家具を持って立ち上がる親は要注意|手すりが必要になるタイミング

家具を持って立ち上がる親は要注意|手すりが必要になるタイミング 導入タイミング

「最近、テーブルを押さないと立てなくなった」
「リビングで立ち上がる時に、家具につかまるようになった」

※この記事は、元福祉用具専門相談員として実際の相談現場で多かった事例や質問をもとに作成しています。

高齢になると、立ち上がりの動作が少しずつ変化することがあります。

若い頃は意識せずにできていた「椅子から立つ」「床から立ち上がる」といった動作が、筋力やバランスの低下によって難しくなってくるのです。

この記事では、

  • テーブルや家具に頼って立つようになった時に考えたいこと
  • 転倒リスクが高まりやすい場面
  • 早めに取り入れたい対策

を、現場の経験を交えながら解説します。

テーブルや家具を使って立つようになる理由

テーブルを押して立ち上がる高齢者

足腰の筋力低下

加齢によって太ももやふくらはぎの筋力が低下すると、立ち上がりの「踏ん張り」が難しくなります。
特に、椅子から立つ際に足に力が入りにくくなると、体を支えるためについ手を使いたくなります。

バランス能力の変化

若い頃は無意識に保てていたバランスが、加齢とともに崩れやすくなります。
立ち上がる瞬間に体がぐらつくと、何かにつかまって安定を保とうとします。

椅子やソファの高さの問題

低めの椅子やソファは、立ち上がりに大きな力が必要です。
「ソファが低くて立てない」「椅子から立つ時に前のめりになる」という状態は、テーブルや家具に頼るきっかけになりやすい場所です。

こんな様子が増えたら注意したいサイン

ソファから立てず家具につかまる
  • テーブルを強く押しながら立ち上がる
  • ソファや低い椅子から一人で立てない
  • 立ち上がった後にふらつく
  • 廊下や部屋移動で壁や家具に触れながら歩く
  • 夜間に暗い中で家具を支えに移動している
  • 「何かにつかまらないと不安」という言葉が増えた

こうした状態が続くと、テーブルが動いて転倒したり、バランスを崩して転んだりするリスクが高まります。

テーブルや家具に頼ることの危険性

テーブルが動いてしまう

立ち上がる時に強く押すと、テーブルが滑ったり傾いたりすることがあります。
体重をかけている状態でテーブルが動くと、大きく前のめりになって転倒につながる危険があります。

夜間の移動は特に危険

夜間はふらつきや眠気が重なり、昼間よりも転倒リスクが高まります。
暗い中で家具を支えにしながら移動することは、特に注意が必要です。

家具につかまる人が増えると転倒リスクも高くなります

家具につかまって立ち上がる行動は、高齢者によく見られます。

ただし、家具は身体を支えるために作られていません。

テーブルや椅子は動くことがあり、力のかけ方によっては転倒につながることもあります。

現場でも「いつも同じ家具につかまっている」という状態が続くと、手すりや置き型手すりを検討するケースが多くありました。

こんな変化があれば手すりを考えるサインかもしれません

  • 立ち上がる時に毎回家具を探している
  • ソファやこたつから一度で立てない
  • 立ち上がる時に反動をつける
  • 家族が手を貸す場面が増えた
  • 家具が動いてヒヤッとしたことがある

立ち上がりが不安定になると、転倒だけでなく外出やトイレ動作にも影響しやすくなります。立ち上がるたびによろけるようになってきた段階の考え方は立ち上がる時によろけるようになったら?にまとめています。

テーブルや家具を支えにして立つ・歩く場面が増えている場合は、家の中の動線に合う歩行器を検討することもあります。室内で使いやすい候補は室内用歩行器おすすめランキングで確認できます。

家具を支えにして立つ動作が増えたら、固定されていない物に頼るより、立ち上がり位置に合う手すりを検討した方が安全です。種類を比べる場合は、介護用手すりおすすめ記事も確認してみてください。

早めに考えたい対策

椅子の高さを見直す

立ち上がりやすい椅子の高さに変更するだけで、テーブルへの依存が減ることがあります。
脚の長さを調整できる椅子や補高クッションの活用も有効です。
目安として、座った時に膝が90度になる高さが立ち上がりやすいとされています。

手すりを設置する

手すりを使って安全に立ち上がる

立ち上がりに使いやすい位置に手すりを設置することで、テーブルや家具への依存を減らせます。
居間・寝室・廊下など、よく使う動線上への設置が効果的です。

手すりはいつから必要?転倒予防だけではない”生活動線”を考えるタイミングもあわせてご覧ください。

介護ベッドを検討する

夜間の立ち上がりが特に不安定な場合、介護ベッドのサイドレール・手すり機能が役立つことがあります。
ベッドからの起き上がり・立ち上がりをサポートする機能があるため、夜間の転倒リスクを減らせます。

夜間の動線を整える

夜間に家具を支えに移動する高齢者

夜間に移動する経路の照明を確保することも重要です。
足元灯やセンサーライトの設置で、暗い中での移動が安全になります。

夜間トイレへの行き来が増えてきた方は、動線の見直しも一緒に検討しましょう。
夜間トイレが増えたら危険サイン?転倒予防と早めに考えたい対策もあわせてご確認ください。

「まだ大丈夫」で無理しすぎないことが大切

テーブルや家具に頼って立つようになっても、「まだ歩けているから大丈夫」と思いがちです。
しかし、この状態が続くと転倒リスクは確実に高まっています。

転倒してから慌てるのではなく、

  • 椅子の高さを見直す
  • 手すりを設置する
  • 介護ベッドを活用する
  • 夜間動線を整える

など、”今の生活を安全に続ける工夫”を少しずつ考えていくことが大切です。

玄関の段差や浴室のまたぎ動作など、立ち上がり以外にも転倒リスクが高い場面があります。玄関の段差が危ないと感じたら?浴槽またぎが怖くなったら?もあわせてご確認ください。

現場の一言

実際には「まだ歩けるから大丈夫」と思っていても、家具につかまる回数が増えること自体が身体機能の変化のサインになっていることがあります。

転倒してから手すりを考えるのではなく、「毎日同じ家具につかまっている」と気づいた時が見直しのタイミングかもしれません。

家具につかまることが増えた方へ

立ち上がりや移動が不安な場合は、生活動線に合わせた手すりを検討する方法もあります。

手すりはいつから必要?生活動線から考えるタイミング

工事が難しい場合はこちら

賃貸住宅や退院直後など、すぐに工事できない場合は置き型手すりが役立つことがあります。

突っ張り手すりの選び方

ベッドからの立ち上がりも大変になってきた方へ

寝起きの立ち上がりが負担になっている場合は、介護ベッドの導入が役立つこともあります。

介護ベッドの選び方

工事不要手すりの選び方・おすすめはこちらで確認できます。

工事不要タイプや据え置き型を含めて比較したい方は、手すりの選び方とおすすめ商品をまとめた記事をご覧ください。

よくある質問

家具の代わりにつかまれる器具はありますか?

床と天井で突っ張るタイプ、置くだけの据置型、ベッドに取り付ける介助バーなどがあります。工事をしないものは福祉用具貸与の対象になる場合があり、賃貸住宅でも使えることが多いです。選び方は工事不要で使える手すりで解説しています。

高齢者が立ち上がれなくなる原因は何ですか?

筋力低下だけとは限りません。椅子やソファが低すぎる、座面が柔らかすぎて沈み込む、膝に痛みがあるといった要因が重なっていることがよくあります。実際の相談現場でも、椅子を座面の高いものに替えるだけで立ちやすくなった例が多くありました。

椅子からの立ち上がりを助ける介護用品はありますか?

肘掛けのある椅子、座面を高くするクッション、立ち上がりを補助する据置型手すりなどがあります。まず膝の角度が直角より少し開くくらいの座面の高さになっているかを確認し、それでも立ちにくい場合に補助具を検討すると失敗が減ります。

手すりは介護保険で付けられますか?

壁に固定する工事を伴う手すりは住宅改修(支給限度基準額は原則20万円・自己負担1〜3割・着工前の申請が必要)、据置型や突っ張り型は福祉用具貸与の扱いになります。どちらに当たるかで手続きが変わるので、先にケアマネジャーへ相談してください。

家具につかまるのをやめさせたほうがいいですか?

やめさせるより、つかまる場所を安全なものに置き換えるほうが現実的です。本人が普段どこに手をつくかを一日観察すると、手すりを付けるべき位置が見えてきます。頭ごなしに止めると、支えなしで無理に立とうとしてかえって危険になることがあります。

この記事を書いた人

介護福祉ナビ運営者

元福祉用具専門相談員。

福祉用具の選定、住環境整備、退院支援などに携わった経験をもとに、在宅介護で役立つ情報を発信しています。

実際の相談現場で多かった悩みや失敗例をもとに、家族が判断しやすい形で解説しています。

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家全体の転倒予防を考えたい方は、親が家で暮らし続けるための住宅改修ガイド|転倒予防まとめもあわせてご覧ください。

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この記事を書いた人
マッツ

福祉用具専門相談員として15年以上、在宅で暮らす高齢者とご家族の福祉用具選定・住宅改修に関わってきました。保有資格は福祉用具専門相談員(指定講習修了)、福祉住環境コーディネーター2級、介護支援専門員(有資格)。現在は介護業界を離れているため、特定のメーカーや事業者の立場に縛られずに書けるのが強みです。制度は公的機関の情報を確認して正確に、現場のことは見てきたまま正直に。その方針で「介護福祉ナビ」を運営しています。滋賀県在住。

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