福祉用具を使いこなすコツ10選【元専門相談員が教える在宅介護を楽にするポイント】

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「福祉用具をレンタルしたけど、うまく使いこなせていない」「もっと便利な使い方があるはず」と感じていませんか?

福祉用具は置いておくだけでは効果がありません。正しく使いこなすことで、介護する側もされる側も毎日の負担が大きく変わります。元福祉用具専門相談員として15年間、多くのご家族に使い方のコツをお伝えしてきた経験から、実践的なポイントを10個にまとめました。

コツ① レンタル前に「使う場面」を具体的にイメージする

福祉用具を選ぶとき、「なんとなく歩行器が必要そう」ではなく、「朝トイレに行くとき」「居間から台所への移動時」など、具体的な場面をイメージしましょう。場面を絞ることで、本当に必要な用具が見えてきます。

ある方のケースでは、「歩行器が必要」と相談を受けて訪問してみると、困っていたのは「台所での立ち作業での疲れ」でした。歩行器より台所用の高さ調整ができる椅子の方がずっと役に立つことがわかり、その後大変喜ばれました。「何が困っているか」を丁寧に聞くことが、用具選びの出発点です。

コツ② 高さ調整は必ず行う

歩行器・杖・手すりなどは高さ調整が命です。高さが合っていないと、かえって転倒リスクが高まります。目安は「立った姿勢で手首の高さ」。ケアマネジャーや専門相談員に確認してもらうのが確実です。

よくある失敗が「配送時に高さ設定してもらったのに、後で家族がいじって元に戻していた」というケースです。高さ調整は本人の体型に合わせた重要な設定です。勝手に変えないようにしましょう。不安なら専門相談員に確認を。

コツ③ 介護ベッドはリモコン操作を家族全員で覚える

介護ベッドのリモコン操作は、ご本人だけでなく家族全員が覚えておくことが大切です。緊急時に「操作がわからない」では困ります。配送時に業者から必ず説明を受け、メモしておきましょう。

実際に「夜中に背上げしようとしたが操作がわからず、ご本人が窮屈な姿勢で朝まで過ごしてしまった」という事例もありました。リモコン操作のメモをベッドの見えやすい場所に貼っておくことをおすすめします。

コツ④ 車いすは「こまめに空気を確認」する

車いすのタイヤの空気が抜けると、走行が重くなり介護者の負担が増します。月に1回程度、タイヤの空気圧を確認する習慣をつけましょう。

「最近車いすが重くなった気がする」という相談で訪問すると、タイヤがほぼペチャンコになっていたことがあります。空気を入れてあげると「全然違う、軽い!」と驚かれました。こまめな点検がいかに大切かがわかる一例です。エアタイヤではなくノーパンクタイヤを選ぶという選択肢もあります。

コツ⑤ 歩行器は「前に出しすぎない」

歩行器を使うとき、前に出しすぎると前のめりになって転倒しやすくなります。一歩分だけ前に出すのが正しい使い方です。リハビリの専門家に一度正しい使い方を確認してもらうことをおすすめします。

「歩行器を使い始めてから逆に転びやすくなった」という相談がありました。見に行くと、歩行器を大きく前に出してから体を引き寄せる動きをしていました。正しい使い方を教えてからは転倒がなくなりました。道具は「正しく使う」ことで初めて安全になります。

コツ⑥ 手すりは「動線」に合わせて設置する

手すりは「なんとなくここに」ではなく、実際の動きに合わせた位置に設置することが大切です。立ち上がりの補助、廊下での移動、浴室など、動線を紙に書き出してから設置場所を決めましょう。

よくある失敗が「壁に設置したのに使われていない」ケースです。本人に聞いてみると「位置が低すぎて握りにくい」「反対側の壁の方が使いやすい」ということがよくあります。手すりは実際に使ってみてから位置を微調整することが大切です。工事不要の置き型手すりなら試行錯誤しやすいです。

コツ⑦ スロープは角度が重要

玄関や段差用のスロープは角度が急すぎると危険です。一般的に車いすの場合は「1:12(高さ1に対して長さ12)」以下の角度が推奨されています。レンタル業者に相談して適切な長さのものを選びましょう。

「コンパクトなスロープを買ったが急すぎて車いすが滑る」という相談を何度も受けました。見た目がコンパクトでも、高さが10cmあれば少なくとも120cmの長さが必要です。購入前に専門家に確認してもらうことをおすすめします。

コツ⑧ 定期的にケアマネジャーに「見直し」を依頼する

身体の状態は変わります。3〜6ヶ月に一度は福祉用具の見直しをケアマネジャーに依頼しましょう。状態が改善・悪化した場合、適切な用具も変わります。使わなくなった用具はすぐに返却してコストを削減できます。

「リハビリの成果で杖なしで歩けるようになったのに、以前の杖やシルバーカーをレンタルし続けていた」という例がありました。使わなくなった用具は返却できます。毎月のレンタル費用を無駄にしないためにも、定期的な見直しが大切です。

コツ⑨ 困ったらすぐに専門相談員に連絡する

福祉用具専門相談員は納品後のサポートも業務の一部です。「使い方がわからない」「この用具が合わない気がする」と感じたら、遠慮なく連絡してください。定期的な訪問点検も義務付けられています。

「こんな小さなことで連絡していいんですか?」と遠慮される方がいますが、小さな不具合・違和感を放置すると大きな事故につながります。「何かおかしい」と思ったら遠慮なく連絡してください。それが専門相談員の仕事です。

コツ⑩ 家族みんなで「使い方の共有」をする

福祉用具の使い方は、介護に関わる家族全員で共有することが大切です。主介護者だけが知っていても、その人が不在のときに困ります。使い方をメモしてリビングに貼っておくなど、見える化しておきましょう。

「普段の介護をしている妻は知っているが、週末に来る息子はわからない」というケースが多かったです。緊急時に使い方がわからなければ、道具があっても意味がありません。「使い方マニュアル」を一枚でも作っておくと、家族全員が安心できます。

よくある失敗パターン【まとめ】

  • 「とりあえずレンタル」→ 使わないまま月額費用だけ払い続ける
  • 「便利そうだから購入」→ 体の状態に合わず、押し入れに眠る
  • 高さ・位置の調整をしない→ 逆に体に負担がかかる
  • 家族全員への共有不足→ 緊急時に使えない
  • 用具の見直しをしない→ 状態が変わっても同じ用具を使い続ける

よくある疑問(FAQ)

Q. レンタルと購入、どちらが得ですか?

身体の状態が変わりやすい場合はレンタルが基本です。介護保険で対象になる用具(歩行器・手すり・介護ベッドなど)はレンタルで月額1〜3割負担が多く、状態が変われば交換もできます。状態が安定していて長期的に使う場合や、介護保険の対象外の用具(シルバーカー・シャワーチェアなど)は購入の方が結果的に安くなることもあります。迷ったらケアマネジャーに相談してください。

Q. 福祉用具の使い方を教えてもらえる機会はありますか?

はい、福祉用具専門相談員は納品時に使い方を説明することが義務付けられています。また、定期的な訪問点検(モニタリング)も行います。納品後に「やっぱり使い方がわからない」「もう一度教えてほしい」と思ったら、レンタル業者の相談員に連絡してください。遠慮なく再説明を依頼できます。

Q. 福祉用具が壊れたり不具合が出た時はどうすればいいですか?

すぐにレンタル業者(福祉用具専門相談員)に連絡してください。レンタル品の場合は、修理または交換対応が義務付けられています。購入品の場合も、保証期間内であればメーカーまたは販売店に連絡してください。「少しおかしいけど使える」という状態で放置するのは危険です。小さな不具合が大きな事故につながることがあります。

まとめ:福祉用具は「使いこなして」初めて効果が出る

福祉用具は置いておくだけでは意味がありません。正しく・安全に・継続して使うことで、在宅介護の質が大きく上がります。

10のコツを全部一度に実践しなくてもかまいません。「まず高さ調整を確認する」「使い方を家族で共有する」から始めてみてください。わからないことはケアマネジャーや福祉用具専門相談員に気軽に相談してください。専門家のサポートをフル活用することが、長く続く在宅介護の秘訣です。

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