車いすは原則「レンタル」がおすすめです。要介護認定を受けていれば、介護保険を使って月数百円〜数千円で借りられ、状態が変わったら交換もできます。
※この記事は、元福祉用具専門相談員として実際の相談現場で多かった事例や質問をもとに作成しています。
ただし、要支援の方・認定を受けていない方・一時的に必要な方・状態が安定していて長期使用する方は、購入の方が向いている場合があります。
| こんな場面 | レンタル | 購入 |
|---|---|---|
| 月々の負担を抑えたい | ◎ | △ |
| 状態が変わる可能性がある | ◎ | △ |
| 短期間だけ使いたい | ◎ | △ |
| 旅行・外出時だけ使いたい | △ | ◎ |
| 要支援・認定なしで対象外 | × | ◎ |
| 状態が安定し長く使う | ○ | ◎ |
この記事では、購入を検討する方向けに、現場でよく提案しているタイプを紹介します。まずは下の比較表で自分や家族に近いタイプを確認してください。
タイプ別おすすめ比較表
| こんな人に | モデル | 自走 | 介助 | 軽さ |
|---|---|---|---|---|
| 自分でこいで動きたい | カワムラサイクル SY22 | ◎ | ○ | ○ |
| 家族が押す場面が多い | カワムラサイクル ふわりす | △ | ◎ | ◎ |
| 室内中心・狭い通路が多い | 松永 ネクストコアくるり | ○ | ○ | ○ |
大切なのは「順位」より「使う場面と本人の状態」に合うかどうかです。とくに購入を考えるなら、家族が車に積み下ろしできる軽さかも必ず確認してください。下のタイプ別解説で、自分に近いものを確認しましょう。
タイプ別|車いすおすすめ3選
自分でこいで動きたい方に|カワムラサイクル SY22
こんな人に向いています
- 本人がまだハンドリムを操作できる
- 室内外どちらでも使いたい
- 自走中心だが、家族が押す場面もある
自走式の中ではバランスが取れており、室内・屋外どちらでも扱いやすいタイプです。介助ハンドルもあるため、本人がこげない日は家族が押すこともできます。
注意点:本人の上肢の力や認知面によっては、自走そのものが難しい場合があります。実際にこげるかを必ず確認してから検討してください。
※在庫や価格は変動するため、最新情報はリンク先で確認してください。
家族が押す場面が多い方に|カワムラサイクル ふわりす
こんな人に向いています
- 本人がこぐのは難しい
- 通院や外出で家族が押すことが中心
- 車への積み下ろしの負担を減らしたい
軽量介助車いすの定番モデル。押す側の操作がしやすく、車への積み下ろしも負担になりにくい設計です。本人の自走をあきらめる段階で選ばれることが多いです。
注意点:自走機能は補助的なので、本人が一人で動きたい場面では使いにくいです。介助者が常にいる前提で選びましょう。
室内中心・小回り重視の方に|松永 ネクストコアくるり
こんな人に向いています
- 家の中での移動が中心
- 廊下やトイレ前など、狭い場所での取り回しが課題
- 方向転換が多い住環境
前後にキャスターを配置した6輪車で、その場での回転や狭い通路での方向転換がしやすいタイプです。一般的な4輪の車いすでは曲がりきれない場所でも動かしやすい設計です。
注意点:屋外の段差や悪路では小径キャスターが引っかかりやすく、屋外メインの方には向きません。室内中心の方向けです。
なお、まだ自分で歩ける段階で「室内の移動が少し不安」という程度なら、車いすより歩行器の方が合う場合もあります。歩く力を保てるうちは、立って動ける道具を優先するのも選択肢です。
タイヤ選びで悩む方に|ノーパンクとエアの違い
車いすのタイヤには、大きく分けてノーパンクタイヤとエアタイヤがあります。「屋外専用」「室内専用」というほど明確な区分はなく、どちらも屋内外で使えますが、特徴は違います。
ノーパンクタイヤ
- 空気が入っていないため、空気入れ不要・パンクの心配なし
- メンテナンスが楽で、置きっぱなしでも使える
- 段差や悪路では振動が伝わりやすい
エアタイヤ
- クッション性があり、段差や悪路での振動を吸収しやすい
- 長距離移動や屋外利用が多い方には乗り心地が良い
- 空気圧の管理が必要で、パンクの可能性もある
現場では、「メンテナンスの手間を減らしたい家族にはノーパンク、屋外移動が多く乗り心地を重視するならエア」とお伝えすることが多いです。どちらが正解ということはなく、生活パターンに合わせて選ぶのが現実的です。
車いす選びで失敗しないための4つのポイント
① 自走か介助か、または両方か
本人が自分でこげる段階なら自走式、家族が押すのが中心なら介助式を選びます。状態が変わりやすい段階では、両方使える兼用タイプが安心です。
よくある失敗:「自走できるはず」と思って買ったが、実際にはこげなかった。事前に試乗で確認しましょう。
② 家族が車に積める重さ・サイズか
車に積む、玄関に出す、たたんで運ぶ──こうした場面で介助者が無理なく扱える重さかが重要です。とくに軽自動車に積む場合や、女性が一人で積み下ろしする場合は、折りたたみサイズと重さを必ず確認しましょう。
よくある失敗:「届いたけど重すぎて車に積めない」というケースは現場でも本当に多いです。本人の座り心地だけで選ばず、介助者が持ち上げられる重さかも判断材料に入れましょう。
③ 家の中で使えるサイズか
室内で使う場合は、廊下・トイレ前・玄関の幅も確認しておきましょう。標準サイズが入らない住宅も少なくありません。
よくある失敗:買ってから「家に入らない」「曲がれない」と気づくケース。事前にメジャーで測ることをおすすめします。
④ 長時間座るならクッションも検討する
1日の中で座っている時間が長い方、痩せ型でお尻が痛くなりやすい方、座位姿勢が崩れやすい方は、車いす本体だけでなく専用クッションもあわせて検討しましょう。お尻の痛み・前すべり・姿勢崩れ・床ずれ(褥瘡)のリスクを減らせます。
よくある失敗:本体だけ購入して長時間使った結果、お尻が痛くなる・床ずれができてしまうケース。デイサービスや施設で長く座る方ほど、クッションの有無が快適さに影響します。
現場の一言
現場では「まだ車いすは早い」と感じる方が多いです。確かに、車いすに乗ることをためらう気持ちは自然なものです。
ただ、無理に歩いて転倒するより、必要な場面で使い分けることで外出機会を保てるケースもよく見ます。買い物や通院は車いす、家の中は杖や歩行器──そういう使い分けも十分ありです。
車いすは「寝たきりの道具」ではなく、「外出をあきらめないための道具」。本人の不安を減らし、支える家族の負担も軽くしてくれる場合があります。
また、繰り返しになりますが、要介護認定をお持ちの方はまずレンタルから検討するのがおすすめです。状態の変化に合わせて機種を変えられますし、メンテナンスも事業者がやってくれます。購入が向くのは、レンタル対象外の方や、長期で同じ機種を使い続ける見通しが立っている方です。
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生活動線からあわせて確認したい記事
車いすを選ぶ前後では、外出前の玄関動作やベッドからの立ち上がりも見直しておくと、転倒予防につながります。
車いすを選ぶ前に、本人が「まだ歩けるのに」と抵抗を感じていないかも大切なポイントです。拒否感がある場合は、親が車いすを嫌がる理由と対処法も参考にしてください。


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