住宅改修の相談前に撮っておきたい自宅写真8枚|測る場所と伝え方

家族が住宅改修の相談前に玄関の段差をスマートフォンで撮影している様子 ・介護用品 福祉用具

住宅改修や福祉用具の相談では、「段差が高い」「浴槽をまたぐのが怖い」と言葉だけで伝えても、自宅の状況まで正確に共有するのは難しいものです。

そこで役立つのが、相談前に撮っておく自宅の写真です。この記事では、玄関・トイレ・浴室を中心に、専門職へ見せたい写真8枚と、一緒に測る場所、動作の伝え方をまとめます。

先に大事なこと

写真は相談をスムーズにするための資料です。写真だけで手すりの位置や住宅改修の内容を決めず、本人の動きと介助方法を含めて、ケアマネジャー、福祉用具専門相談員、作業療法士、施工業者などに現地で確認してもらいましょう。

住宅改修の相談前に撮っておきたい自宅写真8枚

1.玄関全体

玄関扉、上がり框、靴を脱ぎ履きする場所まで、一枚に収まる位置から撮ります。玄関の外側と内側の両方があると、出入りの流れを説明しやすくなります。

2.玄関の段差を横から

上がり框や屋外の段差は、横から撮ると高さが伝わりやすくなります。メジャーを垂直に当てた写真も残しましょう。式台や手すりを置ける幅があるか分かるよう、周囲も切らずに写します。

3.廊下からトイレまでの動線

本人が普段移動する目線で、廊下、曲がり角、敷居、トイレの扉までを撮ります。夜間に通る場所なら、照明の位置や暗くなる場所も確認しておきましょう。

4.トイレ全体

便器、左右の壁、扉、ペーパーホルダーが分かるよう、入口側から撮ります。立ち座りのときに手をつく場所や、介助者が入るスペースも写るようにします。

5.脱衣所から浴室入口

脱衣所、浴室扉、入口の段差を一緒に撮ります。扉の開く方向、着替える位置、介助者が待つ場所が分かる写真にすると、入浴前後の動線を共有できます。

6.浴室の洗い場全体

シャワー、水栓、浴室いす、排水口、壁面が入る位置から撮ります。立ち上がるときに手をつく壁や、床の滑りやすさが気になる場所も伝えましょう。

7.浴槽全体と浴槽の縁

浴槽へ入る方向から全体を一枚、浴槽の縁を横から一枚撮ります。浴槽の高さ・幅・深さを測り、どちらの足からまたぐかもメモしておくと相談しやすくなります。

浴槽をまたぐ動作そのものに不安がある場合は、浴槽またぎが怖くなったときの対策もあわせて確認してください。

8.本人が困る動作をする場所

「ここで手をつく」「この向きで立ち上がる」など、困る動作が起きる位置を撮ります。本人を写す必要はありません。タオルやマスキングテープを置いて、手や足の位置を示す方法でも十分です。

写真と一緒に測っておきたい場所

  • 玄関の上がり框と屋外段差の高さ
  • 廊下、出入口、トイレ・浴室扉の幅
  • トイレ便座の高さと、便器から左右の壁までの距離
  • 浴室入口の段差
  • 浴槽の縁の高さ、浴槽内の深さ・幅
  • 手をつきたい場所から床までの高さ

数値は「だいたい」ではなく、センチメートルで記録します。ただし、測った寸法だけで商品や工事内容を決めるのは避けてください。壁の下地、本人の身長・筋力・麻痺の有無、介助方法などによって適切な位置は変わります。

専門職に伝える動作メモ

写真ごとに、次の内容を一行ずつ添えると、困りごとが伝わりやすくなります。

  • 何に困るか:段差を上がれない、立ち上がりでふらつく、浴槽をまたげないなど
  • いつ困るか:朝、夜、入浴後、疲れているときなど
  • 今は何につかまるか:壁、家具、タオル掛け、介助者など
  • 介助者はどこに立つか:横、後ろ、扉の外など
  • 本人の希望:一人で行いたい、家族の介助を減らしたいなど

撮影するときの注意点

  • 本人が写る場合は、撮影と共有について同意を得る
  • 氏名、住所、薬、郵便物、保険証などを写さない
  • 転倒の危険がある姿勢を、写真のために再現しない
  • 広い写真と、段差・寸法が分かる近い写真を分けて撮る
  • 共有先は、相談に関係する専門職や事業者に限定する

写真を撮ったあとの相談手順

  1. 写真8枚と寸法、動作メモを一つのフォルダにまとめる
  2. ケアマネジャーや地域包括支援センターなどへ困りごとを相談する
  3. 必要に応じて福祉用具専門相談員、作業療法士、施工業者に現地を確認してもらう
  4. 介護保険を利用する場合は、着工や購入の前に市区町村の手続きを確認する
  5. 設置後は実際の動作を確認し、使いにくければ再調整を相談する

制度や住宅改修全体の流れは、親が家で暮らし続けるための住宅改修ガイドで詳しく解説しています。

まとめ|写真は「工事を決める資料」ではなく「相談を始める資料」

相談前に必要なのは、きれいな写真ではありません。家の広さや段差だけでなく、本人がどこで困り、どこに手をつき、介助者がどこに立つのかが伝わる写真です。

8枚の写真、寸法、動作メモをそろえたうえで専門職に現地を見てもらえば、相談のすれ違いを減らしやすくなります。本人の動きや希望を中心に、必要な福祉用具や住宅改修を一緒に検討しましょう。

この記事の根拠について:2026年9月3日公開のJMIR Research Protocolsの研究計画では、浴室用具の選定支援と住宅内の3D情報を専門職の評価に活用するデジタル技術が検討されています。本記事の写真8枚は、その「住環境の情報と専門職の判断を組み合わせる」という視点を、日本で相談準備に使いやすい形へ整理したものです。研究は計画段階であり、3D撮影や本チェックリストの効果が証明されたわけではありません。また、研究はカナダ・ケベック州を前提としており、日本の介護保険制度への適用を直接示すものではありません。

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