「親がエアコンをつけたがらなくて心配…」
「去年も熱中症で救急に運ばれた。今年こそ防ぎたい」
そんなご相談を現場でも多く受けてきました。実は2025年の熱中症による救急搬送者数は100,510人と過去最多を記録し、そのうち65歳以上の高齢者が約57%(57,433人)を占めています。さらに深刻なのは、発生場所の第1位が「住居」(38.1%)であること。外出中ではなく、自宅にいながら熱中症になるケースが最も多いのです。
この記事では、元福祉用具専門相談員として在宅介護の現場を知る立場から、高齢者の熱中症が起きやすい理由と、今すぐできる予防・対策をお伝えします。
なぜ高齢者は熱中症になりやすいのか?
高齢者が熱中症リスクが高い理由には、身体的な変化が関係しています。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 発汗機能の低下 | 加齢とともに汗腺が減り、体に熱がこもりやすくなる |
| 体内水分量の減少 | 成人の体水分量は約60%だが、高齢者は約50%まで低下し脱水になりやすい |
| 暑さを感じにくい | 体温調節機能が衰え、「暑い」という感覚が鈍くなる |
| エアコンを嫌がる | 「もったいない」「寒くなりすぎる」などの理由で使いたがらない方が多い |
| 水分補給が少ない | トイレが近くなることを嫌がり、意識的に水を飲まない傾向がある |
在宅介護で今すぐできる熱中症予防5つのポイント
① エアコンは「ためらわず」使う
東京都23区のデータでは、屋内での熱中症死亡者のうち約85%がエアコン未使用(未設置含む)でした。「電気代がもったいない」という意識を変えることが最初の一歩です。
室温は28℃以下を目安に設定し、就寝中もつけっぱなしにすることが推奨されています。エアコンが古い場合は夏前に点検・買い替えを検討しましょう。
② 「喉が渇く前に」水分補給
高齢者は喉の渇きを感じにくいため、1日1.5〜2リットルを目安に、時間を決めてこまめに水分を摂るよう促しましょう。麦茶・経口補水液・スポーツドリンクも有効です。
③ 朝イチでカーテンと窓の確認を
朝のうちに風通しをよくし、日中は遮光カーテンで直射日光を防ぎましょう。室温が上がりきってからではエアコンが追いつかないこともあります。
④ 見守りと声かけを習慣に
一人暮らしの親や高齢者には、1日1回の電話や訪問で体調確認を。「今日は暑いね。エアコンつけてる?」という一言が命を救うことがあります。IoTの見守りセンサーや温度計の遠隔確認アプリも活用できます。
⑤ 熱中症の初期症状を知っておく
| 重症度 | 主な症状 | 対応 |
|---|---|---|
| 軽症(Ⅰ度) | めまい・こむら返り・大量の発汗 | 涼しい場所で安静・水分補給 |
| 中等症(Ⅱ度) | 頭痛・嘔吐・倦怠感・体がふらつく | 医療機関を受診 |
| 重症(Ⅲ度) | 意識障害・けいれん・高体温(40℃以上) | すぐに119番! |
専門相談員からひと言
現場でよく見たのは、「エアコンが苦手」とおっしゃる利用者さんへの対応です。「冷えすぎる」という方には、扇風機との併用や設定温度を少し高めにする工夫が効果的です。無理に押しつけず、「一緒に調整しましょう」という姿勢で接することが大切です。
毎年5月下旬〜9月が特に危険な時期。今のうちから準備を整えて、大切な人を熱中症から守りましょう。


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