介護にかかる費用は「一時費用」と「月々の費用」の2種類
介護にかかる費用は大きく2種類に分けられます。介護が始まるときにまとまった金額が必要な「一時費用(初期費用)」と、毎月継続的にかかる「月々の費用(継続費用)」です。
生命保険文化センターの調査(2021年)によると、介護に要した費用の平均は月額約8.3万円、一時費用の平均は約74万円となっています。ただしこれはあくまで平均値であり、在宅か施設かによって大きく異なります。事前に目安を知っておくことで、資金計画が立てやすくなります。
在宅介護にかかる費用の目安
自宅で介護保険サービスを利用しながら生活する場合の費用です。要介護度によって利用できるサービスの量が変わるため、費用も変動します。
月々の費用(介護保険サービスの自己負担)
| 要介護度 | 支給限度額(月額) | 自己負担1割の場合の上限 | 在宅での費用目安 |
|---|---|---|---|
| 要支援1 | 約50,320円 | 約5,032円 | 1〜3万円程度 |
| 要支援2 | 約105,310円 | 約10,531円 | 2〜5万円程度 |
| 要介護1 | 約167,650円 | 約16,765円 | 3〜8万円程度 |
| 要介護2 | 約197,050円 | 約19,705円 | 4〜10万円程度 |
| 要介護3 | 約270,480円 | 約27,048円 | 5〜15万円程度 |
| 要介護4 | 約309,380円 | 約30,938円 | 6〜18万円程度 |
| 要介護5 | 約362,170円 | 約36,217円 | 7〜20万円程度 |
※費用目安には、介護保険外のサービス(食費・日用品・おむつ代など)も含みます。所得によって自己負担が2割・3割になる場合があります。
一時費用(初期費用)
- 住宅改修費:手すり設置・段差解消など。介護保険で20万円まで9割給付(自己負担2万円〜)
- 福祉用具の購入費:シャワーチェア・ポータブルトイレなど。年10万円まで9割給付
- その他備品:介護用ベッド(レンタル)・おむつストックなど
施設介護にかかる費用の目安
施設に入居する場合は、在宅よりも費用が高くなることが多いです。ただし施設の種類によって差が大きく、特別養護老人ホーム(特養)は比較的費用を抑えられます。
| 施設の種類 | 月額費用の目安 | 内訳 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 5〜15万円 | 介護サービス費(1〜3割)+居住費+食費+日常生活費 |
| 介護老人保健施設(老健) | 8〜15万円 | 介護サービス費(1〜3割)+居住費+食費+日常生活費 |
| 介護医療院 | 8〜18万円 | 介護サービス費(1〜3割)+居住費+食費+日常生活費 |
| 介護付き有料老人ホーム | 15〜35万円 | 介護保険外の費用が多く含まれる。入居一時金が必要な場合も |
| グループホーム(認知症) | 10〜20万円 | 少人数のため費用は施設により差がある |
有料老人ホームは入居時に数十万〜数千万円の入居一時金が必要な場合があります。月額費用だけでなく、初期費用も含めて総額で検討することが大切です。
介護費用を軽減できる4つの制度
介護費用が家計を圧迫しないよう、いくつかの軽減制度が用意されています。知らずに損をしているケースも多いため、必ず確認しておきましょう。
①高額介護サービス費
1ヶ月の介護保険サービスの自己負担が一定の上限額を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。上限額は所得によって異なります。
| 所得区分 | 月額上限(個人) |
|---|---|
| 現役並み所得者(年収約383万円以上) | 44,400円 |
| 一般(住民税課税の方) | 44,400円 |
| 世帯全員が住民税非課税 | 24,600円 |
| 低所得者(年金収入80万円以下など) | 15,000円 |
高額介護サービス費は申請しないと払い戻しを受けられません。初めて上限を超えた月以降に市区町村から通知が来るので、必ず申請しましょう。
②特定入所者介護サービス費(補足給付)
施設や短期入所を利用する際の食費・居住費を軽減する制度です。世帯全員が住民税非課税の場合などに適用されます。所得・資産に応じて4段階の負担限度額が設定されており、差額が介護保険から給付されます。
③高額医療・高額介護合算療養費制度
1年間(8月〜翌7月)の医療費と介護費の合計が一定の上限を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。医療保険と介護保険の両方を使っている世帯に有利な制度です。
④介護休業給付金
家族の介護のために仕事を休む場合に、雇用保険から休業前賃金の67%が支給される制度です。対象家族1人につき通算93日まで取得でき、3回まで分割利用が可能です。介護のために仕事を辞める「介護離職」を防ぐために活用しましょう。
介護費用の準備はいつから始めるべきか
介護が必要になる平均年齢は75〜80歳前後といわれており、介護期間の平均は約5年です。在宅介護の場合は月8万円×60ヶ月=約480万円、施設入居の場合はさらに高くなります。
できれば60歳頃から介護費用のための資金を準備し始めることが理想です。親の介護だけでなく、自分自身が介護される側になることも視野に入れて、早めに家族で話し合っておくことが大切です。
まとめ:介護費用は「制度を使いこなして」賢く抑える
- 在宅介護の月額費用の目安は要介護度によって異なるが、平均約8万円
- 施設入居は月額5〜35万円と施設の種類によって大きな差がある
- 高額介護サービス費・補足給付など、費用を軽減できる制度が複数ある
- 軽減制度は「申請しないと使えない」ものが多いため、必ず確認を
- 介護費用の準備は早めに始めるほど余裕が生まれる
費用面で不安を感じたら、ケアマネジャーや市区町村の窓口、または地域包括支援センターに相談してみてください。一人で抱え込まず、使える制度を最大限に活用することが大切です。


コメント