介護保険でレンタルできる介護ベッド(特殊寝台)の選び方【1・2・3モーターの違いを専門相談員が解説】

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「介護ベッドって介護保険で借りられるって聞いたけど、種類が多くてどれを選べばいいかわからない」「1モーターと3モーターって何が違うの?」——介護ベッド(特殊寝台)は在宅介護の中心となる福祉用具ですが、選び方を間違えると介護者の腰痛・利用者の褥瘡・転落事故につながります。

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この記事は「1・2・3モーターの違い」と付属品を詳しく確認するための記事です。まず全体像を知りたい場合は介護ベッドの選び方と介護保険レンタル条件、導入時期に迷う場合は介護ベッドを入れるタイミングを確認してください。

福祉用具専門相談員として15年以上、寝たきりの方から軽度の方まで数百件の選定を行ってきた経験をもとに、介護ベッドの種類・モーター数の違い・正しい設定方法・付属品の選び方まで徹底解説します。

介護保険でレンタルできる条件

介護ベッド(特殊寝台)は要介護2以上が原則対象です。要支援1・2・要介護1の方でも、「日常的に起き上がりが困難」と認められる場合は例外的にレンタルできます。

介護度利用条件
要介護2〜5原則レンタル可能
要支援1・2、要介護1日常的に起き上がりが困難と認められる場合(例外給付)

介護ベッドの最重要ポイント:モーター数の違い

介護ベッドを選ぶ際の最大のポイントはモーター数です。モーター数によって「動かせる部位」が異なり、利用者の生活の質・介護のしやすさが大きく変わります。

1モーターベッド

背上げ機能のみを持つベッドです。

項目内容
動く部位背もたれのみ(背上げ)
向いている方起き上がりの補助が主な目的・自力でベッドから離れられる方
月額レンタル目安(全額)約5,000〜10,000円
自己負担1割目安約500〜1,000円/月

💡 1モーターでも背上げ機能だけで「起き上がりの介助が劇的に楽になる」方は多いです。ただし、介護度が上がってきた場合に2モーターや3モーターへの変更が必要になることが多いため、最初から先を見越して選ぶことも大切です。

2モーターベッド

背上げ+高さ調節の2つの動きができるベッドです。

項目内容
動く部位背もたれ(背上げ)+ベッド全体の高さ
高さ調節の意味介助者の身長に合わせてベッドを上げることで腰への負担を軽減
向いている方介助量が増えてきた方・介助者の腰痛予防が必要な場合
月額レンタル目安(全額)約8,000〜15,000円
自己負担1割目安約800〜1,500円/月

⚠️ 介助者の腰痛予防に高さ調節は非常に重要です。「介助者の腸骨(骨盤の出っ張り)の高さ」にベッドを設定すると、前かがみにならず腰への負担が最小になります。

3モーターベッド

背上げ+膝上げ+高さ調節の3つの動きができるベッドです。最も機能が充実しています。

項目内容
動く部位背もたれ(背上げ)+膝(膝上げ)+ベッド全体の高さ
向いている方長時間臥床・褥瘡リスクが高い・ポジショニングが必要な方
月額レンタル目安(全額)約12,000〜25,000円
自己負担1割目安約1,200〜2,500円/月

「膝上げ」は何のためにある?

3モーターの最大の特徴は「背上げと膝上げの同時動作」です。これがなぜ重要かを理解しておきましょう。

背上げだけを行うと、体は重力で足元側にずり落ちていきます。このずれ・摩擦が皮膚を傷つけ、褥瘡(床ずれ)の大きな原因になります。膝を同時に上げることで体のずり落ちを防ぎ、ずれ・摩擦を最小限に抑えられます。

また食事を半座位(30〜60度)でとる方に3モーターは非常に有効です。背上げだけでは体がずり落ちて姿勢が崩れてしまいますが、膝上げとの組み合わせで安定した食事姿勢を保てます。

1・2・3モーター どれを選ぶ?判断フローチャート

  • 自力で寝返り・起き上がりができる → 1モーターで十分
  • 介助者が抱えて起こす場面がある → 2モーター以上を推奨
  • 長時間寝ている・褥瘡リスクがある・食事を半座位でとる → 3モーターを強く推奨
  • 全介助・寝たきり → 3モーター一択

介護ベッドの高さ設定|使う場面によって変える

2モーター・3モーターは高さが変えられますが、この機能を使いこなしているご家庭は意外と少ないです。正しい使い方を覚えると、介護の負担が大きく変わります。

場面ベッドの高さの目安理由
介助時(清拭・体位変換など)介助者の腸骨(骨盤)の高さ前かがみにならず腰痛予防になる
立ち上がり時利用者が座ったとき足裏が床につく高さ立ち上がりやすく転倒を防ぐ
就寝時低め(床から30〜40cm)転落時のリスクを最小化する

💡 場面ごとに高さを変えるのが理想です。就寝中は低く、朝の起き上がりや介助時には適切な高さに上げる、という使い方をぜひ習慣化してください。

特殊寝台付属品の選び方

介護ベッドと一緒に使う付属品も介護保険のレンタル対象です。付属品を適切に選ぶことで、安全性と使い勝手が大幅に向上します。

マットレス

介護ベッドの標準マットレスは「体に合わせたポジショニング」を優先したものです。一般の家庭用マットレスをそのまま使うと、ベッドの背上げ・膝上げ機能に追従せず、体がずれる原因になります。

種類特徴向いている方
ウレタンフォーム(標準)軽量・扱いやすい・バランスが良い体位変換ができる・皮膚リスクが低〜中程度
高反発ウレタン沈み込みが少ない・起き上がりやすい自分でベッド上の動作ができる方
低反発ウレタン体の形にフィット・体圧分散が高い長時間臥床・皮膚リスク中程度

⚠️ 褥瘡リスクが高い方には、通常マットレスではなく別途「床ずれ防止用具」(体圧分散マットレス)のレンタルを検討してください。

サイドレール(転落防止柵)

種類特徴注意点
差し込みタイプマットレスの下に差し込んで固定。簡単に取り外しできる認知症の方が自分で外すリスクがある
フレーム固定タイプベッドのフレームにしっかり固定取り外しに手間がかかる・ロック機能つきが安全
L字型介助バー兼用サイドレールと起き上がり補助バーが一体起き上がり動作をサポートしながら転落も防止

⚠️ サイドレールの隙間への体の挟まり事故が全国で報告されています。サイドレールとマットレスの間の隙間が大きい場合は、隙間を埋めるパッドを使用してください。特に認知症の方・寝相が悪い方は注意が必要です。

ベッドテーブル

種類特徴向いている方
オーバーテーブル(ブリッジ型)ベッドの上をまたいで設置。ベッド上での食事・作業に便利起き上がって作業・食事をする機会が多い方
サイドテーブルベッドの横に置くタイプ。水・薬・眼鏡などの小物管理にベッド脇に置き場所が少ない方

介助バー(グリップ)

ベッドフレームに差し込んで使う起き上がり補助グリップです。利用者自身が「つかまって立ち上がる」ために使う重要な付属品です。

  • 位置の設定:つかまったときに自然な角度で力が入る位置に設定する。高すぎると引っ張り上げる形になり危険
  • L字型バー:座った状態でつかまる横バーと、立ち上がり時に使う縦バーが一体になったタイプが使いやすい

リモコンの選び方と認知症の方への配慮

介護ベッドのリモコンは操作ボタンの数・形状・大きさに差があります。認知症の方や手の震えがある方にとって、リモコンの操作性は非常に重要です。

リモコンの種類特徴向いている方
シンプルタイプ(ボタン2〜4個)背上げのみ、または背上げ+高さだけ操作できる認知症の方・操作が難しい方
標準タイプ(ボタン6〜8個)全機能を操作できる理解力が保たれている方
大型ボタンタイプボタンが大きく押しやすい手の震えがある方・視力が低下している方

⚠️ 認知症の方への注意:誤操作でベッドを最大限まで起こしてしまい転落する事故が起きています。認知症の方が一人でベッドを使う場合は、リモコンを手の届かない場所に置く・ロック機能を活用するなどの対策が必要です。

介護ベッド周りの安全確保

介護ベッドを安全に使うためには、ベッド周りの環境整備も欠かせません。

確認ポイント目安
ベッドの両サイドのスペース最低でも片側70cm以上(移乗・介助のため)
ベッドと壁の距離サイドレールを操作できる幅(10〜20cm以上)
床の状態滑り止めマットの設置・コード類を整理する
照明夜間の起き上がり時に足元が見える明るさを確保
コールボタン・スマホの位置ベッド上から手が届く場所

よくある質問(Q&A)

Q. 介護ベッドの搬入・組み立ては自分でやるの?

A. 福祉用具貸与事業者が搬入・設置・使い方説明までおこないます。重量物のため、自分で運んだり組み立てたりする必要はありません。返却時の撤去も事業者が行います。

Q. 介護ベッドが寝室に入るか心配です

A. 事前に訪問して搬入経路・設置スペースを確認します。標準的なシングルサイズは幅約100cm×長さ約210cmです。廊下・ドアの幅が75cm以上あれば、多くの場合搬入可能です(ベッドを分解して搬入するタイプもあります)。

Q. 現在1モーターを使っているが、3モーターに変更できる?

A. いつでも変更可能です。介護度の変化・状態の変化に応じてケアマネジャーに相談し、ケアプランを変更してもらえばアップグレードできます。レンタルの大きなメリットのひとつです。

まとめ:介護ベッドは「今」だけでなく「これから」を見据えて選ぶ

  • モーター数は状態に合わせて選ぶ:起き上がりが困難→2モーター以上、長時間臥床・褥瘡リスク→3モーター
  • 高さ調節機能は積極的に使う:介助時・立ち上がり時・就寝時で高さを変える
  • 背上げ+膝上げの同時動作で褥瘡を防ぐ
  • 付属品(マットレス・サイドレール・バー)は本体と合わせて選ぶ
  • サイドレールの隙間事故に注意する
  • 状態が変わったら迷わず変更・調整する

介護ベッドは在宅介護の「要」です。選び方・使い方ひとつで、ご本人の生活の質も介護者の負担も大きく変わります。疑問があればいつでも専門相談員にご相談ください。

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特殊寝台の機能を選ぶ前に、介護ベッドを入れるタイミングも確認しておくと失敗しにくくなります。

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