介護保険負担割合証はいつ届く?1割・2割・3割の決まり方と1年だけ割合が上がる理由【専門相談員が解説】

介護保険負担割合証はいつ届く?1割・2割・3割の決まり方を専門相談員が解説 ・制度・保険

「7月に介護保険負担割合証というものが届いたけれど、これは何?」

「去年は1割だったのに、今年は2割になっている。なぜ?」

※この記事は、元福祉用具専門相談員として実際の相談現場で多かった事例や質問をもとに作成しています。

介護保険負担割合証は、介護保険のサービスを使ったときに自己負担が1割・2割・3割のどれになるかが書かれた証明書です。要介護・要支援の認定を受けている人に、市区町村から毎年送られてきます。

この記事では、いつ届くのか、割合はどう決まるのか、そして去年と割合が変わってしまう理由までを整理します。

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この記事は「介護サービス費の自己負担が何割になるか」を確認する記事です。自己負担が高額になったときの払い戻しは高額介護サービス費、施設やショートステイの食費・居住費の軽減は介護保険負担限度額認定証、1か月に使えるサービス量の上限は区分支給限度額で確認してください。

判定の詳細や交付の時期は市区町村によって運用が異なる部分があるため、最終的な確認はお住まいの市区町村の介護保険担当窓口へお願いします。

結論|負担割合は「前年の所得」で決まり、8月1日から1年間は変わらない

先に要点だけまとめます。

  • 負担割合証は毎年7月中旬以降に届く
  • 有効期間は8月1日から翌年7月31日まで。更新の申請は原則不要
  • 割合は前年の所得で決まる(1〜7月に使ったサービスは前々年の所得で判定)
  • 市町村民税が非課税なら、所得にかかわらず1割
  • 40〜64歳の方(第2号被保険者)は所得にかかわらず一律1割
  • 不動産の売却などで一時的に所得が増えると、その1年だけ割合が上がることがある

介護保険負担割合証はいつ届く?

要介護・要支援の認定を受けている方には、毎年7月中旬以降に市区町村から郵送されます。更新の手続きは原則として必要ありません。自動的に届きます。

新しく認定を受けた方には、申請から1週間程度で送られてくるのが目安です(自治体によって異なります)。

なお、この負担割合証のように定期的に変わる情報と、被保険者番号や氏名のように変わらない情報を分けて整理する案が、国の審議会で検討されています。変わる情報はマイナポータルで確認できるようにする方向です。詳しくは介護情報基盤とは?をご覧ください。

8月になっても届かないとき

次のような場合は、市区町村の介護保険担当窓口へ確認してください。

  • 8月1日を過ぎても届かない
  • 転居・転入したばかりで、前の住所に送られている可能性がある
  • 要介護認定の申請中で、まだ結果が出ていない

なくしてしまったとき

市区町村の窓口で再交付を受けられます。手続きの方法(窓口・郵送・オンライン)は自治体によって違うので、問い合わせてから動くと確実です。

負担割合証は介護保険被保険者証とは別の紙です。2枚セットで保管しておくと、サービス事業者に提示するときに慌てずに済みます。被保険者証そのものについては介護保険被保険者証とは?で解説しています。

1割・2割・3割はどう決まるか|判定は2段階

負担割合は2つの基準を順番に見て決まります。1つめで「2割・3割の候補」になっても、2つめで下がることがあります。

第1段階:本人の合計所得金額

本人の合計所得金額 区分
160万円未満 1割
160万円以上220万円未満 2割の候補
220万円以上 3割の候補

第2段階:同じ世帯の65歳以上全員の「年金収入+その他の合計所得金額」

第1段階で候補になっても、同じ世帯にいる65歳以上(第1号被保険者)全員の合計額で下がることがあります。

世帯に65歳以上が本人だけ 65歳以上が2人以上 負担割合
280万円未満 346万円未満 1割
280万円以上340万円未満 346万円以上463万円未満 2割
340万円以上 463万円以上 3割

ここは本人だけでなく世帯で見るところです。同居している配偶者や親族に65歳以上の方がいる場合、その方の年金収入も合算されます。

この2つに関係なく1割になる人

  • 市町村民税が非課税の方(市区町村の条例で免除されている場合を含む)
  • 生活保護を受けている方
  • 40〜64歳の方(第2号被保険者)……所得にかかわらず一律1割です

所得の基準に当てはまりそうでも、住民税が非課税であればそれだけで1割です。

★一時的に所得が増えた年は、1年だけ割合が上がることがあります

私が在宅を回っていた頃によく見たのが、不動産の売却などで一時的に所得が増えて、負担割合がその1年だけ変わってしまうケースでした。毎年同じ負担が続くと思っていたご家族が、届いた負担割合証を見て驚かれることがありました。

負担割合は前年の所得で決まります。そのため、その年だけ大きな収入があると、翌年の8月から1年間だけ割合が上がることがあります。よくあるのは次のような場合です。

  • 親名義の土地や家を売った
  • 相続した不動産を売却した
  • 生命保険の満期金を受け取った
  • 退職金以外の一時的な所得があった

不動産を売ったときは「特別控除を引いたあと」で判定されます

ただし、不動産を売れば必ず割合が上がるわけではありません。負担割合の判定に使う合計所得金額は、土地・建物等の譲渡所得の特別控除を差し引いたあとの金額です。

厚生労働省の通知では、次の特別控除が対象として挙げられています。

売却の内容 特別控除額
居住用財産(自宅)を譲渡した場合 3,000万円
収用交換等のために土地等を譲渡した場合 最大5,000万円
特定土地区画整理事業・防災集団移転促進事業等 最大2,000万円
特定住宅地造成事業等 最大1,500万円
農地保有の合理化等のために農地等を売却した場合 最大800万円
特定の土地(平成21・22年に取得し所有期間5年超) 1,000万円
低未利用土地等の譲渡 100万円

たとえば親が住んでいた自宅を売った場合は3,000万円の特別控除があるので、譲渡益がその範囲に収まれば負担割合には影響しません。控除しきれない分が出たときに、はじめて合計所得金額が跳ね上がります。

上がっても、その1年だけです

翌年の所得が元に戻れば、その次の8月からは元の割合に戻ります。「一度上がったらずっと」ではありません。

とはいえ、2割・3割になる年はサービスの自己負担が2倍・3倍になります。売却の予定があるなら、売る前に市区町村の介護保険担当窓口へ「介護の負担割合にどう響くか」を確認しておくと、ケアプランの組み方を先に相談できます。売ってしまってからでは選びようがありません。

同じ時期に、施設やショートステイの食費・居住費の軽減(負担限度額認定)も外れることがあります。こちらは市町村民税が非課税であることが前提なので、課税になるとその年は対象外です。詳しくは介護保険負担限度額認定証とは?で解説しています。

判定に使うのは「いつの所得」か

ここは間違えやすいところです。

サービスを使った月 判定に使う所得
8月〜12月 その年の前年の所得
1月〜7月 その年の前々年の所得

住民税が前年の所得をもとに毎年6月ごろ決まるため、そこから8月に切り替わる仕組みになっています。「今年の収入」ではなく「去年(または一昨年)の収入」で決まると覚えておくと混乱しません。

年の途中で割合が変わることもあります

8月に決まった割合は原則1年間そのままですが、次の場合は途中で見直されます。

  • 世帯構成が変わったとき……転入・転出・転居・死亡、そして同居している家族が65歳になったとき。世帯の65歳以上が増えると、第2段階の基準が「本人だけ」から「2人以上」に変わります
  • 所得更正があったとき……修正申告などで過去の所得が変わった場合。8月1日まで遡って再判定されます

再判定で割合が下がった場合、すでに支払った分との差額は調整されます。

負担割合証はどこを見ればいい?

負担割合証で確認したいのは次の3つです。

  • 利用者負担の割合……1割・2割・3割のどれか
  • 適用期間……いつからいつまでか(通常は8月1日〜翌年7月31日)
  • 被保険者番号……介護保険被保険者証と同じ番号か

届いたらケアマネジャーとサービス事業者に提示してください。提示がないと、事業者が正しい割合で請求できません。

割合が上がったときに確認できること

2割・3割になっても、自己負担が無制限に増えるわけではありません。

  • 高額介護サービス費……1か月の自己負担が上限を超えた分は、あとから払い戻されます。上限額は所得によって変わります。詳しくは高額介護サービス費の申請方法で解説しています
  • 高額医療・高額介護合算療養費……医療と介護の自己負担を1年間で合算して、上限を超えた分が払い戻される制度です
  • 医療費控除……サービスの種類によっては、自己負担分が医療費控除の対象になる場合があります

ほかの軽減制度もあわせて確認したい方は介護保険の自己負担を減らす方法にまとめています。

よくある質問

Q. 去年は1割だったのに、今年は2割になりました。なぜですか?

A. 前年の所得が増えたためです。年金額の改定、不動産の売却、生命保険の満期金、同居している65歳以上の家族の所得の変化などが原因になります。所得が元に戻れば、翌年の8月からは1割に戻ります。

Q. 負担割合証が届きません。

A. 要介護・要支援の認定を受けていない場合は交付されません。認定を受けているのに届かない場合は、市区町村の介護保険担当窓口へ確認してください。転居直後は前住所へ送られていることがあります。

Q. 40代ですが、介護保険のサービスを使っています。何割ですか?

A. 40〜64歳の方(第2号被保険者)は所得にかかわらず一律1割です。

Q. 世帯分離をすれば割合が下がりますか?

A. 下がる場合があります。負担割合の第2段階は「同じ世帯の65歳以上全員」の合計で判定するためです。ただし世帯分離は保険料や他の制度にも影響し、家庭の事情によっては不利になることもあります。市区町村の窓口とケアマネジャーに相談してから判断してください。(なお、食費・居住費を軽減する負担限度額認定では、世帯分離をしていても配偶者は同一世帯として扱われます)

Q. 親の家を売る予定です。介護の負担にどう影響しますか?

A. 自宅の売却には3,000万円の特別控除があるため、譲渡益がその範囲に収まれば負担割合には影響しません。控除しきれない譲渡益が出ると、翌年8月からの1年間だけ2割・3割になる可能性があります。同時に食費・居住費の軽減(負担限度額認定)も外れることがあります。売却前に市区町村の介護保険担当窓口へ相談することをおすすめします。

Q. 負担割合は要介護度で変わりますか?

A. 変わりません。負担割合は所得だけで決まります。要介護度で変わるのは、1か月に使えるサービス量の上限(区分支給限度額)です。

まとめ

  • 負担割合証は毎年7月中旬以降に届き、8月1日から翌年7月31日まで有効。更新申請は原則不要
  • 判定は2段階。本人の合計所得金額(160万円・220万円)世帯の65歳以上全員の年金収入等(280/340万円・346/463万円)
  • 市町村民税非課税、生活保護、40〜64歳は一律1割
  • 使うのは前年の所得(1〜7月のサービスは前々年)
  • 不動産の売却などで一時的に所得が増えると、その1年だけ割合が上がることがある。ただし自宅なら3,000万円の特別控除を引いたあとで判定される
  • 売却の予定があるなら売る前に窓口へ相談。食費・居住費の軽減も同時に外れることがある

届いた負担割合証は、必ずケアマネジャーとサービス事業者に見せてください。判断に迷うときは市区町村の介護保険担当窓口が確実です。

参考資料

※内容は2026年8月1日時点のものです。交付時期・再交付の手続き・郵送方法は市区町村によって運用が異なる場合があります。最終的な判断は必ずお住まいの市区町村の介護保険担当窓口で確認してください。

この記事を書いた人

介護福祉ナビ運営者

元福祉用具専門相談員。

福祉用具の選定、住環境整備、退院支援などに携わった経験をもとに、在宅介護で役立つ情報を発信しています。

実際の相談現場で多かった悩みや失敗例をもとに、家族が判断しやすい形で解説しています。

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この記事を書いた人
マッツ

福祉用具専門相談員として15年以上、在宅で暮らす高齢者とご家族の福祉用具選定・住宅改修に関わってきました。保有資格は福祉用具専門相談員(指定講習修了)、福祉住環境コーディネーター2級、介護支援専門員(有資格)。現在は介護業界を離れているため、特定のメーカーや事業者の立場に縛られずに書けるのが強みです。制度は公的機関の情報を確認して正確に、現場のことは見てきたまま正直に。その方針で「介護福祉ナビ」を運営しています。滋賀県在住。

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