ポータブルトイレはいつから必要?夜間トイレが不安になった時の考え方

・介護用品 福祉用具


夜中のトイレ移動が不安になってきた。トイレまで間に合わないことが増えた。転倒リスクが心配だけれど、本人はまだオムツに抵抗がある。

※この記事は、元福祉用具専門相談員として実際の相談現場で多かった事例や質問をもとに作成しています。

そんな状況で、ポータブルトイレを考え始める家族は少なくありません。とはいえ、導入する側も、まだ早いのではないか、本人が傷つかないかと迷いやすいものです。

ポータブルトイレは、寝たきりの人だけの道具ではありません。夜間トイレの移動を短くし、本人の自立と家族の介護負担を守るための選択肢になることがあります。

この記事では、元福祉用具専門相談員の視点から、必要になるタイミング、オムツの前段階としての考え方、選ぶ時の注意点を整理します。

  1. ポータブルトイレを考え始めたい小さな変化
  2. ポータブルトイレは寝たきりの人だけではない
  3. オムツの前段階として使う人も多い
  4. こんなサインが出てきたら、検討を始める時期かもしれません
  5. まだ早いと思っていても検討した方がいいケース
    1. 本人は大丈夫と思っているが、夜間だけ危険なケース
    2. 退院直後で体力が落ちているケース
    3. 冬場にトイレ移動が負担になっているケース
  6. 導入が遅れることで起こりやすいこと
  7. おむつの前に、段階的に考えてみる
  8. ポータブルトイレ・リハビリパンツ・おむつの違い
  9. リハビリパンツ・尿取りパッドの選び方
    1. 選ぶ時のポイント
  10. 家具調 vs 樹脂製:どちらを選ぶ?
    1. 家具調が向いている方
    2. 樹脂製が向いている方
  11. ラップ式・脱臭機能付き:においが心配な方へ
    1. ラップ式(ラップポン系)
    2. 脱臭機能付きタイプ
  12. ポータブルトイレを選ぶ時の注意点
  13. 高さと肘掛けは絶対に確認する
    1. 高さが合わないと立てない
    2. 肘掛けは立ち上がりのための支え
  14. 汚れ対策・床を守るシートの選び方
  15. 小さな工夫で「これなら使える」に変わる
  16. 夜だけ設置するには、介護力が必要
  17. 介護する家族の負担を減らすために
  18. 親がポータブルトイレを嫌がる理由
    1. オムツのようで抵抗がある
    2. 部屋にトイレを置きたくない
    3. 自尊心が傷つく
    4. 家族に迷惑をかけたくない
  19. 本人の自尊心を守るために
  20. 3つのケース:現場で見てきた実例
    1. ケース①:夜だけ不安だった80代女性(一人暮らし)
    2. ケース②:老老介護で家族を起こしたくなかった70代男性
    3. ケース③:家具調を選んで受け入れてもらえた90代女性
  21. 助成制度・費用の相談はケアマネジャーへ
  22. ホームセンターで購入する前に確認を
  23. よくある質問(FAQ)
    1. ポータブルトイレは介護保険で購入できますか?
    2. ポータブルトイレの臭いは大丈夫ですか?
    3. 家具調と樹脂製、どちらがいいですか?
    4. ラップ式ポータブルトイレとは何ですか?
    5. おむつ・リハビリパンツの助成制度はありますか?
    6. 夜間だけポータブルトイレを使えますか?
  24. まとめ|「失敗ゼロ」だけでなく、その人らしい生活を続けるために
  25. あわせて読みたい

ポータブルトイレを考え始めたい小さな変化

夜間の負担をかんたん確認

ポータブルトイレ導入チェック

夜間トイレや移動の不安に近いものへチェックを入れてください。 ポータブルトイレが必要かどうかを、無理なく考えるための目安としてご活用ください。

※この診断は医療的な判断ではなく、夜間移動や福祉用具を検討するための目安です。

ポータブルトイレは、急に必要になるものではなく、小さな変化が重なった時に検討されることが多いです。

  • 夜間トイレの回数が増えた
  • 寝室からトイレまでが遠く感じる
  • 間に合わない不安が増えた
  • 夜中にふらつく
  • ベッドや布団からの立ち上がりに時間がかかる

夜間トイレでは、眠気、暗さ、急ぎ、ふらつきが重なりやすく、家の中でも転倒リスクが上がります。まず夜間トイレ全体の危険を確認したい方はこちらも参考になります。

夜間トイレの転倒リスクと対策

夜間トイレが不安な場合は、ポータブルトイレだけでなく、ベッドの高さや起き上がりやすさも重要です。寝室まわりをまとめて見直す方は、介護ベッドの選び方記事も参考にしてください。

ポータブルトイレは寝たきりの人だけではない

ポータブルトイレは、歩けなくなった人だけが使うものではありません。

夜間転倒予防、家族の介助負担軽減、夜だけの使用、トイレまでの距離を短くする目的で、歩ける方が使うケースもあります。

手すりや補高便座で整えても、夜間の移動そのものが危ない場合は、ポータブルトイレに切り替える方が安全なことがあります。

補高便座はいつから必要?立ち上がりが不安になった時の考え方

手すりはいつから必要?家の中の生活動線を見直すタイミング

オムツの前段階として使う人も多い

本人がオムツに抵抗を感じるのは自然なことです。家族も、すすめてよいのか迷いやすい場面です。

ポータブルトイレは、できるだけ自分で排泄したい気持ちを支えながら、無理な移動を減らすために使われることがあります。

失敗を責めない環境を作り、本人の自尊心を守りながら安全を確保することが大切です。

こんなサインが出てきたら、検討を始める時期かもしれません

ポータブルトイレの導入を考えるきっかけは人によって様々ですが、現場でよく聞く声はこのようなものです。

  • 夜中にトイレまで行く途中、転びそうになったことがある
  • 急な尿意で間に合わないことが増えてきた(尿意・便意はある)
  • 家族を起こすのが申し訳なくて、ぎりぎりまで我慢してしまう
  • 廊下や階段が暗く、夜間移動が怖い(夜間トイレの転倒リスクと対策
  • 足腰が弱くなり、洋式でも立ち上がりがつらくなってきた

共通しているのは「尿意・便意はある」ということです。おむつが必要な状態とは少し違います。
「トイレに行きたい気持ちはあるのに、間に合わない・行くのが怖い」という状況こそ、ポータブルトイレが役立ちます。

夜間の転倒は、暗さだけでなく滑りやすい履物が原因になることもあります。室内用介護シューズを使うことで、夜間トイレ時の転倒予防につながる場合があります。

夜間トイレでは、暗さやふらつきだけでなく、スリッパの履き替えやトイレまでの生活動線も転倒リスクになることがあります。夜間移動を安全にする工夫は、夜間トイレの転倒リスクと対策でも詳しく整理しています。

寝室からトイレまでの距離や段差、暗い廊下が気になる場合は、夜間動線の危険性を詳しく見るも確認してみてください。

ポータブルトイレの導入を検討するサイン

まだ早いと思っていても検討した方がいいケース

「まだ歩けるから大丈夫」「昼間は普通にトイレに行けている」という状況でも、夜間や体力低下時のリスクを考えると、早めに検討を始めたほうがいいケースがあります。

本人は大丈夫と思っているが、夜間だけ危険なケース

昼間はトイレまで問題なく歩けていても、夜間は眠気・暗さ・急ぎという3つのリスクが重なります。「昼は大丈夫だから夜も大丈夫」にはなりません。特に冬場は寒さで血圧が変動しやすく、夜間トイレでの転倒リスクが高まります。

退院直後で体力が落ちているケース

入院中は歩く機会が減り、筋力が低下しています。退院直後は体力が戻っていないため、夜間のトイレ移動が普段より大きな負担になります。在宅に戻ってすぐの時期こそ、環境を整えておくことが重要です。

親の退院準備チェックリストも確認しておくと、自宅環境の整え方をまとめて把握できます。

冬場にトイレ移動が負担になっているケース

寒い季節は布団から出ること自体がつらくなります。冷えた廊下への移動はヒートショックのリスクもあります。「今の季節だけ試してみる」という導入のしかたもあります。

導入が遅れることで起こりやすいこと

「もう少し様子を見よう」と先送りにしている間に、取り返しのつかない事態が起きてしまうことがあります。現実として起きやすいリスクを整理しておきます。

  • 夜間転倒・骨折:暗い廊下での転倒は骨折につながりやすく、そのまま寝たきりになるケースがあります
  • 救急搬送:骨折から入院・手術になると、身体機能の回復に時間がかかります
  • 家族の睡眠不足:夜間トイレに毎晩付き添う家族が慢性的な睡眠不足になり、介護が続けられなくなることがあります
  • 介助負担の増加:転倒後に要介護度が上がると、必要な介護量が一気に増えます

「転んでから考えればよかった」ではなく、「転ぶ前に準備できてよかった」と思えるよう、早めに選択肢を知っておくことが大切です。

おむつの前に、段階的に考えてみる

「おむつしかない」「ポータブルトイレしかない」ではなく、段階的に対応する選択肢があります。

選択肢こんな場合に
手すりの設置立ち上がりがつらい・バランスが不安
歩行器・シルバーカー廊下の移動が不安定
リハビリパンツ+尿取りパッド間に合わないか不安・安心感がほしい
男性用・女性用尿器ベッドサイドで少量済ませたい
ポータブルトイレ夜間移動が危険・トイレまで遠い
デイサービス・ヘルパー日中の対応に介護力が必要

いきなりポータブルトイレより、まず環境を整えることで解決できるケースも少なくありません。

手すりの設置については、手すりの選び方・おすすめはこちらも参考にしてみてください。

夜間移動が不安な場合は、歩行器のおすすめランキングも合わせてご覧ください。

おむつの前に段階的に考える選択肢

ポータブルトイレ・リハビリパンツ・おむつの違い

排泄ケアは、いきなりおむつにするのではなく、本人の動ける力や家族の介助力に合わせて段階的に考えることが大切です。

状態・困りごと 検討したいもの 考え方
夜だけトイレが間に合わない ポータブルトイレ 寝室近くで排泄でき、夜間移動の転倒リスクを減らしやすい
日中に少し失敗が増えてきた 尿取りパッド・リハビリパンツ 本人の自尊心を守りながら、失敗時の負担を減らせる
立ち上がりや移乗はできるが、トイレまで遠い ポータブルトイレ+手すり 動ける力を残しながら、安全な排泄環境を作りやすい
介助してもトイレ動作が難しい おむつ 本人の安全と家族の介護負担を考えて検討する段階

本人がトイレに行きたい気持ちを持っているうちは、その気持ちをできるだけ尊重したいところです。ポータブルトイレは「おむつにする前の選択肢」として、夜間の安全や家族の負担軽減に役立つ場合があります。

夜間の介助や排泄まわりの負担が増えてきた場合は、福祉用具の見直しとあわせて介護保険の更新申請についても確認しておくと、ケアマネジャーへ相談しやすくなります。

リハビリパンツ・尿取りパッドの選び方

「おむつを当てたら終わり」と感じるご本人は多いですが、リハビリパンツは「おむつ」ではありません。「もしもの時の安心」として使える下着感覚の製品です。

選ぶ時のポイント

  • サイズが重要:大きすぎると漏れ、小さすぎると肌荒れにつながります
  • 吸収量を確認:少量なら薄いタイプ、夜間は多め吸収タイプが安心
  • 尿取りパッドを内側に重ねる:パッドだけ交換すればリハビリパンツの消費が減り、コスト・手間ともに軽減できます
  • 「間に合わなくても大丈夫」の安心感:精神的なゆとりが、無理な移動による転倒リスクを下げます

「リハパンが漏れる」という相談の多くは、サイズ・吸収量が合っていないことが原因です。ケアマネジャーや担当の相談員に聞いて、合ったものを選びましょう。

リハビリパンツ・尿取りパッドの選び方

家具調 vs 樹脂製:どちらを選ぶ?

ポータブルトイレには大きく2つのタイプがあります。「本人の気持ち」と「介護力・環境」で選ぶ基準が変わります。

家具調タイプ樹脂製タイプ
見た目木目調・インテリアに馴染むシンプル・清潔感
羞恥心への配慮◎ 部屋に置いても目立ちにくい△ 一目でわかる
重さ重め(毎日移動は大変)軽量(移動しやすい)
掃除・手入れやや手間シンプルで拭きやすい
介護する側の負担△ 持ち運びが重い◎ 扱いやすい

家具調が向いている方

  • プライドが高く「いかにも介護用品」を置きたくない方
  • 来客があり、見た目を気にする方
  • リビングや寝室でも使いたい方

樹脂製が向いている方

  • 介護する家族が処理・移動を担う場合
  • 夜だけ寝室に移動させたい場合
  • まず試してみたい・コストを抑えたい場合

現場では「本人は嫌がっていたけど、家具調を選んだら受け入れてもらえた」という声を何度も聞きました。見た目の工夫は、導入のハードルを大きく下げます。

家具調ポータブルトイレと樹脂製の比較

ラップ式・脱臭機能付き:においが心配な方へ

ポータブルトイレで最も多い心配が「においが気になる」です。においへの対策として以下のタイプが選択肢になります。

ラップ式(ラップポン系)

  • 排泄後にラップフィルムで密封して処理するタイプ
  • においが外に出にくく、処理が袋に入れるだけで簡単
  • 介護する側の心理的・身体的負担が大きく減る
  • フィルム・カートリッジの消耗品コストがかかる

脱臭機能付きタイプ

  • 活性炭フィルターや電動ファンで臭気を軽減
  • ラップ式より消耗品コストが低い場合が多い

「処理する側が続けやすいか」も選ぶ重要な基準です。なお、暖房便座・脱臭機能の部分については、自治体によって介護保険の給付対象外となったり、按分(一部自己負担)になるケースがあります。事前にケアマネジャーに確認しましょう。

ラップ式・脱臭機能付きポータブルトイレ

ポータブルトイレを選ぶ時の注意点

ポータブルトイレは、置ければよいというものではありません。本人と家族が続けやすいかを確認します。

  • 消臭: におい対策のしやすさを確認する
  • 掃除: バケツの取り外しやすさ、処理袋の使いやすさを確認する
  • ベッドとの距離: 立ち上がってすぐ使える位置か確認する
  • 手すり有無: 肘掛けや立ち上がり補助が必要か確認する
  • 立ち上がりやすさ: 座面の高さと足のつき方を確認する
  • 家族の動線: 処理や介助の邪魔にならない位置か確認する

工事不要の手すりを組み合わせると、立ち上がりや方向転換が安定しやすい場合があります。

突っ張り手すりの選び方

高さと肘掛けは絶対に確認する

「置いたのに使いにくくて結局使わなくなった」という相談で最も多い原因が高さと肘掛けの問題です。

高さが合わないと立てない

座面の高さが低すぎると、立ち上がる時に足腰に大きな負担がかかります。目安は「膝が90度に曲がる高さ」ですが個人差があるため、実際に試すことが重要です。

  • 高さ調節できるタイプを選ぶ
  • 古い製品は調整幅が狭く、合わないケースも多い

肘掛けは立ち上がりのための支え

肘掛け(アームレスト)がないと、立ち上がり時に支えがなく転倒リスクが上がります。跳ね上げ式の肘掛けなら横からの乗り移りもしやすくなります。

ポータブルトイレの高さと肘掛けの確認方法

汚れ対策・床を守るシートの選び方

ポータブルトイレの下に敷くシートは、汚れ対策と転倒防止の両方の観点で選ぶ必要があります。

  • ブルーシートは滑って危険:介護現場でよく見かけますが、滑りやすく転倒リスクがあるためおすすめできません
  • 滑り止め付き防水消臭シート:床を汚れから守りつつ、滑らないタイプを選びましょう
  • 洗えるタイプ:繰り返し使えてコスト・廃棄物も減らせます
ポータブルトイレの汚れ対策と床を守るシート

小さな工夫で「これなら使える」に変わる

  • 100均の便座シート:冬場の冷たさが拒否感につながることがあります。便座カバーをつけるだけで「冷たくない」になり、使う気になってもらえることがあります
  • カーテンや衝立:小さな衝立やカーテンで仕切るだけで羞恥心が和らぎます
  • 消臭スプレー・芳香剤:自分でケアできるようにしておくと自尊心が保たれます
  • 夜間照明:センサー付きのフットライトを置くと転倒リスクも減ります

夜だけ設置するには、介護力が必要

「昼はトイレまで行けるので、夜だけポータブルトイレを置きたい」というご要望は多いです。ただし、毎晩寝室に移動させる作業には介護力が必要です。

  • 樹脂製は軽量なので移動しやすい
  • 家具調は重く、毎日移動は現実的でない場合が多い
  • 「夜だけ使いたい」なら軽量タイプを選ぶのが合理的

「昼は見せたくない」という方の場合、クローゼット脇やベッド周りを衝立で仕切る工夫で羞恥心を和らげながら常設できることもあります。

夜間トイレを考える時は、ポータブルトイレだけでなく、ベッドから起き上がる・立ち上がる動作も一緒に確認すると安心です。低い布団やベッドからの動きが負担になっている場合は、介護ベッドはまだ早い?も参考になります。

夜間のみポータブルトイレを設置する方法

介護する家族の負担を減らすために

歩行そのものが不安定になっている場合は、ポータブルトイレだけでなく歩行器も選択肢になります。

歩行器はいつから必要?導入タイミングと選び方

玄関の段差や上がり框でもふらつく場合は、夜間トイレだけでなく家の中の移動全体を見直すタイミングです。

上がり框で転倒しやすい理由

  • 処理袋の活用:排泄物をまとめて処理できる袋を用意する
  • 脱臭・ラップ式の選択:においと視覚的なつらさを軽減
  • 手入れのしやすさ:内バケツが取り外しやすいタイプを選ぶ
  • ヘルパー・デイサービスとの連携:日中の排泄ケアを外部に任せることで夜間の家族負担を減らす

「介護する側が倒れたら元も子もない」という現実があります。本人の気持ちを大切にしながら、家族が無理なく続けられる方法を一緒に探しましょう。

親がポータブルトイレを嫌がる理由

本人が「そんなものは要らない」と言っても、頭ごなしに否定せず、なぜ嫌なのかを理解することが大切です。現場でよく聞いた理由は以下のようなものです。

オムツのようで抵抗がある

ポータブルトイレ=オムツへの一歩という印象を持つ方は多いです。「まだそこまでではない」という気持ちの表れです。

部屋にトイレを置きたくない

「部屋が介護施設みたいになる」という言葉を何度も聞きました。見た目の問題だけでなく、現実を突きつけられる感覚が嫌なのです。

自尊心が傷つく

トイレは生活の中で最もプライベートな行為のひとつです。人の目につく場所に排泄用具が置かれることへの抵抗は、単なるわがままではありません。

家族に迷惑をかけたくない

「処理させるのが申し訳ない」という遠慮から、導入を断る方もいます。家族への気遣いが安全を遠ざけることがあります。

嫌がる気持ちへの具体的な対応については、親がポータブルトイレを嫌がる時の対処法でも詳しく解説しています。

本人の自尊心を守るために

排泄は生活の中で最もプライバシーに関わる行為のひとつです。「自分でできる」という感覚が失われることへの抵抗感は、単なるわがままではなく人としての尊厳を守ろうとする自然な気持ちです。

  • できる部分は自分でやってもらう:後始末だけ手伝う、など役割を分ける
  • 「できる・できない」だけで判断しない:「やりにくいけどなんとかなる」を続けることが自信につながる
  • 「間に合わなくても大丈夫」という環境づくり:失敗を責めない雰囲気が本人を楽にする

ポータブルトイレは「使わなければいけないもの」ではなく、「使うと生活が楽になる選択肢」として提案できると、受け入れてもらいやすくなります。

ご本人の自尊心を守るためのポータブルトイレ活用

3つのケース:現場で見てきた実例

ケース①:夜だけ不安だった80代女性(一人暮らし)

日中はトイレまで歩けるが、夜中の移動が怖いと感じていた一人暮らしの方。家族と相談し、寝室に樹脂製ポータブルトイレを設置。最初は「こんなもの嫌だ」と言っていたが、転倒なく朝まで過ごせるようになり「安心して眠れる」と話すようになった。

ケース②:老老介護で家族を起こしたくなかった70代男性

妻(要介護1)の夜間トイレに付き添っていた70代の夫が体力的に限界になってきたケース。家具調ポータブルトイレを寝室に常設し、妻が自分で使えるよう肘掛けと高さを調整。「夫を起こさなくていい」という安心感が、妻本人の抵抗感を和らげた。

ケース③:家具調を選んで受け入れてもらえた90代女性

「病院みたいな道具は嫌だ」と強く拒否されていた90代の女性。木目調の家具調ポータブルトイレを「インテリアに合うものがあるよ」と見せたところ、「これなら別にいい」と受け入れてもらえた。外出を続けるためにも体力温存が大切と理解してもらえたことが大きかった。外出時にはシルバーカーも活用し、生活の幅が広がった。

ポータブルトイレ導入の現場事例3つのケース

助成制度・費用の相談はケアマネジャーへ

ポータブルトイレは、介護保険の「特定福祉用具販売」の対象になる場合があります。

  • 要支援1以上が対象(要介護認定が必要)
  • 年間10万円まで購入費用の7〜9割が給付(自己負担1〜3割)
  • ラップ式・脱臭機能の一部は対象外または按分になる自治体もあり

また、紙おむつ・リハビリパンツ・尿取りパッドについては、自治体によって助成制度がある場合があります。対象要件・給付額は自治体ごとに異なるため、ケアマネジャー・地域包括支援センター・市区町村窓口に確認しましょう。

ポータブルトイレの助成制度・費用相談

ホームセンターで購入する前に確認を

急いでいるからとホームセンターで購入してしまうケースがありますが、介護保険の特定福祉用具販売を利用する場合は都道府県が指定した販売事業所からの購入が必要です。

  • ホームセンターが指定事業所でない場合、給付対象にならない
  • 自治体によっては事前申請が必要なケースもある
  • 必ず担当ケアマネジャーに相談してから購入を
介護保険でポータブルトイレは購入できるか確認

よくある質問(FAQ)

ポータブルトイレは介護保険で購入できますか?

要支援1以上の方は介護保険の「特定福祉用具販売」を利用でき、購入費の7〜9割が給付されます(年間上限10万円)。ただし、指定販売事業所からの購入が必要です。ラップ式の機能部分など対象外になる場合もあるため、担当のケアマネジャーに事前確認をしましょう。

ポータブルトイレの臭いは大丈夫ですか?

ラップ式(ラップポン系)や脱臭機能付きを選ぶことで、においはかなり抑えられます。消臭スプレーや消臭剤の活用、内バケツをこまめに処理することでも対応できます。「においが不安で使いたくない」という場合はラップ式が特に効果的です。

家具調と樹脂製、どちらがいいですか?

本人の羞恥心や部屋の雰囲気を大切にするなら家具調、介護する側が移動・処理しやすさを重視するなら樹脂製が向いています。どちらが正解ということではなく、本人の気持ちと介護力・生活環境に合わせて選ぶことが大切です。

ラップ式ポータブルトイレとは何ですか?

排泄後にラップフィルムで密封して処理するタイプのポータブルトイレです。においが出にくく処理が簡単なため、介護者の負担を軽減できます。消耗品(ラップカートリッジ)のコストがかかりますが、においに敏感な方や処理の手間を減らしたい家族に特に向いています。

おむつ・リハビリパンツの助成制度はありますか?

自治体によって紙おむつやリハビリパンツ・尿取りパッドへの助成制度がある場合があります。対象要件や給付内容は自治体によって異なるため、担当のケアマネジャーや地域包括支援センター、市区町村窓口に相談してみましょう。

夜間だけポータブルトイレを使えますか?

可能です。ただし毎日移動させる場合は介護力が必要です。軽量な樹脂製が移動しやすく、夜だけ利用に向いています。「昼は見せたくない」場合は、クローゼットや衝立で隠す工夫も有効です。

介護保険で購入できる条件や自己負担、具体的な選び方を確認したい方は、ポータブルトイレは介護保険で買える?対象条件と選び方もあわせてご覧ください。

具体的な商品候補まで見ておきたい場合は、将来の移乗や介助も考えたポータブルトイレおすすめ5選も参考にしてください。選び方の考え方を押さえたうえで商品を見ると、失敗を減らしやすくなります。

現場の一言

実際には、「絶対に使わない」と言っていた方でも、夜間だけ試してみた結果、「思ったより楽だった」と受け入れられることは少なくありません。

最初から常時使用ではなく、夜間限定で試してみる方法もあります。

まとめ|「失敗ゼロ」だけでなく、その人らしい生活を続けるために

ポータブルトイレは、導入すれば解決するものではありません。

大切なのは、

  • 本人が「使ってみようかな」と思える提案ができるか
  • 介護する家族が無理なく続けられるか
  • 「間に合わなくても大丈夫」という環境がつくれているか

失敗を恐れるより、本人の自尊心を守りながら、その人らしい生活を続けることを目指す。それが、長く続けられる介護につながります。

迷った時は、担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談することをおすすめします。一人で抱え込まず、専門家と一緒に考えていきましょう。

まだトイレまで移動できるなら、手すり設置で安全に使えるケースもあります。
トイレ用手すりの選び方はこちら

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ポータブルトイレを考える時は、便座の高さやベッドからの立ち上がり、夜間の移動動線もあわせて確認しておくと安心です。

ポータブルトイレを考える前に、まず家の中で見直せる夜間転倒対策もあります。動線や手すり、足元の明かりから検討したい方は、こちらの記事も参考になります。

夜間トイレが危険になってきた時の対策|転倒を防ぐために見直したいこと

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夜間トイレの移動が不安な場合は、ベッドから立ち上がる時のふらつきも見逃せません。立ち上がる時によろけるようになった時の対策も参考になります。

この記事を書いた人

介護福祉ナビ運営者

元福祉用具専門相談員。

福祉用具の選定、住環境整備、退院支援などに携わった経験をもとに、在宅介護で役立つ情報を発信しています。

実際の相談現場で多かった悩みや失敗例をもとに、家族が判断しやすい形で解説しています。

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