介護保険でレンタルできる車いすの選び方|自走式・介助式・電動の違いを解説

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この記事の位置づけ:この記事は、介護保険で車いすをレンタルするときの条件や選び方を知りたい方向けの記事です。車いす全体の種類や特徴を先に知りたい方は、総合ガイドも参考にしてください。

車いす関連記事の役割整理
この記事は「介護保険レンタルの条件」「採寸」「付属品」を詳しく確認する記事です。車いすの種類を先に整理したい場合は車いすの種類と選び方完全ガイド、実際の使い方は車椅子の使い方・便利な活用法で確認できます。

車いすは基本的に要介護2以上で介護保険レンタルを検討しやすい用具です。要支援・要介護1の場合は、状態や必要性を専門職と確認してください。

「車いすが必要になったけど、どれを選べばいいかわからない」「自走式と介助式って何が違うの?」——車いすは介護保険でレンタルできる福祉用具の中で、最も種類が多く、選び方が複雑な用具のひとつです。

間違った車いすを選ぶと、褥瘡(床ずれ)・姿勢の悪化・転落などの深刻なリスクにつながります。福祉用具専門相談員として15年以上、数百件の選定に携わってきた経験をもとに、車いすの種類・選び方・使い方・よくある失敗まで徹底的に解説します。

介護保険で車いすをレンタルできる条件

車いすは介護保険の福祉用具貸与(レンタル)の対象品目です。原則として要介護2以上の方が対象ですが、要支援1・2・要介護1の方でも以下の条件を満たせば利用できます(例外給付)。

対象介護度条件
要介護2〜5原則レンタル可能
要支援1・2、要介護1(例外給付)日常的に歩行が困難/日常生活範囲において移動が困難と認められる場合

軽度の方で「車いすを使いたい」と感じる場面があれば、まずケアマネジャーに相談してみてください。

車いすの種類一覧|大きく分けて5タイプ

車いすは大きく分けて以下の5タイプがあります。それぞれの特徴・向いている方・注意点を詳しく見ていきましょう。

① 自走式車いす(標準型)

最もスタンダードなタイプです。後輪が大きく(直径22〜24インチ)、利用者本人が手でこいで自分で移動できます。

項目内容
後輪サイズ22〜24インチ(大きい)
重さ約13〜18kg
自走◎ できる
折りたたみ◎ ほとんどが可能
向いている方上肢の力がある・室内を自分で動き回りたい方
注意点幅が広い(約60〜65cm)。廊下幅75cm以上必要

💡 専門相談員の視点:自走式でも、実際には「介護者が押すことが多い」ご家庭が少なくありません。自走メインかどうかをしっかりヒアリングして選定します。

② 介助式車いす

後輪が小さい(12〜16インチ)のが特徴で、介護者が押して使うことを前提に設計されています。自走はできません。

項目内容
後輪サイズ12〜16インチ(小さい)
重さ約8〜13kg(自走式より軽い)
自走✕ できない
折りたたみ◎ ほとんどが可能
向いている方介助者が常にそばにいる/外出時の移動が主な用途
注意点自分で動けないため、介助者が必要な場面が常にある

介助式は軽量でコンパクトなため、外出時・旅行時・病院の受診などで使いやすいのが大きなメリットです。自宅内での移動は別途手段を考える必要があります。

③ 電動車いす

電動モーターで動く車いすです。ジョイスティックや顎(あご)・視線などの特殊コントローラーで操作します。

項目内容
操作方法ジョイスティック・顎・視線追跡など
重さ約60〜150kg(バッテリー込みで非常に重い)
走行距離フル充電で約20〜30km
向いている方上下肢に障害があり手動操作が困難な方・長距離移動が多い方
注意点操作能力の評価が必要。住宅環境(段差・スペース)の確認が必須

⚠️ 電動車いすは公道での使用もできますが、歩道通行が原則です。また、操作を誤ると事故につながるため、認知機能が低下している方には適しません。試乗をして操作能力を確認してから選定します。

④ リクライニング式車いす

背もたれを倒すことができる車いすです。長時間の乗車や、座位保持が難しい方に使用します。

項目内容
背もたれ角度約90〜170度まで無段階調節
重さ約18〜25kg(標準型より重い)
向いている方長時間乗車・体幹保持が困難・食後に角度調節が必要な方
注意点重くなる・奥行きが長くなり狭い場所で扱いにくい

💡 ポイント:リクライニングすると体がずり下がりやすくなります。フットサポートやアームレストの調節と組み合わせて使うことが重要です。

⑤ ティルト(チルト)式車いす

座面全体を後方に傾ける(ティルト)ことができる車いすです。リクライニングと組み合わせたタイプ(ティルト&リクライニング)もあります。

項目内容
特徴座面ごと後ろに傾くため、股関節への圧迫が変化する
向いている方体圧分散が必要・ずり落ちやすい・姿勢保持が著しく困難な方
重さ約25〜40kg(非常に重い)
注意点使いこなすには操作習熟が必要。移乗が難しくなる

ティルト式は重度の方向けのため、必ずリハビリ専門職(PT・OT)と連携して選定します。

車いすのサイズ選定|計測が最重要

車いす選定で最も重要なのがサイズの計測です。「だいたいこのくらい」で選ぶと、体に合わない車いすが原因で深刻なトラブルが起きます。

計測すべき4つのサイズ

計測箇所測り方適切なサイズの目安
座幅座った状態の骨盤(お尻)の幅を測るお尻の幅+左右各2〜3cm(指2本分)
座面高座った状態でひざ裏から床までの高さ足裏がしっかり床につき、膝が90度になる高さ
座面奥行き座った状態でお尻から膝裏まで膝裏から2〜3cm引いた長さ(膝裏に当たらないように)
バックサポート高さ座面から肩甲骨下部まで体幹を支えつつ、腕の動きを妨げない高さ

サイズが合わないとどうなる?

  • 座幅が広すぎる→ 体が左右に傾く・姿勢が崩れる・脇腹に褥瘡ができやすくなる
  • 座幅が狭すぎる→ 太ももを圧迫・血行障害・褥瘡のリスク
  • 座面高が高すぎる→ 足が浮き、体重が座骨に集中して褥瘡リスク増大
  • 座面高が低すぎる→ 立ち上がりにくい・膝への負担増大
  • 奥行きが長すぎる→ 膝裏を圧迫・血行障害
  • 奥行きが短すぎる→ 座骨だけに体重がかかり褥瘡リスク

車いす付属品の選び方|クッション・アームサポート・フットサポート

車いす本体と合わせて、付属品(アクセサリー)を適切に選ぶことで、乗り心地・褥瘡予防・姿勢保持が大きく向上します。付属品も介護保険のレンタル対象です。

クッション(座面)の種類と違い|最重要の付属品

車いすクッションは、褥瘡予防において最も重要な付属品です。素材によって体圧分散の効果・使いやすさが大きく異なります。

素材体圧分散安定性重さ向いている方デメリット
ウレタンフォーム△〜○軽い比較的短時間乗車・皮膚リスク低劣化が早い(2〜3年)・蒸れやすい
ゲル+フォーム複合○〜◎やや重い長時間乗車・皮膚リスク中程度重さがある・コストが高め
エア(空気)軽い褥瘡リスク高・皮膚が弱い方空気圧管理が必要・安定感が低下
ハイブリッド(エア+フォーム)中程度安定性と体圧分散を両立したい方価格が高い
ウォーター(水)重い夏場・発熱がある方・高度リスク重い・破損リスクあり・温度変化あり

⚠️ エアクッションの注意点:空気圧の設定が重要で、手のひらをクッションと座面の間に差し込んだとき、手のひらが軽く触れる程度(底付きしない)が適切な圧力です。毎日確認する習慣をつけてください。

アームサポート(肘かけ)の種類

種類特徴向いている場面
固定式動かない・シンプル姿勢保持が目的のメイン使用
跳ね上げ式上に跳ね上げられるベッド・トイレへの横移乗がしやすい
スイングアウト式外側に外せる移乗スペースをさらに広く取りたい場合
高さ調節式高さが変えられるテーブルの高さに合わせたい・食事姿勢の調節

💡 移乗動作が多い方(ベッドやトイレへの乗り移り)には跳ね上げ式が非常に便利です。移乗の際にアームが邪魔にならず、転落リスクも下がります。

フットサポート(足置き)の高さ調節

フットサポートの高さは、膝から足首が90度になる位置が基本です。

  • 高すぎる→ 大腿部(太もも)への圧迫・血行障害・褥瘡リスク
  • 低すぎる→ 足がぶらぶらして不安定・座面への体重集中
  • 足こぎ移動をする方→ フットサポートを外すか高く設定して足が床につくようにする

住宅環境のチェックポイント

車いすを選ぶ前に、必ず自宅の環境を確認します。どんなに良い車いすでも、住宅環境に合わなければ使えません。

確認箇所必要なスペース注意ポイント
廊下の幅75cm以上(理想は90cm)カーブ・曲がり角は特に注意。実際に測る
出入口の幅80cm以上推奨引き戸か開き戸かによって通過幅が変わる
玄関の段差スロープで解消できるか確認10cm以上の段差はスロープが必要
トイレの幅車いすで入れるか・方向転換できるか狭い場合はポータブルトイレも検討
寝室からの動線ベッドから車いすへの移乗スペースベッドの両サイドに70〜90cmのスペースが理想

介護者の負担を減らす車いす操作のコツ

介助者が車いすを操作するときも、正しい方法を知ることで利用者の安全確保と介助者の身体的負担軽減につながります。

段差の乗り越え方(前輪上げ)

  1. 段差の手前でティッピングバー(後ろ側の足置き部分)を足で踏む
  2. グリップを押し下げながら前輪を持ち上げる
  3. 前輪を段差の上に乗せ、後輪で押し上げる

⚠️ 前輪上げは慣れが必要です。初めて行う介助者は、必ず福祉用具専門相談員や理学療法士に正しい手順を教えてもらってください。

坂道の下り方

  • 緩やかな坂:前向きのまま、ゆっくりグリップを引きながら降りる
  • 急な坂必ず後ろ向きで降りる。前向きでは利用者が前方に転落するリスクがある

車いすのメンテナンス|レンタルでも点検は必要

レンタル品は事業者が定期点検を行いますが、日常的なチェックも安全のために重要です。

チェック箇所確認内容頻度
タイヤの空気圧手で押してへこむようなら空気補充月1回
ブレーキの効きかけた状態で後ろに押してみる。動くようなら調整使用前毎回
フットサポートの固定ガタつきがないか使用前毎回
座面クッションの状態へたり・破損がないか月1回
フレームのゆがみ・ガタつき異音・異常な揺れがないか月1回

異常を発見した際はすぐにレンタル事業者に連絡してください。レンタルの場合、修理・交換は原則として事業者が対応します。

よくある質問(Q&A)

Q. 車いすのレンタル料はいくらくらいですか?

A. 種類によって異なりますが、標準的な手動車いすの全国平均貸与価格は月額5,000〜8,000円程度です。自己負担1割の場合は500〜800円/月が目安です。電動車いすは20,000〜40,000円(自己負担2,000〜4,000円)程度かかります。

Q. 自走式と介助式、どちらを選べばいいですか?

A. 本人が自分で動き回る機会があるなら自走式常に介護者が付き添って移動するなら介助式が基本です。ただし、生活場面を詳しく聞いてみると「屋内は自走、外出時は介助」という場合もあるため、どちらか一方ではなく2台体制にするご家庭もあります。

Q. 体が大きいのですが、大きいサイズの車いすはありますか?

A. 体格に合わせたワイドタイプ・ヘビーデューティタイプの車いすもレンタルできます。座幅が広いもの(46〜48cm)や、耐荷重が高いもの(通常100〜130kg、ヘビーデューティは200kgまで対応)があります。

Q. 試乗はできますか?

A. できます。必ず試乗してから決めることを強くおすすめします。実際に乗ってみて、座り心地・動かしやすさ・立ち上がりやすさを確認してください。専門相談員が訪問して試乗をサポートします。

まとめ:車いす選びは「生活の全体像」から考える

車いす選びで大切なのは、「何キロの人だから何サイズ」という単純な計算ではなく、その方がどこで・どのように・誰と使うのかという生活の全体像から考えることです。

  • ✅ 自走か介助かを明確にする
  • ✅ 座幅・座面高・奥行きを必ず計測して選ぶ
  • ✅ クッションは褥瘡リスクに合わせて素材を選ぶ
  • ✅ 住宅の廊下幅・出入口幅を事前に確認する
  • ✅ 必ず試乗してから決める
  • ✅ 状態が変わったらすぐ交換・調整を依頼する

「今の車いす、なんか合わない気がする」と感じたら、それは正しい直感です。ぜひ担当の福祉用具専門相談員に相談してみてください。

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