「歩行器を使ってほしいのに、全然聞いてくれない」「どう声をかければいいかわからない」——そんな悩みを持つご家族は、とても多いです。
拒否されるたびに言い争いになってしまったり、もう諦めるしかないかと感じたりすることもあるでしょう。でも、伝え方を少し変えるだけで、親が「使ってみようかな」と思えるようになることがあります。
この記事では、親が歩行器を嫌がる理由を整理しながら、受け入れてもらいやすい声かけのコツをお伝えします。
こんな場面、ありませんか?
娘「お父さん、最近ふらつくことが多いから、歩行器を試してみない?転んだら大変だよ。」
父「歩行器なんてまだ早い。俺はまだ大丈夫だから。」
娘「でも先日も危なかったじゃない。心配なんだけど……。」
父「あんなもの使ったら、余計に足が弱くなる。」
こんなやり取りが繰り返され、どうすればいいか途方に暮れている方も多いのではないでしょうか。
「嫌だ」の言葉の裏にある本当の気持ち
「嫌だ」「まだ必要ない」という言葉の裏には、複数の気持ちが隠れていることがほとんどです。単なる頑固さではなく、本人なりの理由があります。
年寄り扱いされたくない
歩行器を勧められることで、「もう自分は老人だと思われている」と感じる方は少なくありません。特に、これまで元気に過ごしてきた方にとっては、歩行器=「弱さのシンボル」に見えることがあります。
外で使うのが恥ずかしい
「外で歩行器を押していたら、みんなに見られる」「昔の知り合いに会ったらどう思われるか」という気持ちも、よくある理由です。歩行器が恥ずかしいと感じる理由については、別記事で詳しく解説しています。
「使ったら歩けなくなる」という不安
「道具に頼ると、足の力が落ちる」という誤解を持っている方もいます。実際には適切に使えば歩く機会が増えることが多いのですが、このイメージが先行して抵抗感につながっています。
現場の一言
「”嫌です”と言われたとき、私はまずその気持ちを受け止めます。なぜ嫌なのかを聞かずに勧め続けても、関係が悪くなるだけですから。」(福祉用具専門相談員・15年)
嫌がる理由を詳しく知りたい方は、親が歩行器を嫌がる理由と対処法もあわせて参考にしてください。
「危ないから使って」という声かけが逆効果になりやすい理由
家族が心配するあまり、「危ないから」「転んだらどうするの」という言葉をつい使ってしまうことがあります。ですが、この伝え方は逆効果になりやすいので注意が必要です。
「危ない」という言葉は、本人に「自分は弱い存在だ」と感じさせてしまいます。プライドを傷つけられたように感じると、反発心が強まり、むしろ頑なに拒否するようになることがあります。
また、「転倒予防のために使ってほしい」という気持ちが前面に出ると、歩行器が「衰えのサイン」として強調されてしまいます。本人の立場からすると、「老いを認めさせられている」と感じやすくなります。
ポイント
「危ないから」ではなく、「〇〇ができるようになるから」という視点に変えてみましょう。
歩行器に抵抗が強い方でも、「買い物や散歩を続けるための道具」としてシルバーカーなら受け入れやすい場合があります。本人が選びやすい候補は、シルバーカーおすすめランキングでも確認できます。
「やりたいことを続けるため」という伝え方に変えてみる
歩行器を「転ばないための道具」ではなく、「やりたいことを続けるための道具」として伝えると、受け取り方が変わることがあります。
たとえば、「庭の花の世話を続けたいなら、歩行器があると安心して動ける」「一人でコンビニに行けるようになったら、気分転換にもなる」という形で、本人が大切にしていることと結びつけて話してみましょう。
「できないから使う」ではなく「できることが増えるから使う」
歩行器を使い始めてから「また一人で散歩に行けた」「トイレに家族を呼ばなくてよくなった」と話してくれる方がいます。本人にとっての「自由」や「自立」につながることを見つけて、それを軸に話してみてください。
現場の一言
「”転ばないため”より、”散歩を続けるため”という言い方に変えたとたん、表情が変わる方がいます。本人にとっての目的を引き出すことが、最初のステップです。」(福祉用具専門相談員・15年)
歩行器がいつから必要なのかについては、歩行器はいつから必要?で詳しく解説しています。また、杖から切り替えを検討している方は杖では危険?歩行器へ変えるタイミングも参考にしてください。
「自分の役割のため」という視点で伝える
親御さんが「まだまだ家族の役に立ちたい」「孫の成長を見届けたい」という気持ちを持っている場合、その気持ちと歩行器を結びつけることができます。
「お父さんが元気でいてくれると、私たちも安心して仕事に行ける」「お孫さんの運動会を見に行くためにも、今のうちから動ける体を維持しよう」という形で伝えると、自分のためだけでなく家族のためという視点が生まれやすくなります。
家の中で杖を使わない状態が続いている場合は、家の中では杖を使わない親の記事も参考になります。
周りの同年代の声がきっかけになることもある
家族からいくら勧めても動かなかった方が、デイサービスで同年代の方が自然に歩行器を使っている姿を見て「じゃあ自分も試してみようか」と変わるケースは珍しくありません。
「一人だけじゃない」「みんな使っているんだ」という感覚が、受け入れへの心理的ハードルを下げる効果があります。同年代の友人や知人が使い始めたという情報も、効果的なきっかけになることがあります。
福祉用具専門相談員など第三者の言葉を借りる
家族の言葉は「心配しすぎ」と受け取られやすいですが、専門家から言われると素直に受け止めやすくなることがあります。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談して、訪問時に自然な流れで歩行器の話題を出してもらうのも一つの方法です。
現場の一言
「ご家族から頼まれて訪問すると、最初は警戒される方もいます。でも、道具の話ではなく”最近どんなことをしたいですか”から入ると、気持ちが解けてくることが多いです。」(福祉用具専門相談員・15年)
本人が選ぶ時間を作ることで受け入れやすくなる
「これを使いなさい」と決めてしまうのではなく、「どれが使いやすそうか一緒に選ぼう」という形で本人に選択肢を持たせると、受け入れてもらいやすくなります。
デザインや色、軽さ、折りたたみのしやすさなど、本人が「これなら使えるかも」と感じられるポイントを一緒に探してみましょう。自分が選んだものであれば、使い続けようという気持ちも生まれやすくなります。
歩行器とシルバーカーのどちらが合うかで悩んでいる場合は、歩行器とシルバーカーの違いを参考にしてみてください。
まず「少しだけ」から試してみることが長続きのコツ
「ずっと使い続けなければいけない」というプレッシャーを与えないことも大切です。「外出のときだけ」「トイレに行くときだけ」という小さな場面から始めることを提案してみましょう。
レンタルから試してみることで、「合わなければ返せばいい」という安心感が生まれ、心理的なハードルが下がります。介護保険を使えばレンタル費用も抑えられるため、試しやすくなります。
「できた」という体験が次につながる
歩行器を使い始めて「一人でトイレに行けた」「外に出られた」という小さな成功体験が積み重なると、自然と使う頻度が増えていきます。最初の一歩を「小さく」設定することが、長く使い続けてもらうための大切なコツです。
現場の一言
「最初は”一週間だけ試してみてください”とお伝えします。合わなければ変えればいい。その気軽さが、受け入れの入り口になることが多いです。」(福祉用具専門相談員・15年)
まとめ|声かけの「視点」を変えることが受け入れへの一歩
親が歩行器を嫌がるとき、無理に説得しようとするほど関係がこじれやすくなります。大切なのは、「危ないから」という不安ベースの伝え方から、「やりたいことを続けるため」という前向きな視点への転換です。
- 「嫌だ」の裏にある気持ちをまず受け止める
- 「危ないから」ではなく「〇〇ができるようになるから」に言い換える
- 本人が大切にしていることと歩行器を結びつける
- 第三者の声やデイサービスの場を活用する
- 本人が選ぶ場を作り、押しつけない
- 「少しだけ試す」小さな一歩から始める
歩行器を選ぶときの参考として、歩行器おすすめランキングもあわせてご覧ください。本人が「これならいいかも」と思える道具との出会いが、受け入れのきっかけになることがあります。
歩行器の選び方・おすすめはこちらで確認できます。


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