小規模多機能型居宅介護とは?通い・訪問・泊まりの仕組みと料金・併用できるサービス【家族向け】

小規模多機能型居宅介護の事業所の居間で、高齢者とスタッフがお茶を飲みながら談笑しているイラスト ・サービス・施設
「デイサービスには通っているけれど、最近は夜も心配になってきた」「泊まりも、ときどき必要になりそう」。そんなときに知っておきたいのが、小規模多機能型居宅介護(小多機)です。 小規模多機能型居宅介護は、「通い」を中心に、「訪問」と「泊まり」を、同じ事業所が、同じなじみの職員で組み合わせて提供する介護保険のサービスです。料金は、利用した回数ではなく、要介護度ごとの月額の定額です。この記事では、仕組み、料金、使える人、ほかのサービスとの併用、向いている人とそうでない人、利用までの流れを、厚生労働省の資料をもとに整理します。 先に結論
  • 「通い」「訪問」「泊まり」を、1つの事業所が柔軟に組み合わせる。事業所に「登録」して使う
  • 料金は要介護度別の月額の定額。要介護1で月10,458円(1割負担・基本部分)から、要介護5で月27,209円まで。食費・宿泊費・おむつ代などは別
  • 使えるのは、要介護1〜5の人(要支援1・2は「介護予防小規模多機能型居宅介護」)。地域密着型サービスなので、市町村が指定・監督する
  • 国の標準では、1つの事業所の登録定員は29人以下。通いは最大18人、泊まりは最大9人(市町村の条例で異なる場合がある)
  • 登録すると、ケアプランはその事業所のケアマネジャーが作る。通常の登録利用中は、ほかの訪問介護やデイサービスを、原則として併用できない

※この記事は、元福祉用具専門相談員の立場から、厚生労働省の公開資料で確認できた内容をもとに作成しています。報酬や基準は改定されることがあります。実際の料金や利用できる内容は、お住まいの市町村や事業所で確認してください。

▶ 動画でも解説しています(約3分20秒)

小規模多機能型居宅介護とは

厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」では、次のように説明されています。利用者が可能な限り自立した日常生活を送れるよう、利用者の選択に応じて、施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や、自宅への「訪問」を組み合わせ、家庭的な環境と地域住民との交流のもとで、日常生活上の支援や機能訓練を行います。 2006年(平成18年)4月に創設されました。要介護の人が、中重度になっても、在宅での生活を続けられるように支えることが、目的とされています。
サービス 内容
通い 事業所に通って、入浴・排せつ・食事などの介護や、機能訓練を受ける。サービスの中心
訪問 職員が、利用者の自宅を訪問して、介護や家事などの支援を行う。状態や希望に応じて、随時組み合わせる
泊まり 事業所に、短期間泊まる。宿泊室は原則1人室で、床面積7.43㎡以上(4.5畳程度)が基準。個室以外の設備を使う例外もあるため、見学のときに確認する
厚生労働省の資料には、「どのサービスを利用しても、なじみの職員によるサービスが受けられる」とあります。また、通い・訪問・泊まりの人員配置は、固定にしないとされ、柔軟に動けるようになっています。

「地域密着型サービス」とは

小規模多機能型居宅介護は、市町村が指定・監督する地域密着型サービスです。原則として、事業所のある市町村の被保険者が対象になります。住んでいる市町村の事業所を探してください。

使える人と、登録するときに変わること

  • 要介護1〜5の人が対象です。要支援1・2の人は、「介護予防小規模多機能型居宅介護」を使います。
  • 事業所に「登録」して使います。登録できる人数に上限(登録定員)があるため、満員のときは、空きを待つことになります。
  • ケアプランは、登録した事業所のケアマネジャー(介護支援専門員)が作ります。これまでの居宅介護支援事業所のケアマネジャーとは、担当が変わります。現在の担当者からの引き継ぎについては、登録の前に相談してください。
  • 利用の相談は、担当のケアマネジャーか、地域包括支援センターに。要介護認定の申請は要介護認定の申請方法と手順をご覧ください。

基準で決まっていること

項目 基準
登録定員 1事業所につき29人以下
通いの利用定員 原則として登録定員の2分の1以上・15人以下。登録定員が26・27人なら16人、28人なら17人、29人なら18人まで設定できる
泊まりの利用定員 通いの利用定員の3分の1〜9人の範囲
職員(日中) 常勤換算で、通いの利用者3人につき1人以上+訪問担当1人以上(利用者数は原則として前年度の平均で計算)。従業者のうち看護師または准看護師が1人以上必要
職員(夜間) 原則として夜勤1人以上+宿直に必要な人数。宿泊者がいない場合は、夜間の訪問に必要な連絡体制などを条件に、配置の例外がある
ケアマネジャー 事業所に介護支援専門員1人(計画作成の担当)
管理者 特養・通所介護などの従業者や訪問介護員などとして、認知症の人の介護に3年以上従事し、所定の研修を修了した人。原則として常勤・専従で、管理上支障がなければ兼務できる
運営推進会議 利用者、家族、地域住民、市町村の職員、地域包括支援センターの職員などによる会議を、おおむね2か月に1回以上開き、活動状況を報告・評価する
※出典:厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会 資料(令和5年6月)、基準省令。国の標準の基準で、本体事業所のものです。市町村の条例で異なる定員を定めている場合があります。登録定員18人以下の「サテライト型事業所」もあります(通いは最大12人、泊まりは最大6人)。

料金|月額の定額

要介護度 1か月の利用者負担(1割)
同一建物に居住する者以外
同一建物に居住する者
要支援13,450円3,109円
要支援26,972円6,281円
要介護110,458円9,423円
要介護215,370円13,849円
要介護322,359円20,144円
要介護424,677円22,233円
要介護527,209円24,516円
※出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」(小規模多機能型居宅介護)。1単位10円で換算した、1割負担・加算を含まない基本部分の月額の目安で、地域によって金額が異なります。「同一建物に居住する者」は、小規模多機能の事業所と同じ建物に住んでいる場合の区分です。実際の支払額には、各種加算と食費・宿泊費などが加わります。サービス費用の設定は改定されることがあります。
  • 原則として、登録している期間の基本料金は、通いの回数や泊まりの日数にかかわらない月額の定額です。あまり使わなかった月も、同じ額です。月の途中で登録・終了した場合などは、日割りになります。
  • 食費・宿泊費・おむつ代などの日常生活費は、別に負担します。
  • 事業所の体制や、利用者の状態に応じた加算があります。例は、初期加算(登録後30日以内、1日30単位)、認知症加算(月460〜920単位)などです。認知症加算には、対象者や事業所の体制の要件があります。基本料金とは別に、確認が必要です。
  • 一定以上の所得のある65歳以上の人は、自己負担が2割または3割になります。上の表は1割負担の額です。自分の負担割合は、介護保険負担割合証で確認できます。
個別に契約するデイサービス・訪問介護・ショートステイは、使った回数や時間に応じた料金になります。どちらが安いかは、使い方によって違います。事業所に、今の利用を伝えて、見積もりをもらって比べてください。

ほかのサービスとの併用

種類 扱い
併用できる 訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与(厚生労働省の資料)
併算定できない 訪問入浴介護。ただし、看取り期などで通いが難しい人の入浴の機会を確保するために、事業者の負担で提供することは認められている
通常の登録利用中は、原則として介護保険で併算定できない 訪問介護、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)など。これらにあたる内容は、小規模多機能の「訪問」「通い」「泊まり」で行う
福祉用具のレンタルは、併用できます。介護ベッドや車いすなどが必要になったときは、ケアマネジャーに相談してください。借りられる種目は要支援1・要介護1で借りられる福祉用具の早見表にまとめています。 併用できても、保険給付が無制限になるわけではありません。小規模多機能の基本報酬と、併用する福祉用具貸与・訪問看護などは、原則として区分支給限度基準額の範囲で組み合わせます。限度額を超える部分は全額自己負担です(一部の加算などは限度額管理の対象外です)。限度額の考え方は介護保険の区分支給限度額とはで解説しています。特定福祉用具購入と住宅改修も、それぞれの支給要件を満たせば利用できます。月額の定額には含まれず、月々の区分支給限度基準額とは別枠です。住宅改修は、着工の前に市町村への申請が必要です。

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事業所の対応の範囲を超える部分を、補いたいとき

小規模多機能は、通い・訪問・泊まりを、事業所の体制の範囲で組み合わせます。事業所の対応の範囲にない部分は、介護保険外のサービスで補う方法もあります。イチロウは、事業所とは別に契約する民間の介護保険外サービスで、利用は任意です。対応地域、料金、希望する日時に対応できるかどうかは、事業者に確認してください。小規模多機能の利用に、このサービスの契約は必要ありません。

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※介護保険のサービスについては、まず担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください

向いている人・向かない人(仕組みから考える)

メリット

  • 通い・訪問・泊まりを、同じ事業所で、なじみの職員から受けられる。状態の変化に合わせて、組み合わせを変えやすい
  • 事業所内のケアマネジャーと職員が連携するため、状況に応じた調整をしやすい仕組みです。希望する日時の利用は、空きや職員体制によって調整します
  • 運営推進会議で、家族や地域住民、市町村の職員、地域包括支援センターの職員が、事業所の活動を確認する仕組みがある

注意したい点

  • 登録定員は国の標準で最大29人で、満員のときは待つことがある
  • ケアマネジャーが事業所のケアマネジャーに変わる。今のケアマネジャーとの関係を大切にしたい人は、事前に相談する
  • 今通っているデイサービスや、訪問介護の事業所を、そのまま使い続けることは、原則としてできない
  • 事業所の数は、地域によって差が大きい。令和4年4月審査分では、65歳以上人口10万人あたりの請求事業所数が、都道府県によって7.0〜37.4か所でした。現在の空き状況を示す数字ではありません
  • 月額は定額のため、あまり使わない月は、割高に感じることがある

利用までの流れ

  1. 担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する:要介護認定を受けていない場合は、先に申請する
  2. 市町村内の事業所を探し、見学・面談する:通い・泊まりの様子、職員の体制、空きの状況を確認する
  3. 事業所に登録・契約する:ケアプランの担当が、事業所のケアマネジャーに変わる
  4. サービスを使い始める:通い・訪問・泊まりを、ケアプランに沿って組み合わせる

事業所を見学するときに確認したいこと

  • 登録枠の空きに加え、希望する曜日・時間の通いと、泊まりの空き。送迎の範囲と時間、短時間の通いや夕食後の帰宅への対応
  • 夜間の体制(泊まりがない夜の訪問対応の体制を含む)
  • 月額(要介護度別)と、日常生活費(食費・宿泊費・おむつ代など)の内訳
  • 加算の内容と、合計の目安
  • 医療的なケアや認知症への対応。小規模多機能でも、医師・看護職との連携で看取りを支える事業所がありますが、すべての事業所が対応するわけではないため、夜間の連絡方法、急変時の対応、家族への支援も確認する
  • 今のデイサービスや訪問介護からの切り替えの手順

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)もあります

「看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)」は、要介護1〜5の人を対象に、通い・泊まり・訪問介護と、訪問看護を組み合わせるサービスです。要支援1・2の人は利用できません。料金などは異なるので、市町村や事業所に確認してください。

よくある質問

Q. 通う回数や、泊まる日数は、決まっていますか?

月額は定額で、回数や日数の上限は、ケアプランと事業所の体制によって決まります。利用の希望は、ケアマネジャーに伝えてください。

Q. 認知症があっても利用できますか?

利用できます。認知症のある人へのサービス提供の加算があるなど、認知症の人の利用も想定された仕組みです。事業所ごとに対応の経験が違うので、見学のときに、具体的に確認してください。

Q. 今のデイサービスを続けながら、泊まりだけ使えますか?

通常の登録利用では、今のデイサービスとの併用は、原則としてできません。通いも泊まりも、登録した事業所のサービスを使う形になります。ただし、登録者以外が一定の要件で利用する「短期利用居宅介護」があります。原則7日以内(やむを得ない事情がある場合は14日以内)で、空きやケアマネジャーの判断などの要件があり、通常の登録利用とは料金の仕組みも異なります。今のデイサービスを続けたい場合は、小規模多機能以外の組み合わせも、ケアマネジャーと比べてください。

Q. 他の市町村の事業所を使えますか?

原則は、事業所のある市町村の被保険者が対象です。ただし、住所地特例の対象者が施設の所在地の市町村のサービスを利用する場合や、所在地の市町村の同意を得て、利用者の保険者の市町村が区域外の事業所を指定する場合などがあります。市町村の介護保険窓口に確認してください。

Q. 要支援でも使えますか?

使えます。要支援1・2の人は、「介護予防小規模多機能型居宅介護」を使います。月額は、要支援1で3,450円、要支援2で6,972円(1割負担・同一建物に居住する者以外)です。

まとめ

  • 小規模多機能は、通い・訪問・泊まりを、1つの事業所が、なじみの職員で組み合わせる、月額定額のサービス
  • 使えるのは要介護1〜5(要支援1・2は介護予防型)。市町村内の事業所に登録する
  • ケアマネジャーは、事業所のケアマネジャーに変わる。訪問介護・デイ・ショートは原則併用しないが、訪問看護や福祉用具貸与は併用できる
  • 月額は要介護1で10,458円〜要介護5で27,209円(1割負担・基本部分)。食費・宿泊費などは別
まず迷ったら、担当のケアマネジャーか、地域包括支援センターに、今の暮らしの困りごとを伝えてみてください。

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参考資料

  • 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」小規模多機能型居宅介護:ページ
  • 厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会(第218回)資料「小規模多機能型居宅介護」(令和5年6月28日):資料
  • 厚生労働省「介護保険制度の概要」(令和7年7月):資料

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