「ポータブルトイレって種類が多くてどれを選べばいいの?」
「においが気になる…うまく消臭する方法はある?」
「介護保険でお金が戻ってくると聞いたけど、どうすればいい?」
ポータブルトイレは、トイレまでの移動が困難になってきたときに大活躍する福祉用具です。
しかし種類が多く、選び方を間違えると使いにくかったり、においが解消できなかったりします。
この記事では、福祉用具専門相談員として15年間、数百件以上のポータブルトイレ選定に関わってきた経験をもとに、種類の違い・選び方・消臭対策・お手入れ方法・介護保険の使い方まで徹底解説します。
ポータブルトイレとは?どんな人に必要?
ポータブルトイレとは、トイレまで移動せずに用が足せる持ち運び可能な簡易便器のことです。寝室やリビングなど使いやすい場所に設置して使います。
こんな方に必要です
- 夜中にトイレに何度も起きる(夜間頻尿)
- トイレまで間に合わないことがある
- 足腰が弱くトイレまでの歩行が不安定
- トイレが遠い・段差がある
- 立ち上がりがつらい
- 認知症でトイレの場所がわからなくなる
介護保険で購入できる?費用はどれくらい?
ポータブルトイレは介護保険の「特定福祉用具購入」の対象品目です。「腰掛便座」として分類されています。
- 要支援1以上から利用可能
- 年間(4月〜翌3月)10万円まで支給対象
- 1割負担の方は最大9万円が支給(自己負担1万円)
- 一度購入したら返却不要(自分のものになる)
⚠️ 購入前にケアマネジャーへの相談と市区町村への申請が必要です。先に購入すると保険が使えない場合があります。必ず順序を守りましょう。
ポータブルトイレの種類と特徴
① スタンダードタイプ(プラスチック製)
最もポピュラーなタイプ。軽量で価格も手頃です。
- 重量:約3〜5kg
- 価格目安:5,000〜15,000円
- 高さ調節ができるものが多い
- 内バケツを取り出して処理する
✅ こんな方に:はじめてポータブルトイレを使う方・コストを抑えたい方
② アームレスト付きタイプ
両側に肘掛け(アームレスト)がついており、立ち座りの際に力を入れやすいタイプ。
- 立ち上がりが不安定な方に特に有効
- 跳ね上げ式アームレストなら横から移乗しやすい
- 価格目安:15,000〜30,000円
✅ こんな方に:立ち上がりに介助が必要な方・足腰が弱い方
③ 木製タイプ(家具調)
見た目が家具に近いデザインで、部屋に置いても違和感が少ないタイプ。
- プラスチック製より重め(約5〜8kg)
- 蓋を閉めると家具に見える
- 価格目安:20,000〜40,000円
✅ こんな方に:見た目を気にする方・リビングに置く場合・本人のプライドを大切にしたい場合
④ 電動洗浄・暖房便座タイプ
ウォシュレット機能や暖房便座がついた上位タイプ。在宅トイレに近い使用感が得られます。
- 温水洗浄・乾燥機能あり
- 価格目安:50,000〜100,000円以上
- 電源が必要(コンセント近くに設置)
✅ こんな方に:清潔さを重視する方・長期的に使用する予定の方
⑤ 水洗式ポータブルトイレ
水タンクを内蔵し、レバーで水洗できるタイプ。においが漏れにくく衛生的です。
- 水タンクの補充が必要
- 普通のトイレに近い感覚で使える
- 価格目安:30,000〜60,000円
✅ こんな方に:においが特に気になる方・水洗トイレに慣れている方
選び方の5つのポイント
① 高さ調節機能は必須
ポータブルトイレは座面の高さが合っていないと、立ち上がりが逆につらくなります。
目安は「座ったときに膝が90度になる高さ」。足が床にしっかりつくことが大切です。高さ調節(3〜5段階)ができるものを選びましょう。
② アームレストの有無と形状
立ち上がりに不安がある方はアームレスト付きが必須です。さらに、横から移乗する場合(車椅子からの乗り移りなど)は跳ね上げ式のものが便利です。
③ バケツ(内容器)の形状・容量
ポータブルトイレの内バケツは取り出して処理します。
- 容量:約4〜8リットルが一般的。夜間の使用が多い場合は大きめを
- 取り出しやすさ:前方から引き出すタイプが多い
- フタの密閉性:においを閉じ込めるためフタ付きを選ぶ
④ 設置場所を確認する
- ベッドから立ち上がって数歩でたどり着ける場所
- 介護者が介助しやすいスペース(両側に60cm以上)
- 電動タイプはコンセントの近く
- プライバシーが確保できる場所
⑤ 本人のプライドと気持ちを大切に
ポータブルトイレの導入を嫌がる方は少なくありません。「トイレに行けなくなった」と感じさせないよう、本人が納得して使えるようにコミュニケーションを取ることが何より大切です。
💡 「夜中に起きなくて済むから楽になる」「転倒リスクが減る」という観点から話すと受け入れてもらいやすいです。
においの悩みを解消!消臭対策の完全ガイド
ポータブルトイレで最も多い悩みがにおいの問題です。正しい対策を組み合わせることで、においをほぼ気にならないレベルまで抑えることができます。
① 凝固剤を使う
内バケツに少量の水と凝固剤を入れておくと、排泄物がゼリー状に固まりにおいの拡散を大幅に抑えられます。処理も楽になります。
- 使用量:1回あたり1〜2g程度
- 固まった後はそのままゴミ袋に入れて処理可能
- 代表製品:「サニタクリーン」「ポイパック」など
② 消臭剤・防臭袋を活用する
- 防臭袋:処理した汚物を入れるだけでにおいをブロック
- 消臭スプレー:使用後にひとふきするだけで効果的
- 置き型消臭剤:設置場所の近くに置くと空間ごと消臭
③ こまめなお手入れが一番大切
においの根本的な解決はこまめな処理と清掃です。
- 使用のたびにフタをしっかり閉める
- 内バケツは1日1〜2回処理する(溜めすぎない)
- 内バケツを処理後は薄めた洗剤で洗い、乾かす
- 便座・フレーム部分は除菌シートで拭く
- 週1回は全体を丸洗い
④ 汚物処理袋(BOS袋)がおすすめ
においを完全にシャットアウトする「BOS(防臭袋)」は、介護現場でも広く使われています。凝固剤で固めた汚物をBOS袋に入れるだけで、ほぼ完全にブロックできます。
ポータブルトイレの正しい使い方
準備(内バケツのセット)
- 内バケツに水を少量(100〜200ml)入れる
- 凝固剤を適量入れる(使用する場合)
- 内バケツをセットし、便座を取り付ける
使用後の処理
- フタを閉める
- 内バケツを取り出す
- 凝固剤で固まっていればそのまま袋に入れてゴミとして処理
- 液状の場合はトイレに流してから内バケツを洗う
💡 自治体によってゴミの分類が異なります。汚物処理の方法は市区町村に確認しましょう。
種類別おすすめ比較表
| タイプ | 価格目安 | 特徴 | おすすめの人 |
|---|---|---|---|
| スタンダード | 5,000〜15,000円 | 軽量・安価・シンプル | はじめての方・コスト重視 |
| アームレスト付き | 15,000〜30,000円 | 立ち上がりサポート | 足腰が弱い方・介助が必要な方 |
| 木製(家具調) | 20,000〜40,000円 | 見た目が自然・目立たない | 見た目にこだわる方・リビング設置 |
| 水洗式 | 30,000〜60,000円 | 水洗できる・においが漏れにくい | においが特に気になる方 |
| 電動洗浄付き | 50,000〜100,000円以上 | ウォシュレット・暖房便座 | 清潔さ重視・長期使用 |
よくある質問
Q. ポータブルトイレはレンタルできますか?
A. ポータブルトイレは衛生上の理由から介護保険のレンタル対象外です。「特定福祉用具購入」として購入が基本になります。ただし、自費でレンタルしている業者もあります。
Q. 1年間で複数のポータブルトイレを購入できますか?
A. 特定福祉用具購入の上限は年間10万円(支給額)です。ポータブルトイレ以外の購入品と合算されます。同一種目(腰掛便座)を同年度内に2台購入するには特別な理由が必要です。ケアマネジャーに相談してください。
Q. においがどうしても気になります。おすすめの消臭剤はありますか?
A. 「BOS防臭袋」+「凝固剤」の組み合わせが最も効果的です。現場で長年おすすめしている方法です。凝固剤で固めてBOS袋に入れるだけで、驚くほどにおいが気にならなくなります。
あわせて知っておきたい!尿器・排泄補助グッズ
ポータブルトイレと一緒に、尿器や排泄補助グッズを上手に使うとより快適な排泄ケアができます。
① 尿器(男性用・女性用)
ベッド上や椅子に座ったままでも排尿できる容器です。夜間のトイレ移動を減らしたいときや、ポータブルトイレへの移乗が困難なときに活躍します。
| 種類 | 特徴 | 価格目安 |
|---|---|---|
| 男性用尿器(差し込み型) | 陰部に当てて使用。容量500〜1,000ml | 500〜2,000円 |
| 女性用尿器(差し込み型) | 形状が女性の体型に合わせて設計。横向き・仰向けでも使用可 | 1,000〜3,000円 |
| 男女兼用尿器 | 介護者が使わせやすいよう角度・形状を工夫 | 1,000〜2,500円 |
| 携帯用尿器(外出時) | 外出時の緊急用。吸収ポリマー入りで固まるタイプも | 200〜500円(使い捨て) |
💡 女性用尿器は種類が少なく使いにくいものも多いです。角度や体位に合わせて選ぶことが大切。実際に試してみることをおすすめします。
② 蓄尿袋(ウロバッグ)・採尿器
カテーテル(尿道カテーテル)を使用している方が、排出した尿を溜めておく袋です。在宅での管理にも使われます。
- 容量:1,000〜2,000mlが一般的
- 逆流防止弁付きのものが衛生的
- ベッドサイドや車椅子に吊り下げて使用
- 定期的な交換が必要(訪問看護師が管理することが多い)
⚠️ カテーテル管理は医療行為です。取り扱いについては必ず訪問看護師や医師の指導を受けてください。
③ 排泄処理袋・汚物袋
ポータブルトイレや尿器の後処理に使う袋です。においを閉じ込める性能が特に重要です。
| 商品名 | 特徴 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| BOS(防臭袋) | 業界最強レベルの防臭力。においがほぼ完全にブロック | ★★★★★ |
| ポイパック | 凝固剤入り。固めてそのまま処理できる | ★★★★☆ |
| サニタリー袋(マチ付き) | 容量が大きく使いやすい。コストが安い | ★★★☆☆ |
| 消臭ゴミ袋(市販品) | スーパーなどで入手しやすい | ★★☆☆☆ |
💡 現場で15年使ってきた結論:BOS防臭袋は値段は少し高めですが、においのストレスが劇的に減ります。介護者の負担軽減のためにも、ケチらずに使うことをおすすめします。
④ 尿取りパッド・パンツ型おむつとの組み合わせ
ポータブルトイレへの移動が間に合わない場合や、夜間のみおむつを使いたい場合は、尿取りパッドと組み合わせると安心です。
- 日中はポータブルトイレ+薄型パッドで安心感をプラス
- 夜間のみパンツ型おむつに切り替えるケースも多い
- 尿取りパッドは紙おむつに重ねて使うと経済的
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迷ったらこれ:はじめて選ぶ場合は、軽くて扱いやすいモデルや、今の生活動作に合うタイプを選ぶと安心です。
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はじめて選ぶ場合は、使う場所・本人の状態・介助する人の負担を確認しておくと失敗しにくいです。
まとめ
- ポータブルトイレは要支援1以上で介護保険購入対象(年間9万円支給・1割負担の場合)
- 種類はスタンダード→アームレスト付き→木製→水洗式→電動洗浄付きの順に機能・価格が上がる
- 選ぶポイントは高さ調節・アームレスト・バケツ容量・設置場所
- においには凝固剤+BOS防臭袋の組み合わせが最も効果的
- こまめな処理・清掃が消臭の基本
- 購入前に必ずケアマネジャーに相談を
ポータブルトイレは選び方と使い方次第で、本人も介護者も快適に使えます。迷ったら遠慮なくケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談してください。
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