滑り止めマットは、転倒してから使うものではありません。
現場では、
- 浴槽の底で足が滑る
- 洗い場で方向転換が不安
- 家族がお風呂を心配している
- 浴槽から出る時に足元が不安定
といった小さな変化が出た段階で検討することがありました。
特に入浴中の転倒は、裸で起こるため大きなケガにつながることがあります。
ただし、滑り止めマットも「人気商品を買えば安心」というものではありません。
大切なのは、どこで滑っているのかを確認することです。
浴槽内で滑るのか。
洗い場で滑るのか。
浴槽の底だけが不安なのか。
一部分だけ滑りやすいのか。
この違いによって、選ぶべき滑り止めマットは変わります。
この記事では、元福祉用具専門相談員の視点から、現場で提案する機会が多かった滑り止めマットを紹介します。
導入するタイミングを詳しく知りたい方は、先にこちらの記事も参考にしてください。
関連: 滑り止めマットはいつから必要?
滑り止めマットはランキングだけで選べません
この記事ではおすすめ商品をランキング形式で紹介します。
ただし、滑り止めマットは順位だけで選ぶ福祉用具ではありません。
現場で最初に確認していたのは、商品名ではなく「どこで滑るのか」でした。
例えば、浴槽の中で立ち上がる時に足が滑る方と、洗い場で方向転換する時に足元が不安な方では、必要なマットが違います。
浴槽内で使いやすい商品もあれば、洗い場に置きやすい商品もあります。
また、吸着タイプや貼るタイプは便利ですが、浴室の床材や浴槽の形状によって合わないこともあります。
「とりあえず滑り止めマットを敷けば安心」と考えるのではなく、どの場面で不安が出ているのかを確認して選びましょう。
まず確認したいのは「どこで滑るのか」
浴槽内で滑る場合
浴槽の底で足が滑る場合は、浴槽内で使いやすいタイプを検討します。
特に、浴槽内で立ち上がる時や、浴槽から出る時に足元がずれる方では、浴槽底にしっかり置ける滑り止めマットが候補になります。
ただし、浴槽のサイズや排水位置によっては、マットが合わないことがあります。
購入前に浴槽の底面サイズを確認しましょう。
洗い場で滑る場合
洗い場で方向転換する時や、シャワーチェアから立ち上がる時に滑る場合は、洗い場に置きやすいタイプを検討します。
洗い場用は、浴槽内用よりも広い範囲をカバーしやすい商品が多くあります。
一方で、排水口をふさいでしまうと水はけが悪くなるため、設置位置の確認が必要です。
浴槽の底だけ不安な場合
浴槽全体ではなく、浴槽の底だけ不安な場合は、吸着タイプが候補になります。
浴槽底に固定しやすく、足を置く位置がある程度決まっている方では使いやすいことがあります。
ただし、浴槽の底面に凹凸がある場合や、吸着しにくい素材の場合は注意が必要です。
一部分だけ滑る場合
浴室の一部だけ滑りやすい場合は、貼るタイプの滑り止めシートが候補になることがあります。
例えば、浴槽の出入り口付近や、足を置く位置が決まっている場所です。
ただし、貼るタイプは一度貼ると位置変更しにくいものもあります。
剥がした時の跡や、掃除のしやすさも確認しておきましょう。
滑り止めマット選びで最も多い失敗
滑り止めマット選びで多い失敗は、浴槽内用と洗い場用を混同してしまうことです。
浴槽内で使う商品と、洗い場で使う商品では、求められる安定性や排水性が変わります。
実際の現場でも、
- 浴槽内用と洗い場用を間違える
- サイズを確認せずに購入する
- 排水口をふさいでしまう
- 浴槽の底面に合わない
- カビ対策や乾燥のしやすさを考えていない
といったケースがありました。
滑り止めマットは比較的試しやすい福祉用具ですが、浴室は水・石けん・段差が重なる場所です。
購入前には、設置したい場所のサイズ、床材、排水口の位置、使用後に干せるかを確認しましょう。
現場でよく選定していた滑り止めマット5選
先に比較表で全体像をまとめます。
| 商品 | 主な使用場所 | 定番度 | 扱いやすさ | こんな人向け |
|---|---|---|---|---|
| 安寿 おく楽すべり止めマットKP / 楽天 | 浴槽内 | 高い | 高い | 浴槽の底で足が滑る方 |
| 安寿 おく楽すべり止めマットAR / 楽天 | 洗い場・浴槽内 | 高い | 高い | 洗い場でも浴槽内でも不安がある方 |
| トライタッチ Lサイズ / 楽天 | 浴槽内・洗い場 | 中 | 標準 | 広めに滑り止めを確保したい方 |
| 安寿 吸着すべり止めマット / 楽天 | 浴槽底 | 高い | 標準 | 浴槽の底だけ不安な方 |
| 貼るタイプ滑り止めシート / 楽天 | 一部分 | 中 | 位置次第 | 足を置く場所が決まっている方 |
第1位:安寿 おく楽すべり止めマットKP

第1位は、アロン化成の安寿 おく楽すべり止めマットKPです。
浴槽内で足元が滑る方に、まず検討しやすい滑り止めマットです。
現場では、浴槽の底で足が滑る、浴槽から出る時に踏ん張りにくい、といった相談で滑り止めマットを提案することがありました。
KPは浴槽内で使いやすいタイプとして説明しやすく、家族にもイメージしてもらいやすい商品です。
滑り止めマットは大きな工事が必要ないため、手すりや浴槽台よりも導入のハードルが低いことがあります。
そのため「最近お風呂でヒヤッとした」という段階で、まず検討する候補になりやすい商品です。
現場で出しやすい理由:
- 浴槽内の足元不安に説明しやすい
- 安寿シリーズで家族にも伝えやすい
- 大きな福祉用具に抵抗がある方でも検討しやすい
- 浴槽台や浴槽グリップと組み合わせて考えやすい
注意点:
浴槽の底面サイズや形状によっては、うまく収まらないことがあります。購入前にメーカーのサイズ情報を確認してください。
第2位:安寿 おく楽すべり止めマットAR

第2位は、アロン化成の安寿 おく楽すべり止めマットARです。
ARは、浴槽内だけでなく洗い場の足元不安にも考えやすいタイプです。
現場では、浴槽の中だけでなく、洗い場で方向転換する時や、シャワーチェアから立ち上がる時に不安がある方もいました。
そのような場合、滑っている場所が浴槽内なのか、洗い場なのかを確認してから商品を選びます。
ARは、洗い場も含めて足元の不安を見たい時に候補にしやすい商品です。
現場で出しやすい理由:
- 洗い場の足元不安にも説明しやすい
- 浴槽内だけでなく浴室全体の動作を考えやすい
- シャワーチェアとの位置関係を確認しやすい
- 排水位置を見ながら提案しやすい
注意点:
洗い場に置く場合は、排水口をふさがないか確認が必要です。水はけが悪くなると、かえって使いにくくなることがあります。
第3位:トライタッチ Lサイズ
第3位は、トライタッチ Lサイズです。
浴槽内や洗い場で、ある程度広めに滑り止めを確保したい時に候補になります。
滑り止めマットは、足を置く位置とマットの位置がずれてしまうと効果を感じにくくなります。
そのため、動作範囲が少し広い方や、足を置く位置が一定しない方では、サイズ感を重視して選ぶことがありました。
トライタッチのようなタイプは、浴室内でどの範囲をカバーしたいのかを考えながら検討すると分かりやすいです。
現場で出しやすい理由:
- 広めの滑り止めを検討したい時に候補になる
- 足を置く位置が少しずれる方にも考えやすい
- 浴槽内・洗い場のどちらで使うかを相談しやすい
- 家族が足元の不安を強く感じている場合に説明しやすい
注意点:
サイズが大きいほど安心というわけではありません。浴室の広さや排水口の位置に合わないと、設置しにくくなります。
第4位:安寿 吸着すべり止めマット

第4位は、安寿 吸着すべり止めマットです。
浴槽の底だけが不安な方に候補になりやすい商品です。
浴槽内で座っている時ではなく、立ち上がる時や出入りする時に足裏が滑る場合、足を置く位置にしっかり吸着するタイプが合うことがあります。
現場では、浴槽台までは必要ないけれど、浴槽の底が滑って怖いという相談で検討することがありました。
ただし、吸着タイプは浴槽の底面との相性が大切です。
凹凸が強い浴槽や、吸着しにくい素材では安定しにくいことがあります。
現場で出しやすい理由:
- 浴槽の底だけ不安な方に説明しやすい
- 大がかりな福祉用具に抵抗がある方でも試しやすい
- 足を置く位置がある程度決まっている方に考えやすい
- 浴槽内での立ち上がり動作と合わせて確認しやすい
注意点:
吸着状態は毎回確認が必要です。浮きやズレがあるまま使うと危険です。
第5位:貼るタイプ滑り止めシート
第5位は、貼るタイプ滑り止めシートです。
浴室全体にマットを敷くのではなく、一部分だけ滑りやすい場合に候補になります。
例えば、浴槽から出る時に足を置く場所、洗い場で方向転換する場所、シャワーチェアの前などです。
現場では、広いマットを置くと邪魔になる浴室や、排水口の位置の関係でマットを置きにくい浴室もありました。
そのような場合、貼るタイプを検討することがあります。
ただし、貼るタイプは便利な一方で、貼る位置を間違えると使いにくくなります。
また、剥がした時の跡や、掃除のしやすさも確認しておきたいところです。
現場で出しやすい理由:
- 一部分だけ滑る浴室で検討しやすい
- 大きなマットを置きにくい場合の選択肢になる
- 足を置く位置が決まっている方に考えやすい
- 排水口まわりを避けて設置しやすい
注意点:
貼る前に位置をよく確認しましょう。床材によっては貼り付きにくい場合や、剥がし跡が気になる場合があります。
滑り止めマットだけで足りないこともあります
滑り止めマットは、入浴中の転倒予防の第一歩として使いやすい福祉用具です。
ただし、すべての入浴動作を解決できるわけではありません。
浴槽内で立ち上がりにくい場合は、滑り止めマットだけでなく浴槽台を検討することがあります。
関連: 浴槽台おすすめ5選
浴槽をまたぐ時に手をかける場所がない場合は、浴槽グリップが合うことがあります。
関連: 浴槽グリップおすすめ5選
浴槽を立ってまたぐこと自体が危なくなっている場合は、バスボードを検討する段階かもしれません。
関連: バスボードおすすめ5選
洗い場で立ったまま体を洗うのが不安な場合は、シャワーチェアも合わせて確認したい用具です。
関連: シャワーチェアはいつから必要?
入浴補助用具全体の考え方を知りたい方は、こちらも参考にしてください。
関連: 入浴補助用具の種類と選び方
どの商品を選べばいいか迷ったら
どの商品を選べばいいか迷ったら、まずは「どこで滑っているのか」を確認してください。
浴槽の底で滑るなら、安寿 おく楽すべり止めマットKPが検討しやすいです。
洗い場で滑るなら、安寿 おく楽すべり止めマットARのように洗い場での使いやすさも考えたいところです。
浴槽の底だけが不安なら、吸着タイプが候補になります。
一部分だけ滑るなら、貼るタイプも選択肢になります。
迷った時は、現場で最も説明しやすかった浴槽内向けの定番として、まずは安寿 おく楽すべり止めマットKPから確認してみてください。
現場の一言
現場では「まだ大丈夫」と言われる方でも、浴槽の底や洗い場で一度ヒヤッとした経験がある場合は注意していました。
滑り止めマットは、浴槽台やバスボードのように大きな福祉用具ではありません。
それでも、入浴中の転倒予防の第一歩になることが多い用具です。
大切なのは、滑った後に慌てて選ぶことではありません。
浴槽の中なのか、洗い場なのか、一部分なのか。
不安が出ている場所を確認して、その場所に合った滑り止めマットを選びましょう。
まとめ
滑り止めマットは、入浴中の足元不安に対して試しやすい福祉用具です。
一方で、浴槽内用と洗い場用を間違えたり、サイズや排水口の位置を確認しないまま購入したりすると、使いにくくなることがあります。
今回紹介した商品は以下の5つです。
- 安寿 おく楽すべり止めマットKP
- 安寿 おく楽すべり止めマットAR
- トライタッチ Lサイズ
- 安寿 吸着すべり止めマット
- 貼るタイプ滑り止めシート
ランキングだけで選ぶのではなく、どこで滑るのか、どの動作が不安なのか、自宅の浴室に合うのかを確認して選ぶことが大切です。

