、介護情報基盤そのものへの対応として、利用者やご家族が申請や登録をする必要はないという点です。基盤の整備も接続も、市町村と介護事業所の側で進みます。

例外は前述のとおりマイナンバーカードを使いたい場合の「保険証利用登録」だけです。ここだけは本人(またはご家族)の手続きになります。

ただし、マイナポータルで自身の介護情報をオンラインで確認したい場合や、窓口での資格確認をスムーズに行いたい場合は、マイナンバーカードがあると便利です。

マイナンバーカードを持っていない場合は?

マイナンバーカードを持っていない方には、介護保険の利用者であることを記載した書面が別途交付される予定です。カードがないからといって、すぐにサービスが受けられなくなるわけではありません。

「カードを作りたくない」「手続きが不安」という方は、ケアマネジャーや市区町村の担当窓口に相談してみましょう。

「介護情報基盤ポータル」「介護WEBサービス」は、ご家族が日常的に使うものではありません

介護情報基盤を調べていると、「介護情報基盤ポータル」や「介護保険資格確認等WEBサービス」という名前に行き当たります。名前が似ていて紛らわしいのですが、このうち「介護情報基盤ポータル」と「介護WEBサービス」は、ご家族が日常的に使うものではありません。入口は3つに分かれています。

名前使うのは誰か何をする場所か
マイナポータル本人・ご家族自分の介護保険証の情報などを見る。家族側の入口はここだけ
介護情報基盤ポータル市町村・介護事業所事業所が基盤につなぐための案内と助成金の申請窓口。自治体ごとの開始時期も公開されている
介護保険資格確認等WEBサービス
(介護WEBサービス)
介護事業所・地域包括支援センター・医療機関職員が、基盤に入っている被保険者証等情報や要介護認定情報を閲覧する

つまり、ご家族が見るのはマイナポータルです。「介護情報基盤ポータル」を開いても自分の介護情報が出てくるわけではありません(お住まいの自治体がいつ始めるかを調べる用途では役に立ちます)。

そして、ここが2026年時点でいちばん誤解されやすい点です。令和8年(2026年)4月1日の時点でできるのは、マイナポータルから介護保険証の情報を閲覧することだけとされています。ケアプランやLIFE情報まで家族がすぐ見られるようになる、という話ではありません。共有される5種類の情報は、まず市町村・事業所・医療機関の間でつながっていきます。

事業所側は、2027年に大きな切り替えがあります。ケアマネジャーが使っている「ケアプランデータ連携システム」は、令和9年(2027年)1月に介護WEBサービスへ移行・統合される予定です(厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1529」令和8年7月29日)。あわせて、これまで年額21,000円だった利用料は、移行後は負担が発生しないとされています。

制度としては、この移行で利用者・ご家族がやることはありません。ただ現場の感覚でいうと、担当ケアマネジャーが使うシステムがこの時期に入れ替わるということでもあります。切り替えの前後は、事業所が慣れるまで書類のやり取りが一時的に増えることもあります。気になるときは「うちの事業所はもう移行しましたか」と一言聞いてみると、状況が分かります。

介護保険証の配り方そのものも見直しが検討されています

あまり知られていませんが、国の審議会(社会保障審議会 介護保険部会)では、介護被保険者証の事務や運用そのものを見直す案が示されています。いずれもまだ「案」の段階ですが、決まれば家族の実感が変わる話なので、3つ紹介します。

案1:交付のタイミングを「65歳到達時」から「要介護認定の申請時」へ

いまは65歳になると、認定を受けているかどうかに関係なく全員に被保険者証が届きます。ところが、実際に要介護認定を申請する段になって紛失しているケースがある。それなら申請時に交付するほうが合理的ではないか、という案です。

現場でも「どこにしまったか分からない」という相談は本当に多いところでした。この案が通れば、65歳で届いた紙を何年も保管しておく必要がなくなります。

案2:「変わらない情報」と「変わる情報」を分ける

いまは被保険者証に加えて、負担割合証と負担限度額認定証が別々に発行され、家族は複数の証を管理しています。

そこで、被保険者番号や氏名など基本的に変わらない情報と、要介護度・負担割合・負担限度額など定期的に変わりうる情報を分けて整理する方向が検討されています。変わる情報はマイナポータルで最新のものを確認できるようにする一方、マイナポータルを使えない人もいるため、定期的に情報を確認できるものを配布する案もあわせて示されています。

案3:2回目以降のサービス利用時の本人確認を簡素化

いまは介護サービスを利用するたびに被保険者証の確認が必要です。この点について、初回(サービス利用開始時)は被保険者証またはマイナンバーカードで本人確認をし、2回目以降は簡素化できるようにしてはどうかという案が出ています。事業者と利用者の双方の負担を減らす狙いです。

くり返しますが、3つとも現時点では「案」です。決定事項として書かれている説明を見かけたら、出典が審議会の資料かどうかを確かめてください。

災害で被保険者証を持ち出せなかったときは

ここは、介護情報基盤のなかでいちばん実感しやすいメリットかもしれません。

通常は、事業者がマイナンバーカードを読み取るか、被保険者証の提示を受けて情報を確認します。しかし災害時には、被保険者証を持たずに避難する方が当然出てきます。

そこで、災害の規模等に応じて介護事業所の範囲と期間を限定したうえで、被保険者証などを紛失していても、本人の氏名や保険者名などを入力すれば情報を閲覧できるようにする特別措置が検討されています。災害救助法が適用されている地域の事業所で、必要最小限の期間だけ、といった形が想定されています。

国の資料では、次のような場面が想定として挙げられています。

  • 避難先で、外部から来た支援者が本人の情報を確認して生活支援や他施設への紹介を行う場合
  • 被災した施設から、同じ被災地域の別の施設が利用者を直接受け入れる場合(元の施設はPCや書類が壊れている・失われている)
  • 被災していない地域の施設が、被災地から利用者を受け入れる場合

医療のほうでは、すでに「災害時医療情報閲覧機能(災害時モード)」が動いていて、マイナンバーカードを持参できなくても氏名・生年月日などで情報を確認できます。介護でも同じ考え方を用意しよう、という流れです。

2026年以降のスケジュール

介護情報基盤の導入スケジュールの図解。2026年4月に準備の整った市町村から順次開始し2028年4月に全市町村での完了を目指す
市町村ごとに開始時期が違います。2026年中はまだ移行期間です
  • 2026年4月〜:準備の整った市町村から順次運用開始(移行期間)
  • 2026年中:多くの市区町村で段階的に導入が進む見込み
  • 2028年4月:全市町村での完全運用を目指す

正確には、令和8年(2026年)4月1日以降、介護保険システムの標準化対応が完了した市町村から順次データ移行と情報共有が始まり、令和10年(2028年)4月1日までに全市町村での完了を目指すとされています。つまり2026年中はまだ「移行期間」で、お住まいの市町村によって状況がまったく違います。

自分の市町村がいつ始めるかは、調べる方法があります。国民健康保険中央会が運営する「介護情報基盤ポータル」で、各自治体が介護情報基盤の活用を開始する時期が公開されています。ケアマネジャーや窓口に聞くのがいちばん早いですが、自分で確かめたい方はこちらを見てください。

家族が今知っておくべきこと

今すぐ特別な準備は不要ですが、次の点だけ押さえておきましょう。

  • マイナンバーカードを持っておくと今後スムーズになる(必須ではない)
  • 従来の介護保険証は当面引き続き使える
  • ケアマネジャーが制度の変更について案内してくれる
  • 不安なことは市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談できる
Q. 介護保険証は廃止になるのですか?

段階的にデジタル化される方針ですが、移行期間中は従来の紙の介護保険証も引き続き使えます。突然使えなくなることはありません。具体的な移行スケジュールはお住まいの市区町村によって異なりますので、窓口で確認してみてください。

Q. マイナンバーカードを作りたくない場合はサービスを受けられなくなりますか?

カードを持っていない方向けに、別途書面での確認方法が用意される予定です。マイナンバーカードがないことでサービスが受けられなくなることはありません。ただし、窓口での手続きが今より少し手間になる可能性はあります。

Q. 介護情報基盤でプライバシーは守られますか?

介護情報基盤では、関係する市町村や介護事業所・医療機関などが、それぞれ認められた範囲で情報を閲覧・共有します。誰でも自由に見られるわけではありません。介護事業所などへの情報提供には、本人の「包括同意」が必要な情報があります。同意は、要介護認定の申請書(新規・更新・区分変更)で取ることができ、申請書の様式も変更の対象とされています。同意がなくても見られる情報はありますが、同意が必要な情報は、同意が取れない場合、介護情報基盤を通じて閲覧できません(厚生労働省の第3回自治体説明会資料)。認知症などで意思の確認が難しい場合は、お住まいの市区町村や担当のケアマネジャー、地域包括支援センターに確認してください。

Q. 「介護情報基盤ポータル」や「介護WEBサービス」にログインしたいのですが、家族でも使えますか?

ご家族が日常的に使うものではありません。介護情報基盤ポータルの公開情報(自治体の開始時期など)は、ご家族も見られます。介護WEBサービスは、認証を受けた介護事業所・地域包括支援センター・医療機関などの職員が業務で使うもので、端末ごとのクライアント証明書の導入などが必要です。マイナンバーカードで確認する場合は、対応するカードリーダー等を使います。利用者本人が自分の介護情報を見る入口はマイナポータルですが、使える時期や情報は、市町村の対応状況によって異なります。

まとめ

介護情報基盤は、介護の現場にある「情報の断絶」を解消するための大きな取り組みです。利用者・ご家族にとっては、ケアマネや施設が変わるたびに情報を伝え直す手間がなくなることが大きなメリットです。

今すぐ特別な準備は不要です。マイナンバーカードを持っておくと今後スムーズになる、という点だけ覚えておけば十分です。引き続き制度の動向が気になる場合は、ケアマネジャーや市区町村の窓口に気軽に相談してください。

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この記事を書いた人

介護福祉ナビ運営者

元福祉用具専門相談員。福祉用具の選定、住環境整備、退院支援などに携わった経験をもとに、在宅介護で役立つ情報を発信しています。

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