歩行器は家の中だけ使っても問題ありません。壁や家具につかまる、方向転換でふらつく、寝室からトイレまでの移動が不安になった場合は、室内用歩行器を検討する目安です。
ただし、廊下の幅、敷居、家具の配置、本人の操作能力によっては、歩行器より手すりが合うこともあります。購入前に、実際の生活動線を専門職に確認してもらいましょう。
※この記事は、元福祉用具専門相談員として実際の相談現場で多かった事例や質問をもとに作成しています。
室内用歩行器を考えたい7つのサイン
- 壁伝いに歩くことが増えた
- 家具から家具へつかまり歩きをしている
- 方向転換でふらつく
- 寝室からトイレまでの移動が不安
- 杖だけでは姿勢が安定しない
- 家の中で転倒・つまずきが増えた
- 転倒への不安から室内の移動が減った
1つだけで必ず必要とは限りません。ただし複数当てはまる、以前より悪化している、転倒したことがある場合は早めに相談してください。
家の中だけ歩行器を使ってもよい理由
屋外では家族の付き添いや別の用具を使い、室内では歩行器を使うという選択もできます。福祉用具は、すべての場所で同じものを使う必要はありません。
- 夜間トイレまで安全に移動する
- 寝室から居間への移動を続ける
- 家の中での転倒不安を減らす
- 家族の付き添い負担を減らす
本人の目的と場所に合わせ、杖・歩行器・手すりを使い分けましょう。
室内用歩行器が向いている人
- 両手で支えると歩行が安定する
- 杖だけではふらつきが残る
- 歩行器の操作方法を理解できる
- 廊下や出入口に必要な幅がある
- 平らな室内を移動することが多い
歩行器が向かない可能性がある状況
- 廊下や出入口が極端に狭い
- 敷居や段差が多く、車輪や脚部が引っかかる
- 操作手順の理解が難しい
- 立位を保つこと自体が難しい
- 歩行器へ強く体重を預けても姿勢を保てない
歩行器が通れない場所では、置き型・突っ張り型などの手すりや、家具配置の変更が合うこともあります。
室内で安全に使うための7つの確認事項
| 確認場所 | 安全対策 |
|---|---|
| 廊下・出入口 | 歩行器と身体が余裕を持って通れる幅を確保する |
| 敷居・段差 | 無理に越えず、段差解消や別の動線を検討する |
| 床 | 小さな敷物、コード、新聞などを置かない |
| 家具 | 歩行器が方向転換できる配置にする |
| 夜間 | 足元灯を付け、歩行器を手の届く位置に置く |
| 高さ | 肘を軽く曲げて握れる高さに合わせる |
| 点検 | 脚ゴム、タイヤ、ネジ、ブレーキを確認する |
固定型とキャスター型はどちらがよい?
| 種類 | 特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 固定型 | 安定性が高く、持ち上げて前へ進める | 持ち上げる力とバランスが必要 |
| キャスター型 | 車輪で滑らせて進める | 歩行器だけが先に進まないよう調整が必要 |
本人の歩行状態で適する種類が変わります。「固定型歩行器とキャスター型の違い」も確認してください。
導入前に実際の家で試す
カタログの寸法だけでは、本人が歩いたときの幅や方向転換のしやすさまで分かりません。可能なら福祉用具専門相談員に自宅を見てもらい、次の動線で試します。
- ベッドからトイレ
- 居間から食卓
- 廊下と出入口
- 方向転換する場所
介護保険を利用できる場合はレンタル対象になることがあります。条件は「歩行器の介護保険レンタルと選び方」をご覧ください。
本人が家の中で使いたがらないとき
「危ないから使って」と責めるより、「夜のトイレだけ試さない?」「居間まで楽に行く方法を一緒に考えよう」と、使う場面を限定して提案します。
詳しい対応は「家の中で歩行器を使わない親への対応」で解説しています。
急な変化は受診を優先
急に歩けなくなった、片側だけ力が入らない、ろれつが回らない、強い痛みやめまいがある場合は、歩行器の導入だけで様子を見ず医療機関へ相談してください。
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よくある質問
室内用の歩行器は介護保険でレンタルできますか?
歩行器は介護保険の福祉用具貸与の対象で、室内用も含まれます。なお2024年4月から、歩行器(歩行車を除く)はレンタルと購入を選べるようになりました。短期間で状態が変わりそうならレンタル、長く同じものを使う見込みなら購入という判断になりますが、どちらが適するかはケアマネジャーと福祉用具専門相談員が状態を見て説明します。
レンタルすると月いくらくらいかかりますか?
自己負担は月額の1〜3割ですが、金額は機種と事業者の設定で変わります。同じ地域でも事業者ごとに違うため、担当ケアマネジャー経由で見積もりを取ってください。点検や機種交換、故障時の対応が含まれるかも合わせて確認しておくと比較しやすくなります。
家の廊下が狭いのですが使えますか?
通れるかどうかは歩行器の幅より「本人と歩行器が一緒に通れる幅」で判断します。曲がり角と、トイレ・洗面所の出入り口が最初の関門です。敷居や段差があると前輪が引っかかるため、カタログの寸法だけで決めず、必ず実際の家で試してください。通れない場合は、その区間だけ手すりにする方法もあります。
室内用と屋外用を1台で兼用できますか?
難しいことが多いです。屋外用は安定性を優先して幅が広く、家の中では取り回せません。逆に室内用を屋外で使うと、段差や傾斜、路面の凹凸で不安定になります。無理に1台でまかなおうとすると、かえって危ない場面が増えます。外出の場面については歩行器を使うと外出が増える?をご覧ください。
歩行器と手すり、どちらを先に検討すべきですか?
移動する範囲で分けて考えます。立ち上がりや方向転換など「その場での支え」が中心なら手すり、寝室からトイレ、居間から台所のように「移動そのもの」が不安なら歩行器が向きます。両方使うご家庭も珍しくありません。手すりの考え方は手すりはいつから必要?にまとめています。
まとめ
歩行器は家の中だけ使っても問題ありません。壁や家具につかまる、方向転換でふらつく、夜間トイレが不安になったら相談の目安です。実際の生活動線で試し、本人に合う種類と高さを専門職に確認してもらいましょう。


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