「みんなはどんなことで悩んでいるんだろう」「この悩み、私だけじゃないよね?」――在宅介護をしているご家族から、そんな声を何度も聞いてきました。15年間、福祉用具専門相談員として多くのご家庭を訪問する中で、同じ悩みを何度も何度も聞いてきました。今回は特によく聞いた悩みトップ5と、それぞれの具体的な解決策をお伝えします。
第5位「介護保険のサービスが複雑でよくわからない」
介護保険は制度が複雑で、初めての方には本当にわかりにくいです。「要介護度によって使えるサービスが違う」「区分支給限度額ってなんだ」「自己負担が1割か2割か3割かわからない」――こうした疑問が次々出てきて、どこに聞けばいいかもわからなくなりがちです。
解決策:まずケアマネジャーに「使えるサービスを全部教えてほしい」と頼むのが一番の近道です。自分で調べるより確実で早いです。要介護認定を受けたらケアマネジャーが担当につきますので、「初めてで何もわかりません」と正直に話してください。わかるまで何度でも聞いてOKです。
- 要介護認定の申請は市区町村窓口か地域包括支援センターへ
- 認定結果が出たらケアマネジャーを選んでケアプランを作成
- わからないことはケアマネジャーに遠慮なく何度でも聞く
- 介護保険証・負担割合証は必ず手元に保管しておく
第4位「介護と仕事の両立ができない」
働きながら介護をしている方から非常に多く聞いた悩みです。「仕事を辞めるべきか」「でも収入がなくなったら介護にかけるお金もなくなる」という板挟みになるご家族も多くいました。
解決策:法律で守られた制度を使い倒すことが大切です。多くの方が制度の存在を知らないまま介護離職してしまっています。
- 介護休業制度:対象家族1人につき最大93日取得可能。3回まで分割できる
- 介護休暇:年5日(対象家族2人以上なら10日)を1時間単位で取得可能
- 所定労働時間短縮等の措置:時短勤務・フレックスタイムの申請
- デイサービス・訪問介護の平日利用:仕事中の介護不在をサービスでカバー
- 会社の人事・上司への早めの相談:隠し続けると急な対応が難しくなる
第3位「親が介護サービスを嫌がる」
「他人に世話になりたくない」「知らない人に家に来てほしくない」と拒否するケースは非常に多いです。特に認知機能が低下している方の場合、なぜサービスを使うのか理解できず、強い抵抗を示すこともあります。
解決策:無理に押し付けず、「体験利用」から始めることが効果的でした。「1回だけ行ってみよう」という提案は受け入れてもらいやすいです。デイサービスで「友達ができた」「楽しかった」と通い始めるケースも多くありました。また、ケアマネジャーや主治医から話してもらうと、家族の言葉より聞き入れてもらえることも多いです。
第2位「家族間で介護の方針が違う」
施設か在宅か、誰が主に介護するか、介護費用をどう分担するか――家族間の意見の食い違いは深刻です。特に離れて暮らす兄弟姉妹が「もっとちゃんとしてほしい」と言ってくるケースでは、主介護者が追い詰められることがあります。
解決策:ケアマネジャーや地域包括支援センターを交えた話し合いが有効です。第三者がいることで感情的になりにくく、専門的な観点からの意見も聞けます。また、介護状態を「見える化」することも重要です。毎月の介護記録・費用・本人の状態を文書化して共有することで、「大変さが伝わった」というケースを何度も見てきました。
- 家族会議はケアマネジャーを交えてオンライン参加も活用する
- 「私が一番大変」という感情論より、記録・数字で現状を共有する
- 役割分担を文書化して全員が認識できるようにする
- 意見の違いは「優先順位をどこに置くか」の違いとして整理する
第1位「自分が倒れたらどうなるか不安」
圧倒的に多かった悩みが「自分が体調を崩したり入院したりしたら介護が止まってしまう」という不安です。特に、配偶者と二人で高齢の親の介護をしているご家族や、主介護者が一人の場合に強く感じられます。
解決策:今のうちにバックアップ体制を作っておくことに尽きます。「もしものとき」を想定した準備が、日常の安心につながります。
- ショートステイへの事前登録:緊急時にすぐ使えるよう、普段から施設と関係を作っておく
- 緊急連絡先の整備:家族以外に頼める人のリストを作っておく
- サービス内容の文書化:どのサービスをいつ使っているかを紙に書いて見える場所に置く
- ケアマネジャーへの「緊急時の対応依頼」:「もし連絡がとれなくなったら〇〇に頼んでほしい」と伝えておく
- 介護保険外サービス(生活支援)の把握:民間の見守りサービス・配食サービスも組み合わせる
Q. ケアマネジャーが頼りにならない気がします。変えることはできますか?
担当ケアマネジャーの変更は可能です。「相性が合わない」「連絡が取れない」「提案が少ない」と感じたら、遠慮せずに変更を検討してください。市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターに相談すれば、変更の手続きを教えてもらえます。ケアマネジャーとの相性は在宅介護の質に直結しますので、「合わないまま続ける」のは避けましょう。
Q. 介護費用が心配です。軽減できる制度はありますか?
いくつかの制度があります。①高額介護サービス費:同一月の介護保険自己負担が上限額を超えた分が払い戻される制度。②特定入所者介護サービス費(補足給付):施設入所時の食費・居住費を軽減。③社会福祉法人等による利用者負担軽減制度:低所得の方が対象。これらの制度はケアマネジャーか市区町村の介護保険担当窓口に相談することで利用できます。
まとめ
どの悩みにも共通して言えるのは、「一人で抱え込まず、早めに専門家に相談する」ことが解決への近道だということです。悩みを感じたら、まずケアマネジャーか地域包括支援センターに連絡してみてください。「そんなこと相談していいのかな」と思うような小さな悩みでも、専門家には毎日のように届く相談です。遠慮なく頼ってください。


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