高額介護サービス費とは?知らないと損する払い戻し制度
高額介護サービス費とは、1ヶ月に支払った介護保険サービスの自己負担額が一定の上限を超えた場合に、超えた分が後から払い戻される制度です。
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この記事は「高額介護サービス費の払い戻し」を確認する記事です。介護保険制度の基本は介護保険制度の基本、 利用できるサービスは介護保険で使えるサービスの種類一覧、自己負担が1割・2割・3割のどれになるかは介護保険負担割合証はいつ届く?で確認してください。
上限額や対象費用は世帯状況・所得区分で変わるため、通知が届いた場合や判断に迷う場合は市区町村窓口へ確認してください。
たとえば、要介護3の方が毎月2万7,000円の自己負担をしている場合、一般的な所得区分(上限44,400円)では払い戻しは発生しませんが、住民税非課税世帯(上限24,600円)であれば差額の2,400円が毎月払い戻されます。
この制度は「申請しなければ受け取れません」。せっかくの権利を見逃している方が非常に多いため、対象になるかどうかを必ず確認しましょう。
高額介護サービス費の上限額一覧【2026年度・令和8年度】
自己負担の上限額は、世帯の所得に応じて以下のように設定されています。

| 設定区分 | 対象者 | 月額上限 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 生活保護を受給している方等 | 15,000円(個人) |
| 第1段階 | 市町村民税世帯非課税の老齢福祉年金受給者 | 24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
| 第2段階 | 市町村民税世帯非課税で、公的年金等収入金額+その他の合計所得金額が82.65万円以下の方 ※2026年8月1日から80.9万円→82.65万円に引き上げ | 24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
| 第3段階 | 市町村民税世帯非課税で、第1段階・第2段階に該当しない方 | 24,600円(世帯) |
| 第4段階① | 市区町村民税課税世帯 〜 課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 44,400円(世帯) |
| 第4段階② | 課税所得380万円(年収約770万円)〜 690万円(年収約1,160万円)未満 | 93,000円(世帯) |
| 第4段階③ | 課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 | 140,100円(世帯) |
- 「世帯」は住民基本台帳上の世帯員のうち、介護サービスを利用した方全員の負担を合計した上限額です。「個人」はご本人ひとり分の上限額を指します。
- 第4段階の課税所得による判定は、同一世帯内の65歳以上の方の課税所得で行われます。
よくある勘違い:「上限は44,400円」で止まっている情報に注意
上限額を「一般世帯は一律44,400円」と説明している資料が今も出回っていますが、課税所得380万円以上の世帯は44,400円ではありません。380万〜690万円未満なら93,000円、690万円以上なら140,100円が上限です。ここを44,400円だと思い込んでいると、払い戻しが出る見込みを大きく読み違えます。(出典:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索/サービスにかかる利用料」厚生労働省の該当ページ)
同じ世帯内に介護保険利用者が2人以上いる場合は、世帯合計の自己負担額が上限を超えた分が払い戻しされます。夫婦で二人とも介護保険を使っているケースでは特に効果が大きくなります。
対象になる費用・ならない費用
高額介護サービス費の計算に含まれる費用と含まれない費用があります。事前に確認しておきましょう。
対象になる費用(払い戻し計算に含まれる)
- 訪問介護・通所介護(デイサービス)などの介護保険サービスの自己負担分
- ショートステイ(短期入所生活介護)の介護サービス費の自己負担分
- 施設サービス(特養・老健・介護医療院)の介護サービス費の自己負担分
対象にならない費用(含まれない)
- 施設での食費・居住費(室料)
- 日常生活費(洗濯代・理美容代など)
- 福祉用具購入費・住宅改修費
- 介護保険外のサービス費用(全額自己負担のサービス)
- 区分支給限度額を超えて使った分(全額自己負担になった部分)
食費・居住費が対象外なのは、別の軽減制度「特定入所者介護サービス費(補足給付)」で対応しているためです。所得の低い方は補足給付と合わせて活用することで、さらに費用を抑えられます。段階別の負担限度額と申請方法は介護保険負担限度額認定証とは?で解説しています。
いちばん誤解が多いのが、最後の「区分支給限度額を超えた分」です。高額介護サービス費が対象にするのは、あくまで介護保険から給付されたサービスの自己負担分です(介護保険法施行令第22条の2の2)。要介護度ごとの限度額を超えて使った部分は、そもそも保険給付の対象外なので、いくら払っても高額介護サービス費では戻ってきません。
つまり「使いすぎた月ほど戻ってくる」わけではないということです。限度額を超えた分は超えたまま、自己負担のまま残ります。限度額の考え方は介護保険の区分支給限度額とは?にまとめました。
申請方法と手順【ステップ別に解説】
STEP1:市区町村から届く「支給申請書」を確認する
初めて高額介護サービス費の上限を超えた月の翌月頃に、市区町村から「高額介護サービス費支給申請書」が郵送されてきます。この通知が届いたら、申請の手続きを行いましょう。
様式の名称や郵送先、記入例は市区町村ごとに違います。お住まいの市区町村名と「高額介護サービス費」を並べて検索すると、自治体が出している申請書のPDFや窓口の案内にたどり着けます。判断に迷う部分は、介護保険担当窓口かケアマネジャーに確認してください。
通知が届かない場合でも、心当たりがある方は市区町村の介護保険担当窓口に問い合わせることをおすすめします。
STEP2:申請書に必要事項を記入する
申請書に以下の内容を記入します。
- 被保険者の氏名・住所・介護保険被保険者証番号
- 払い戻しを受ける振込先口座(本人または家族の口座)
STEP3:市区町村の窓口に提出する(または郵送)
記入済みの申請書を市区町村の介護保険担当窓口に提出します。多くの自治体では郵送での提出も可能です。必要書類は以下の通りです。
- 高額介護サービス費支給申請書
- 介護保険被保険者証(→ 介護保険被保険者証とは?)
- 振込先が確認できるもの(通帳など)
- 本人確認書類(代理申請の場合)
STEP4:支給される
申請が受理されると、おおむね2〜3ヶ月後に指定口座に振り込まれます。一度申請すると、翌月以降は自動的に支給される自治体がほとんどです(毎月申請する必要はありません)。
立て替えなくて済む「受領委任払い」がある自治体も
ここまではいったん全額を払って、あとから戻してもらう「償還払い」を前提に説明しました。ただし自治体によっては、上限を超える分を最初から事業者に直接支払う「受領委任払い」を用意しているところもあります。この扱いなら、2〜3か月分を立て替えずに済みます。
大阪市のように申請書の様式名そのものに「受領委任払承認及び支給申請書」と入っている自治体もあれば、制度自体を設けていない自治体もあります。ここは全国共通ではありませんので、毎月の立て替えがきついと感じたら、市区町村の介護保険担当窓口で「受領委任払いはできますか」と聞いてみてください。
申請を忘れていた場合は?時効は2年
高額介護サービス費の申請には2年間の時効があります。過去2年分まで遡って申請することが可能です。「知らなかった」「申請するのを忘れていた」という方も、まず市区町村に問い合わせてみましょう。
過去の領収書や利用明細書が手元にある場合は、それをもとに計算してもらうことができます。ケアマネジャーに相談するとスムーズに対応してもらえます。
高額介護サービス費の計算例【具体的なシミュレーション】
【例】住民税非課税世帯の方(上限15,000円)が要介護3で在宅サービスを利用している場合
- デイサービス(週3回):自己負担 約12,000円
- 訪問介護(週2回):自己負担 約8,000円
- 訪問看護(月2回):自己負担 約3,000円
- 合計自己負担:約23,000円
→ 上限15,000円を8,000円超過 → 毎月8,000円が払い戻しされる
年間にすると96,000円の節約になります。この制度を知っているかどうかで、家計への影響は大きく変わります。
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払い戻しの「振込先の口座」でつまずくことがあります
支給申請書には振込先の口座を書く欄があり、通帳の確認も求められます。ここで初めて「親名義の口座を家族が動かせるのか」に突き当たる方がいます。認知症が進んで本人の意思確認ができなくなると、家族であっても本人名義の預金は動かせなくなることがあります。払い戻しの受け取りだけでなく、毎月の介護費用の支払いにも関わる部分です。家族信託は本人に判断能力があるうちにしか結べない契約なので、考えられる時期は限られます。
※制度の入口相談は地域包括支援センターでも受けられます。費用や手続きは家庭の事情によって変わります
医療費も重なった年は「高額医療・高額介護合算療養費」
高額介護サービス費は1か月ごと・介護だけで計算する制度です。これとは別に、1年間の医療費と介護費を合算して上限を超えた分が戻る制度があります。それが高額医療・高額介護合算療養費です。
入院と介護が重なった年は、高額療養費と高額介護サービス費をそれぞれ受け取ったうえで、それでも年間の合計が重い場合にもう一段の払い戻しがあると考えてください。毎年8月から翌年7月までの1年間が計算期間で、こちらも申請が必要です。介護保険と医療保険の両方に関わるため、まずは市区町村の介護保険担当窓口に相談するのが早道です。
自己負担を軽くする制度は、ほかにもいくつかあります。全体像は介護保険の自己負担を減らす方法にまとめました。
よくある質問
Q. 申請書が届かないのですが、対象外ということですか?
そうとは限りません。市区町村は給付実績から対象者を把握して通知を出しますが、転入直後や、月の途中で保険者が変わった場合などは通知が遅れることがあります。自己負担が上限を超えた心当たりがあるなら、通知を待たずに窓口へ問い合わせてください。
Q. 世帯が別なら上限も別々に計算されますか?
「世帯」は住民基本台帳上の世帯で判断されます。また課税所得による判定は同じ世帯にいる65歳以上の方の所得で行われるため、同居しているご家族の所得が上限額を左右することがあります。ただし介護費用を下げることだけを目的にした世帯分離は、住民票の趣旨から外れるため、窓口で実態を確認されます。生計が実際に分かれているかどうかが判断のもとになります。
Q. 施設に入っている親の食費や部屋代も戻りますか?
戻りません。食費と居住費は高額介護サービス費の対象外で、所得の低い方は負担限度額認定証という別の制度で軽減します。この2つは別々に申請が必要で、片方だけ出している方が少なくありません。
Q. 1割負担か2割負担かで、上限額は変わりますか?
上限額そのものは変わりません。上限額は所得区分で決まるものだからです。ただし負担割合が2割・3割の方は自己負担額が早く上限に届くため、払い戻しが発生しやすくなります。ご自身の割合は介護保険負担割合証で確認できます。
Q. 亡くなった親の分を家族が受け取れますか?
受け取れる場合があります。未支給分は相続人が請求する形になり、戸籍などで相続人であることを示す書類が必要です。必要書類は自治体によって違うので、まず窓口に確認してください。この場合も2年の時効は動き続けるので、後回しにしないことをおすすめします。
まとめ:高額介護サービス費は「申請が大前提」
- 1ヶ月の介護サービス自己負担が上限を超えたら払い戻しを受けられる
- 上限額は所得によって異なり、低所得の方ほど恩恵が大きい
- 食費・居住費・福祉用具購入費は対象外
- 市区町村から届く申請書に記入して窓口または郵送で提出する
- 申請を忘れていても2年以内なら遡って申請できる
- 一度申請すると翌月以降は自動支給されるケースが多い
「自分は対象になるの?」と思ったら、担当のケアマネジャーか市区町村の介護保険担当窓口に気軽に相談してみてください。利用料の明細書を持参すると、すぐに試算してもらえます。
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