「手すりを付けたほうがよさそうだけれど、どこに、どんなタイプを選べばいいのかわからない」と迷っていませんか。
在宅介護の現場では、手すりは転倒予防にとても役立つ一方で、設置場所やタイプを間違えると使いにくくなることがあります。たとえば、立ち上がりで支えたいのに廊下用の横手すりを選んでしまったり、歩行の支えにしたい場所で据え置き型を置いて動線を狭くしてしまったりするケースです。
結論からいうと、手すりは設置場所と用途で選ぶことが最重要です。この記事では、元福祉用具専門相談員の視点から、手すりの失敗しにくい選び方と、おすすめタイプをわかりやすく整理します。
先にタイプで選びたい方はこちら
▶ 立ち上がり補助で選びたい方はこちら
トイレ・ベッド周りで立ち座りを安全にしたい方向けです。
▶ 移動・歩行サポートで選びたい方はこちら
廊下・玄関などの移動時のふらつきが気になる方向けです。
手すりの選び方は4つだけ見ればOK
手すりは「とりあえず付ければ安心」というものではありません。まずは、どの動作を支えたいのかをはっきりさせると選びやすくなります。
設置場所:トイレ・浴室・廊下で役割が変わる
トイレでは立ち座り、浴室ではまたぎ動作や姿勢保持、廊下では歩行中のふらつき対策が中心になります。同じ手すりでも、使う場所によって必要な形や長さが変わります。
固定方法:据え置き・工事・吸着の違いを見る
据え置き型は工事なしで導入しやすく、ベッド横やトイレ周りで使いやすいタイプです。壁付けなどの工事タイプは、廊下や玄関など長く使う場所に向いています。吸着タイプは手軽ですが、壁や床の素材によっては安定しにくいことがあるため、補助的に考えるのが安心です。
高さ・握りやすさ:本人の動きに合っているか
手すりは高すぎても低すぎても力が入りにくくなります。立ち上がりで使うのか、歩行中に軽く支えるのかによって、握る位置も変わります。本人が自然に手を伸ばせる高さかを確認しましょう。
安全性:ぐらつき・耐荷重を必ず確認する
手すりは体重を預ける場面があるため、ぐらつきにくさと耐荷重の確認が大切です。特に立ち上がりで強く引っ張る方は、軽い簡易タイプでは不安が残ることがあります。
おすすめ手すりはタイプ別に選ぶ
ここでは、在宅介護で相談が多い使い方に合わせて、手すりを2つのタイプに分けて紹介します。
A:立ち上がり補助タイプ
3秒サマリー:結論、まずは立ち上がりを安全にしたいならこのタイプ。
立ち上がり補助タイプは、トイレ・ベッド周り・椅子周りなどで、座った姿勢から立つ動作を支える手すりです。据え置き型、ベッド用、トイレ用などが代表的です。
このタイプが向いている人
- トイレから立ち上がるときにふらつく人
- ベッドから起き上がる・立つ動作が不安な人
- 膝や腰に力が入りにくくなってきた人
- 工事なしで早めに対策したい人
現場でよく選ばれるケース
現場で多いのは、トイレやベッド周りで「立つ瞬間だけ支えがほしい」というケースです。歩いているときは何とか大丈夫でも、座った姿勢から立つときに足元が不安定になる方は少なくありません。
この場合、廊下用の長い手すりよりも、本人のすぐ横に置ける据え置き型や、ベッドに取り付けるタイプのほうが使いやすいことがあります。
商品例
- 据え置き型手すり:工事なしでトイレや椅子周りに置きやすい
- ベッド用手すり:起き上がりや立ち上がりの支えに使いやすい
- トイレ用手すり:便座からの立ち座りを安定させたいときに候補になる
比較するなら、まずは「どこで立ち上がるときに困っているか」を基準にすると選びやすくなります。
はじめての1台として選ばれることが多く、失敗しにくいタイプです。
B:移動・歩行サポートタイプ
3秒サマリー:結論、移動時のふらつきを減らしたいならこのタイプ。
移動・歩行サポートタイプは、廊下・玄関・浴室の出入り口など、移動中のふらつきを支える手すりです。壁付け手すりや玄関用手すり、段差まわりの手すりなどが候補になります。
このタイプが向いている人
- 廊下を歩くときに壁や家具に手をついている人
- 玄関の上がりかまちや段差でふらつく人
- 夜間トイレまでの移動に不安がある人
- 家の中の動線全体を安全にしたい人
現場でよく選ばれるケース
移動中の転倒リスクは、本人が「まだ歩ける」と感じている段階でも出てきます。特に夜間や寝起き、玄関の段差、浴室へ向かう動線では、ちょっとしたふらつきが転倒につながることがあります。 夜間のトイレ移動の安全対策として、ポータブルトイレを寝室に設置するケースもあります。ポータブルトイレはいつから必要かもあわせてご覧ください。
廊下や玄関の手すりは、本人の歩き方だけでなく、家の間取りや壁の強度も関係します。工事が必要なタイプは、ケアマネジャーや福祉用具事業所に相談してから決めると安心です。
商品例
- 廊下用の壁付け手すり:移動中に連続して支えやすい
- 玄関用手すり:上がりかまちや段差の昇り降りを支えやすい
- 浴室出入り口まわりの手すり:滑りやすい場所の姿勢保持に役立つ
比較するなら、まずは「どの動線でふらつくか」を基準にしましょう。廊下、玄関、浴室では必要な手すりの長さや固定方法が変わります。
はじめての1台として選ばれることが多く、失敗しにくいタイプです。
住宅内の転倒を防ぐには、手すりの設置も効果的です。
手すりのおすすめはこちらも参考にしてみてください。
比較まとめ:迷ったらどちらを選ぶ?
| タイプ | 向いている人 | 選び方の目安 |
|---|---|---|
| 立ち上がり補助タイプ | トイレ・ベッド周りで立ち座りが不安な人 | 迷ったらまず候補にしたい |
| 移動・歩行サポートタイプ | 廊下・玄関など移動中にふらつく人 | 動線全体の安全を整えたい |
迷った場合は、まずは立ち上がり補助タイプから考えるのがおすすめです。トイレやベッド周りは毎日使う場所なので、効果を実感しやすいことが多いです。
一方で、廊下や玄関で壁や家具に手をついている場合は、移動・歩行サポートタイプを検討しましょう。生活動線に沿って手すりを考えると、家の中全体の安全性を高めやすくなります。
入浴時の転倒対策もあわせて考えたい方は、シャワーチェアおすすめ(安定性・浴室対策別の選び方)はこちら。
転倒対策としては、シャワーチェアと手すりを併用するケースも多いです。シャワーチェアおすすめ(安定性・浴室対策別の選び方)はこちら。
介護保険と自費購入の違いも軽く確認
手すりは設置場所によっては介護保険の住宅改修の対象になります。壁に固定する工事系の手すりを検討する場合は、工事前にケアマネジャーや事業所へ相談し、必要な手続きを確認することが大切です。
一方で、据え置き型や工事不要の手すりは、自費購入として検討するケースが多いです。すぐに導入しやすい反面、本人の身体状況や設置場所に合うかは確認が必要です。
手すりを設置するタイミングについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
手すりはいつから必要?転倒を防ぐ設置タイミングと失敗しない選び方
まとめ:手すりは設置場所と用途で選ぶ
手すりは、商品名だけで選ぶよりも「どこで、どの動作を支えたいか」から考えると失敗しにくくなります。
トイレやベッド周りで立ち上がりが不安なら、まずは立ち上がり補助タイプ。廊下や玄関など移動中のふらつきが気になるなら、移動・歩行サポートタイプを検討しましょう。
タイプ別にもう一度確認する
▶ 立ち上がり補助で選びたい方はこちら
トイレ・ベッド周りで立ち座りを安全にしたい方向けです。
▶ 移動・歩行サポートで選びたい方はこちら
廊下・玄関などの移動時のふらつきが気になる方向けです。
生活動線からあわせて確認したい記事
手すりを商品タイプで選ぶ前に、どの生活動作を支えたいかを整理しておくと選びやすくなります。


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