シャワーチェアは、転倒してから使うものではありません。
現場では、
- 立ったまま身体を洗うのが疲れる
- 洗髪時にふらつく
- 長時間立っていられない
- 浴室で休憩したくなる
- 家族が入浴中の転倒を心配している
といった段階で提案することが多くありました。
入浴中は、足元が濡れていて、石けんやシャンプーで滑りやすくなります。
その状態で立ったまま身体を洗ったり、髪を洗ったりするのは、思っている以上に負担が大きいものです。
ただし、シャワーチェアは「人気商品を選べば安心」という福祉用具ではありません。
現場で最初に確認していたのは、利用者本人の体格です。
身長、体重、お尻の幅、足底接地、座位安定性。
ここが合っていないと、どれだけ評判の良いシャワーチェアでも使いにくくなります。
この記事では、元福祉用具専門相談員の視点から、現場で提案する機会が多かったシャワーチェアを紹介します。
導入するタイミングを詳しく知りたい方は、先にこちらの記事も参考にしてください。
関連: シャワーチェアはいつから必要?
シャワーチェアはランキングだけで選べません
この記事ではおすすめ商品をランキング形式で紹介します。
ただし、シャワーチェア選びで最も大切なのは順位ではありません。
一番大切なのは、利用者本人の体格に合っているかどうかです。
現場ではまず、
- 身長
- 体重
- お尻の幅
- 足底接地
- 座位安定性
を確認していました。
そのうえで、
- 肘掛けが必要か
- 折りたたみが必要か
- 家族が扱いやすい重さか
- 浴室に置けるサイズか
- 介助者が立てるスペースが残るか
を見ていきます。
特に大切なのが足底接地です。
座った時に足が床につかないと、姿勢が不安定になり、立ち上がりもしにくくなります。
反対に座面が低すぎると、膝や股関節に負担がかかり、立ち上がりにくくなります。
シャワーチェアは、座れれば良い用具ではありません。
安全に座れて、安全に立ち上がれることが大切です。
シャワーチェア選びで最も多い失敗
シャワーチェアは人気商品を選べば良いわけではありません。
利用者本人の体格に合わないものを選ぶと、
- 足が床につかない
- 座面が狭い
- 座りにくい
- 立ち上がりにくい
- 肘掛けが身体に合わない
- 浴室が狭くなりすぎる
といった問題が起こります。
例えば、小柄な方に座面の広いタイプを選ぶと、座った時に身体が安定しにくいことがあります。
反対に、大柄な方にコンパクトタイプを選ぶと、座面が狭く感じたり、肘掛けの内側が窮屈になったりします。
また、家族が「折りたためるから便利」と思って選んでも、本人が座りにくければ意味がありません。
まずは利用者本人の体格に合ったサイズを選びましょう。
現場でよく選定していたシャワーチェア5選
先に比較表で全体像をまとめます。
| 商品 | 安定感 | 軽さ | コンパクト性 | 肘掛け | 折りたたみ | 大柄な方向け | 小柄な方向け |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ユクリアAir ミドルSPワンタッチ / 楽天 | 高い | 高い | 標準 | あり | あり | 検討可 | 検討可 |
| ユクリア コンパクトワンタッチおりたたみN / 楽天 | 標準 | 標準 | 高い | なし | あり | 不向きな場合あり | 向きやすい |
| 安寿 折りたたみシャワーベンチ FSフィット / 楽天 | 高い | 標準 | 標準 | あり | あり | 検討可 | 検討可 |
| 安寿 折りたたみシャワーベンチ A-S / 楽天 | 高い | 高い | 標準 | あり | あり | 検討可 | 体格次第 |
| 安寿 コンパクト折りたたみシャワーベンチIC / 楽天 | 高い | 標準 | 高い | あり | あり | 不向きな場合あり | 向きやすい |
第1位:パナソニック ユクリアAir ミドルSPワンタッチ

第1位は、パナソニックのユクリアAir ミドルSPワンタッチです。
最近のシャワーチェアとして、軽さと扱いやすさを重視したい家庭で検討しやすい商品です。
シャワーチェアは本人だけでなく、家族や介助者が動かす場面も多くあります。
使うたびに出したり、掃除のために持ち上げたり、浴室を広く使うために折りたたんだりするからです。
そのため、軽さはかなり大切なポイントになります。
ただし、軽いから全員に合うわけではありません。
座面の高さ、座面の幅、足底接地、肘掛けの位置が本人に合うかを確認したうえで選びましょう。
現場で出しやすい理由:
- 軽量で家族が扱いやすい
- ワンタッチで折りたたみやすい
- 肘掛け付きで立ち上がり補助を考えやすい
- 最近の定番として説明しやすい
注意点:
軽量タイプでも、浴室環境や本人の座位安定性によって合わないことがあります。購入前に座面高さと座面幅を確認してください。
第2位:ユクリア コンパクトワンタッチおりたたみN

第2位は、ユクリア コンパクトワンタッチおりたたみNです。
洗い場が狭い家庭で検討しやすいコンパクトタイプです。
シャワーチェアを置くと、浴室は思っている以上に狭くなります。
特に、マンションや古い浴室では、シャワーチェアを置いただけで家族が動きにくくなることがあります。
そのような場合、コンパクトタイプは候補になります。
一方で、大柄な方や座位が不安定な方では、座面が小さく感じることがあります。
「浴室が狭いからコンパクト」とすぐ決めるのではなく、本人が安定して座れるかを優先しましょう。
現場で出しやすい理由:
- 洗い場が狭い家庭で検討しやすい
- 折りたたみで収納しやすい
- 小柄な方に合わせやすい場合がある
- 家族が浴室を使う時にも邪魔になりにくい
注意点:
座面がコンパクトなため、大柄な方や座位が不安定な方には不向きな場合があります。
第3位:安寿 折りたたみシャワーベンチ FSフィット

第3位は、アロン化成 安寿 折りたたみシャワーベンチ FSフィットです。
安定感と肘掛けを重視したい時に検討しやすい現場定番のひとつです。
立ち上がりに不安がある方では、肘掛けがあることで身体を支えやすくなることがあります。
また、座った姿勢が不安定な方では、背もたれや肘掛けがあることで安心感につながる場合もあります。
FSフィットは、シャワーチェアを「座るだけの椅子」ではなく、立ち座りまで含めて考えたい時に候補になります。
現場で出しやすい理由:
- 肘掛け付きで立ち上がりを考えやすい
- 安定感を重視したい方に説明しやすい
- 安寿シリーズで現場になじみがある
- 折りたたみで収納性も確保しやすい
注意点:
肘掛け付きは便利ですが、横移乗が多い方や浴室が狭い方では邪魔になることがあります。
第4位:安寿 折りたたみシャワーベンチ A-S

第4位は、安寿 折りたたみシャワーベンチ A-Sです。
A-Sは、ひじ掛け付きの標準タイプとして検討しやすいシャワーベンチです。
以前からある重めのシャワーベンチと比べると、軽量で扱いやすい点が特徴です。
現場では、立ち上がり時に支えがほしい方や、座った姿勢を安定させたい方では、ひじ掛け付きのタイプを検討することがありました。
A-Sはひじ掛け付きでありながら、折りたたみやすさや持ち運びやすさも考えられているため、本人だけでなく家族や介助者の負担も考えたい時に候補になります。
また、折りたたみレバーで開閉しやすい点も、毎回出し入れする家庭では大切です。
「ひじ掛け付きは安心だけれど、重くて扱いにくいものは避けたい」という家庭で検討しやすい商品です。
現場で出しやすい理由:
- ひじ掛け付きで立ち上がりを支えやすい
- 3kg台の軽量タイプで家族が扱いやすい
- 折りたたみレバーで開閉しやすい
- 標準タイプとして体格に合わせて検討しやすい
注意点:
ひじ掛け付きのため、横移乗が多い方や浴室が狭い家庭では動線を確認してください。小柄な方ではA-Sフィットのような幅の狭いタイプが合う場合もあります。
第5位:安寿 コンパクト折りたたみシャワーベンチIC

第5位は、安寿 コンパクト折りたたみシャワーベンチICです。
骨盤サポートを考えたい方や、座位保持に不安がある方で候補になる商品です。
シャワーチェアは、座っていられれば良いわけではありません。
身体が左右に傾きやすい方や、座っている間に姿勢が崩れやすい方では、座面や背もたれの形状も大切になります。
ICタイプは、コンパクトでありながら座位保持を意識したい時に検討しやすい商品です。
ただし、骨盤サポートがあるから全員に合うわけではありません。
体格や座り方によっては、窮屈に感じることもあります。
現場で出しやすい理由:
- 座位保持が不安な方に説明しやすい
- 小柄な方やコンパクトな浴室で検討しやすい
- 肘掛け付きで立ち座りも考えやすい
- 身体の傾きが気になる場合に候補になる
注意点:
大柄な方では狭く感じる場合があります。座面幅や肘掛け内寸を確認しましょう。
肘掛けが必要な人・邪魔になる人
シャワーチェア選びでは、肘掛けの有無も大切です。
肘掛けが必要になりやすいのは、
- 立ち上がりが不安
- 座った姿勢が不安定
- 手で支えながら座りたい
- 家族が見守る中で一人で立ち座りしたい
といった方です。
一方で、肘掛けが邪魔になる場合もあります。
例えば、
- 横移乗が多い
- 浴室が狭い
- 介助者が横から支えたい
- 身体が大柄で肘掛けの内側が窮屈
といった場合です。
肘掛け付きが安全とは限りません。
本人の動作と浴室環境に合わせて選ぶことが大切です。
洗い場の広さと折りたたみも大切です
シャワーチェアを置くことで、浴室は狭くなります。
本人が座れるかだけでなく、家族や介助者が動けるスペースが残るかも確認しましょう。
特に介助が必要な場合は、介助者が横や後ろに立てるかが大切です。
また、家族と共用の浴室では、使わない時に折りたためるかも重要です。
折りたたみやすい商品は、掃除や収納の負担を減らしやすくなります。
ただし、折りたたみ機能があっても、毎回操作する人が負担に感じる場合があります。
本人が操作するのか、家族が操作するのかも確認しておきましょう。
シャワーチェアだけで解決しないこともあります
現場では、シャワーチェアだけを単独で見て選定することはありませんでした。
福祉用具だけでなく、住宅改修も組み合わせて考えることがあります。
例えば、
- 手すり設置
- 敷居撤去
- 折れ戸への変更
- 引き戸への変更
- 滑りにくい床材への変更
などです。
浴室の入り口に段差がある場合や、ドアの開閉がしにくい場合は、シャワーチェアだけでは入浴動作全体の不安が残ることがあります。
また、浴槽内で立ち上がりにくい場合は浴槽台、浴槽をまたぐ時に手をかける場所がない場合は浴槽グリップ、足元が滑る場合は滑り止めマット、立ってまたぐことが危ない場合はバスボードを検討することがあります。
入浴は、ひとつの商品だけで考えるよりも、浴室全体の環境として考えることが大切です。
関連: 浴槽台おすすめ5選
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関連: バスボードおすすめ5選
関連: 滑り止めマットおすすめ5選
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退院前に浴室環境を整える場合は、こちらの記事も参考にしてください。
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どの商品を選べばいいか迷ったら
どの商品を選べば良いか迷ったら、まずは利用者本人の体格を確認してください。
身長、体重、お尻の幅、足が床につくか、座った姿勢が安定するか。
ここが合っていないと、どの商品を選んでも使いにくくなります。
そのうえで、最近の定番として軽さと扱いやすさを重視するなら、ユクリアAir ミドルSPワンタッチから検討してみてください。
現場の一言
現場では、シャワーチェアだけを見て選定することはありませんでした。
利用者本人の体格はもちろん、
- 浴室の広さ
- ドアの開閉
- 介助者の立ち位置
- 手すりの位置
- シャワーの位置
- 浴槽への動線
まで確認していました。
大切なのは、商品選びそのものではありません。
安全に入浴できる環境づくりです。
シャワーチェアは、入浴補助用具の中でも導入しやすく、効果を感じやすい用具です。
だからこそ、人気順だけで選ばず、本人の体格と浴室環境に合ったものを選びましょう。
まとめ
シャワーチェアは、立ったまま身体を洗うのが疲れる、洗髪時にふらつく、浴室で休憩したくなるといった段階で検討することが多い福祉用具です。
今回紹介した商品は以下の5つです。
- パナソニック ユクリアAir ミドルSPワンタッチ
- ユクリア コンパクトワンタッチおりたたみN
- 安寿 折りたたみシャワーベンチ FSフィット
- 安寿 折りたたみシャワーベンチ A-S
- 安寿 コンパクト折りたたみシャワーベンチIC
シャワーチェア選びで最も大切なのは、人気商品かどうかではありません。
利用者本人の体格に合っているか。
浴室に置けるか。
安全に座れて、安全に立ち上がれるか。
ここを確認したうえで、本人と浴室環境に合うシャワーチェアを選びましょう。


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