介護保険の自己負担を減らす方法【使える制度を専門相談員がわかりやすく解説】

・制度・保険
介護保険の自己負担を減らす方法

「介護保険を使っているのに毎月の費用が高くて家計が苦しい」
「自己負担を減らせる制度があると聞いたけどよくわからない」

介護保険サービスを利用すると
1〜3割の自己負担が毎月かかります。

要介護度が高くなるほど
利用するサービスも増え
費用の負担も大きくなります。

しかし実は介護保険には
自己負担を大幅に減らせる
複数の軽減制度があります。

知っているかどうかで
毎月数千円〜数万円の差が出ることもあります。

この記事では、福祉用具専門相談員として15年間、
多くのご利用者・ご家族の費用相談をしてきた経験をもとに、
介護保険の自己負担を合法的に減らす方法を
わかりやすく解説します。

この記事でわかること
・介護保険の自己負担の基本
・高額介護サービス費制度
・高額医療・高額介護合算制度
・補足給付(食費・居住費の軽減)
・世帯分離のメリット・注意点
・税金の控除で取り戻す方法

介護保険の自己負担の基本

介護保険サービスを利用すると
費用の1〜3割を自己負担します。

自己負担割合の決まり方

所得の状況自己負担割合
一般の方1割
現役並み所得者(単身年収280万円以上など)2割
現役並み所得者(単身年収340万円以上など)3割

⚠️ 自己負担割合は毎年8月に見直されます。
「介護保険負担割合証」で自分の割合を確認しましょう。

区分支給限度額とは

介護保険で使えるサービスには
要介護度ごとに上限額(区分支給限度額)があります。

上限を超えた分は全額自己負担になります。

要介護度月の上限額(目安)
要支援1約50,320円
要支援2約105,310円
要介護1約167,650円
要介護2約197,050円
要介護3約270,480円
要介護4約309,380円
要介護5約362,170円

💡 上限いっぱいまで使わなくてもOKです。
必要なサービスだけ選んで費用を抑えることもできます。

① 高額介護サービス費制度

介護保険サービスの自己負担額が
1ヶ月の上限額を超えた場合に
超えた分が払い戻される制度です。

月の自己負担の上限額

所得の区分月の上限額
生活保護受給者15,000円
世帯全員が住民税非課税(低所得Ⅰ)15,000円
世帯全員が住民税非課税(低所得Ⅱ)24,600円
住民税課税世帯44,400円
現役並み所得者44,400円

具体例

要介護3の方が住民税課税世帯の場合👇

・月のサービス利用額:270,480円
・自己負担(1割):27,048円
・上限額:44,400円
→ 上限以下なので払い戻しなし

・自己負担が44,400円を超えた場合
→ 超えた分が払い戻されます!

申請方法

⚠️ 自動的には払い戻されません。
初回は市区町村の介護保険担当窓口に
申請が必要です。

一度申請すると翌月以降は
自動的に振り込まれるようになります。

必要なもの
・介護保険被保険者証
・領収書
・振込先の口座情報

💡 知らずに損している方がとても多い制度です。
心当たりのある方はすぐに窓口へ!

② 高額医療・高額介護合算療養費制度

医療費と介護費を合算して
年間の上限額を超えた分が
払い戻される制度です。

どんな人に向いている制度?

・病院に通いながら介護サービスも使っている方
・医療費と介護費が両方かかっている世帯

医療費だけでも介護費だけでも
上限に達しない場合でも
合算すると上限を超えて
払い戻しが受けられることがあります。

年間の上限額(目安)

所得の区分年間上限額
住民税非課税(低所得Ⅰ)19万円
住民税非課税(低所得Ⅱ)31万円
一般56万円
現役並み所得者Ⅰ67万円
現役並み所得者Ⅱ141万円
現役並み所得者Ⅲ212万円

計算期間と申請方法

計算期間:毎年8月〜翌年7月の1年間

申請窓口
・医療保険(健康保険組合・協会けんぽ・国民健康保険)
・介護保険(市区町村の窓口)

⚠️ こちらも自動払い戻しではありません。
毎年申請が必要です。

💡 医療費と介護費が多い年は
必ず確認してみましょう!

③ 補足給付(特定入所者介護サービス費)

施設に入所・ショートステイを利用する際の
食費・居住費を軽減する制度です。

対象者

以下の条件をすべて満たす方が対象です。

✅ 介護保険施設(特養・老健・療養型)または
  ショートステイを利用している
✅ 世帯全員が住民税非課税
✅ 預貯金等が一定額以下
 (単身:1,000万円以下 夫婦:2,000万円以下)

負担段階と軽減額の目安

負担段階食費(1日)居住費・個室(1日)
第1段階300円820円
第2段階390円820円
第3段階①650円1,310円
第3段階②1,360円1,310円
第4段階(一般)1,445円2,006円

💡 第4段階(一般)と比べると
第1段階では食費だけで
月に約34,000円の差が出ます!

申請方法

市区町村の介護保険担当窓口に申請します。

必要なもの
・介護保険被保険者証
・マイナンバーカードまたは通知カード
・預貯金通帳のコピー(直近2ヶ月分)


④ 社会福祉法人による利用者負担軽減制度

社会福祉法人が運営する施設・事業所では
低所得者の自己負担を
最大25%軽減できる制度があります。

対象者の条件

✅ 住民税非課税世帯
✅ 年間収入が単身150万円以下など
✅ 預貯金が単身350万円以下など
✅ 日常生活に供する資産以外に
  活用できる資産がない

軽減される費用

・介護サービスの自己負担(25%軽減)
・食費・居住費(25%軽減)
・生活保護受給者は50%軽減

申請方法

市区町村の窓口で申請後
「社会福祉法人等利用者負担軽減確認証」を
もらって施設に提示します。

⚠️ すべての施設が対象ではありません。
社会福祉法人が運営する施設のみです。

⑤ 世帯分離で自己負担を減らす

世帯分離とは
同じ住所に住む家族の住民票を
別の世帯に分けることです。

世帯分離のメリット

介護保険の自己負担割合や
高額介護サービス費の上限額は
「世帯の所得」で判定されます。

子どもと同居している親の場合
子どもの収入が高いと
親の介護費用の負担が増えることがあります。

世帯分離をすることで
親だけの所得で判定されるため
・自己負担割合が下がる場合がある
・高額介護サービス費の上限が下がる場合がある
・補足給付が受けられる場合がある

世帯分離の手続き

市区町村の窓口で
「世帯分離届」を提出するだけです。
費用はかかりません。

⚠️ 注意点

世帯分離には
デメリットもあります。

・国民健康保険料が上がる場合がある
・扶養控除が使えなくなる場合がある
・高額療養費の合算ができなくなる

必ずケアマネジャーや
市区町村の窓口に相談してから
判断してください。


⑥ 税金の控除で取り戻す

医療費控除

介護サービスの費用の一部は
確定申告で医療費控除の対象になります。

医療費控除の対象になる主な介護サービス
・訪問看護
・訪問リハビリテーション
・居宅療養管理指導
・通所リハビリテーション(デイケア)
・特養・老健などの施設サービス費の一部
・おむつ代(医師の証明書が必要)

⚠️ デイサービス(通所介護)は
原則として医療費控除の対象外です。

障害者控除

要介護認定を受けている方は
市区町村に申請することで
「障害者控除対象者認定書」を発行してもらい
確定申告で障害者控除を受けられます。

・一般障害者控除:27万円
・特別障害者控除:40万円

💡 障害者手帳がなくても
要介護認定を受けていれば申請できます。
知らない方がとても多い制度です!

## よくある質問

Q. 高額介護サービス費は自動的に払い戻されますか?

A. 自動払い戻しではありません。初回は市区町村の介護保険担当窓口に申請が必要です。一度申請すると翌月以降は自動的に振り込まれるようになります。心当たりのある方はすぐに窓口に確認しましょう。

Q. 世帯分離はすぐにできますか?

A. 市区町村の窓口で届出をするだけなので手続き自体は簡単です。ただし国民健康保険料の変動や扶養控除への影響など、メリット・デメリットを十分に確認してから行うことをおすすめします。必ずケアマネジャーや市区町村の窓口に相談してから決めましょう。

Q. 障害者控除は誰でも受けられますか?

A. 要介護認定を受けている方は障害者手帳がなくても申請できます。市区町村に「障害者控除対象者認定書」を申請して確定申告で控除を受けましょう。要介護1・2は一般障害者控除、要介護3以上は特別障害者控除が受けられる場合があります(市区町村によって異なります)。

Q. これらの制度はケアマネジャーが教えてくれますか?

A. 担当のケアマネジャーによって異なります。積極的に教えてくれるケアマネジャーもいますが、費用軽減の制度まで詳しくない場合もあります。自分から「自己負担を減らせる制度はありますか?」と聞いてみることをおすすめします。

Q. 複数の制度を同時に使えますか?

A. はい、使えます。たとえば「高額介護サービス費」と「補足給付」は同時に利用できます。また確定申告での医療費控除・障害者控除もあわせて活用できます。使える制度をすべて組み合わせることで負担を大幅に減らすことができます。

まとめ:知っているだけで毎月の負担が大きく変わる

介護保険の自己負担を減らす方法をおさらいします。

✅ ① 高額介護サービス費
 月の自己負担が上限を超えたら払い戻される
 → 初回は窓口に申請が必要!

✅ ② 高額医療・高額介護合算制度
 医療費+介護費の年間合算に上限がある
 → 毎年申請が必要!

✅ ③ 補足給付
 施設入所時の食費・居住費が軽減される
 → 住民税非課税世帯が対象!

✅ ④ 社会福祉法人の軽減制度
 低所得者の自己負担を最大25%軽減
 → 社会福祉法人運営の施設が対象!

✅ ⑤ 世帯分離
 親だけの所得で判定されるため負担が下がる場合がある
 → デメリットも確認してから!

✅ ⑥ 税金の控除
 医療費控除・障害者控除で税金を取り戻せる
 → 確定申告で申請!

これらの制度は
「申請しなければ受け取れない」ものがほとんどです。

知っているかどうかで
毎月・毎年の負担が大きく変わります。

まずはケアマネジャーか
市区町村の介護保険担当窓口に
「使える軽減制度はありますか?」と
聞いてみることから始めましょう。

💡 介護保険の費用で困ったときは
まず地域包括支援センターに相談を。
無料でアドバイスしてもらえます。

関連記事もあわせてどうぞ
・要介護認定の申請方法をわかりやすく解説
・介護保険が使える住宅改修とは
・特別養護老人ホーム(特養)への入り方

関連記事

この記事を書いた人

介護福祉ナビ運営者

元福祉用具専門相談員。

福祉用具の選定、住環境整備、退院支援などに携わった経験をもとに、在宅介護で役立つ情報を発信しています。

実際の相談現場で多かった悩みや失敗例をもとに、家族が判断しやすい形で解説しています。

プロフィールページはこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました