「玄関の段差でふらつくようになった」
「靴を履く時に不安定でヒヤッとする」
高齢になると、玄関の上がり框(あがりかまち)が負担になってくることがあります。
特に玄関は、
- 段差が高い
- 靴を履き替える
- 片足立ちになる
- 荷物を持つ
など、転倒しやすい条件が重なりやすい場所です。
ですが本人は、「まだ大丈夫」「いつもの家だから慣れている」と思っていることも少なくありません。
この記事では、
- 玄関の段差が危険になりやすい理由
- 注意したいサイン
- 自宅でできる対策
- 早めに考えたい福祉用具
を、現場でよくあるケースを交えながら解説します。
※この記事は、元福祉用具専門相談員として実際の相談現場で多かった事例や質問をもとに作成しています。
玄関は転倒が起きやすい場所です

上がり框は想像以上に負担が大きい
一般的な住宅では、玄関の上がり框は20〜40cm程度あることが多く、高齢者にとっては大きな段差になる場合があります。
特に、
- 足が上がりにくい
- バランスを崩しやすい
- 片足立ちが不安定
という方は注意が必要です。
靴を履く時にふらつきやすい
玄関では、
- 靴を履く
- 向きを変える
- 荷物を持つ
など、細かい動作が多くなります。特に立ったまま靴を履こうとしてふらつくケースも少なくありません。
靴箱や壁を持っている場合は注意

本人は無意識でも、
- 靴箱につかまる
- 壁に手をつく
- ドア枠を持つ
ようになっている場合があります。ですが靴箱は固定されていないことも多く、支えとしては危険な場合があります。
こんな様子が増えたら注意したいサイン
- 段差をまたぐ時によろける
- 靴を履く時に座り込む
- 玄関で時間がかかる
- 外出を嫌がるようになった
- 雨の日を特に不安がる
- 手すりを探すようになる
- 「転びそうで怖い」と言う
こうした状態が増えてくると、転倒リスクが高まっている可能性があります。
玄関の段差でふらつく場合は、靴の脱ぎ履きや上がり框をまたぐ位置に手すりがあると安心です。玄関・トイレ・ベッドまわりの候補を比べるなら、介護用手すりおすすめ記事も確認できます。
玄関での転倒を防ぐ工夫
座って靴を履ける環境を作る
玄関イスを置くだけでも、靴の履き替えが安定しやすくなることがあります。
特に、
- 片足立ちが不安
- 長く立てない
- 靴を履く時にふらつく
という方には有効です。
手すりを設置する

玄関では、
- 上がり框の昇降
- 方向転換
- 靴の履き替え
などで支えが必要になることがあります。工事不要タイプを活用するケースもあります。
手すりをいつから準備すべきか迷っている方は、手すりはいつから必要?転倒予防だけではない”生活動線”を考えるタイミングもあわせてご覧ください。
玄関に手すりが必要か迷う場合は、設置のタイミングを先に確認しておくと判断しやすくなります。詳しくは、玄関手すりはいつから必要?も参考にしてください。
置き型手すりを使うケースもある

退院直後など、すぐ工事できない場合は、スムーディやアットグリップなどの置き型手すりを使うケースもあります。まずは生活に合うか確認してから住宅改修を検討する流れもあります。
賃貸や、すぐに工事を決めにくい場合は、まず工事不要タイプで試す方法もあります。設置場所や選び方は、工事不要の手すりで確認できます。
歩行器を使うことで安定する場合もある
玄関前後の移動に不安がある場合は、歩行器を使うことで安定しやすくなることがあります。ただし玄関は狭いことも多いため、家の広さや動線に合うか確認が必要です。
歩行器の導入時期について詳しくは、歩行器はいつから必要?をご覧ください。
雨の日は特に注意
雨の日は、
- 靴底が滑る
- 床が濡れる
- 傘で片手がふさがる
など、さらに危険が増えます。「普段は大丈夫なのに雨の日だけ怖い」という方も少なくありません。梅雨どきの環境づくりは梅雨・雨の日に気をつけたい転倒リスクと環境づくりにまとめています。
雨の日の転倒リスクについては、介護靴はいつから必要?でも関連する内容を紹介しています。
外出を減らさないためにも早めの対策が大切
玄関の段差が怖くなると、
- 外出回数が減る
- デイサービスを嫌がる
- 買い物へ行かなくなる
など、生活範囲が狭くなることがあります。
ですが、手すり・玄関イス・動線の見直し・歩行器などで、安全に出入りしやすくなるケースもあります。
転倒してからではなく、「最近ちょっと怖そう」と感じた段階で、少しずつ環境を整えていくことが大切です。
玄関の段差解消や手すり設置を工事で行う場合は、介護保険の住宅改修が使えるケースがあります。申請の流れや対象工事は、介護保険の住宅改修制度も確認しておくと安心です。
夜間の転倒リスクが気になる方は、夜間トイレが増えたら危険サイン?転倒予防と早めに考えたい対策もあわせてご覧ください。
浴室でのまたぎ動作が不安な方は、浴槽またぎが怖くなったら?転倒予防と早めに考えたい対策もあわせてご確認ください。
玄関の段差だけでなく、玄関から室内へ向かう廊下で壁づたいに歩く様子がある場合も注意が必要です。廊下を壁づたいで歩くようになった時の転倒予防も参考にしてください。
玄関の段差が気になりはじめたら、室内でテーブルや家具を支えに立ち上がる動作にも注意が必要です。テーブルや家具を持って立つようになったら?転倒予防の対策もあわせてご確認ください。
→ 関連記事:外出を嫌がるようになったら?転倒不安と早めに考えたい対策
玄関の段差対策で手すりをすすめても、本人が嫌がることがあります。その場合は、親が手すりを嫌がる理由と対処法も確認し、無理に進めず受け入れやすい伝え方を考えてみてください。
工事不要手すりの選び方・おすすめはこちらで確認できます。
工事不要タイプや据え置き型を含めて比較したい方は、手すりの選び方とおすすめ商品をまとめた記事をご覧ください。
次に読むならこちら
- 玄関手すりのタイミングを確認する:玄関手すりはいつから必要?
- 工事なしで試したい方:工事不要の手すり
- 制度を確認したい方:介護保険の住宅改修制度
よくある質問
高齢者がつまずくのは、何cmくらいの段差ですか?
大きな段差より、2〜3cm程度のわずかな段差のほうがつまずきやすいという点に注意してください。大きい段差は本人も身構えますが、小さい段差は視界に入らず足も上がりません。玄関では、上がり框だけでなくドアの下枠(沓ずり)、たたきと三和土の継ぎ目、敷いたマットの縁が見落とされがちです。
上がり框が高くて、またぐのがつらそうです。
高さが20cmを超えると、片足立ちの時間が長くなって不安定になります。対策は①手すりで支えを作る ②式台(踏み台)を置いて一段ずつにする ③座って昇降するの3つです。式台は幅と奥行きが足りないとかえって危ないので、両足がしっかり乗るサイズを選んでください。
玄関に手すりを付けたいのですが、工事は必要ですか?
工事しない方法もあります。床と天井で突っ張るタイプや、重量で自立する据え置き型なら、賃貸住宅や「まだ工事までは踏み切れない」段階でも使えます。選択肢は工事不要で使える手すりにまとめています。介護保険の住宅改修で取り付ける場合は着工前の申請が必須です。
段差解消のスロープを玄関に置けますか?
置ける場合と置けない場合があります。安全な勾配を確保するには段差の高さに対してかなりの長さが必要で、玄関前にそのスペースが取れないことが多いためです。長さの計算方法と選び方は介護保険でレンタルできるスロープの選び方で解説しています。
靴の脱ぎ履きでふらつきます。どうすればよいですか?
立ったまま履かせようとしないことが第一です。玄関に椅子や式台を置いて座って履くだけで、転倒の場面をひとつ減らせます。実際の相談現場でも、玄関の転倒は「またぐとき」より「靴を履こうとして片足立ちになったとき」に起きているケースが多くありました。着脱しやすい面ファスナーの靴に替えるのも有効です。
家全体の転倒予防を考えたい方は、親が家で暮らし続けるための住宅改修ガイド|転倒予防まとめもあわせてご覧ください。


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