「歩行車を買ったけど、なんだか使いにくい」「親に合う歩行車がどれかわからない」――そんな声をよく聞きます。歩行車は種類が多く、見た目だけで選ぶと後悔しやすい福祉用具のひとつです。
※この記事は、元福祉用具専門相談員として15年間、実際の相談現場で多かった事例や質問をもとに作成しています。
この記事では、歩行車と歩行器の違いから、屋外・屋内別の選び方、重量や座面など確認すべきポイントまでをわかりやすく解説します。
歩行車と歩行器の違いを知っておこう
「歩行車」と「歩行器」は似た名前ですが、用途が異なります。この違いを知っておくだけで、選び方がぐっとスムーズになります。
- 歩行車:4つの車輪がついており、屋外での移動・散歩・買い物などに向いています。座面がついているものが多く、疲れたときに休める設計です。
- 歩行器:主に室内での移動を支えるための道具です。固定型とキャスター付きがあり、短距離の移動や立ち上がり補助に使われます。
簡単に言うと、「外出時に使いたい」なら歩行車、「家の中での移動を安定させたい」なら歩行器が基本の考え方です。もちろん両方必要なケースもあります。
歩行車を選ぶ前に確認したい5つのこと
歩行車を選ぶ前に、次の5点を整理しておきましょう。ここを確認しておくと、お店やケアマネジャーへの相談もスムーズになります。
- 主に屋外で使うのか、屋内でも使うのか
- 買い物・散歩・通院など、どんな場面で使うことが多いか
- 途中で座って休む必要があるか
- 荷物を入れる場面が多いか
- 車への積み込みや自宅での保管場所があるか
特に「座って休む」ニーズがある場合は、座面付きの歩行車(シルバーカーとも呼ばれます)が必要です。座面のないシンプルな歩行車は軽くて動かしやすいですが、疲れやすい方には不向きです。
屋外・屋内別の選び方ポイント
屋外で使う場合
屋外では路面の凹凸や坂道を考慮する必要があります。以下のポイントを確認してください。
- タイヤの太さ:細いタイヤは舗装路向き。砂利道や段差が多い場合は太めのタイヤが安定します。
- ブレーキの効き:坂道を歩くことが多い場合は、両手でしっかりブレーキをかけられるタイプを選びましょう。
- 重量:車への積み降ろしを想定する場合、5kg以下の軽量モデルが使いやすいです。
- 座面の高さ:低すぎると立ち上がりに苦労します。座ったときに膝が90度になる高さが目安です。
屋内でも使いたい場合
玄関や廊下、トイレ前などで使う場合は、幅と小回りが重要になります。廊下の幅や玄関の段差を事前に計測しておくと、失敗を減らせます。
- 本体の幅:廊下の幅より10〜15cm小さいものを目安に選ぶ
- 回転半径:コンパクトなモデルは方向転換しやすい
- 段差への対応:玄関の段差(敷居)が高い場合はスロープの設置も検討する
失敗しやすい選び方と注意点
相談現場でよく見た「失敗パターン」を紹介します。購入前にぜひ確認してみてください。
大きすぎて玄関や店内で困った
安定感や収納力を重視して大きめを選んだ結果、玄関が通れない、スーパーの通路で方向転換できない、という事例は珍しくありません。安定感は大切ですが、実際に使う場所に合ったサイズを優先しましょう。
軽すぎて不安定だった
軽量タイプは持ち運びに便利ですが、体重をかけすぎると不安定になることがあります。体をどのくらい預けるかによって、必要な強度が変わります。試用して体重をかけてみることが大切です。
ブレーキが握れなかった
握力が低下している方や手指に関節の痛みがある方は、レバー式ブレーキが握れないことがあります。ループ式(手をかけるだけでブレーキがかかるタイプ)など、操作しやすいブレーキ形状を確認しましょう。
安全に使うためのコツ
歩行車は身体を完全に預ける道具ではありません。少し前に置いて、背筋を伸ばした姿勢で歩くことが基本です。前かがみになって体重をかけすぎると、かえって転倒しやすくなります。
- 座る前には必ずブレーキをかける
- 坂道では下り方向に体を向けてゆっくり歩く
- 段差の前では一時停止して確認する
- 荷物の入れすぎはバランスを崩す原因になる
- 定期的にタイヤの空気圧やネジの緩みを確認する
Q. 歩行車は介護保険でレンタルできますか?
歩行車(歩行補助つえを除く四輪型)は介護保険の貸与対象品です。ただし要介護2以上が原則で、要介護1・要支援の場合は原則対象外(例外あり)です。ケアマネジャーに確認してみましょう。
Q. 歩行車と歩行器はどちらを選べばいいですか?
主に屋外で使うなら歩行車、室内での移動安定を優先するなら歩行器が基本です。外出にも室内にも使いたい場合は、両方を場面ごとに使い分ける方法もあります。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談すると、本人の状態に合った選び方をアドバイスしてもらえます。
Q. 試用(試乗)はできますか?
福祉用具のレンタル事業者や福祉用具専門店では、実際に試して確認できる場合があります。ケアマネジャーを通じてレンタル業者に相談すると、試用手配をしてもらえることがあります。購入前に必ず試用することをおすすめします。
まとめ
歩行車を選ぶ際は、安さや見た目よりも「どこで使うか」「どんな動作を支えたいか」を最初に整理することが大切です。
屋外向け・屋内向けで必要な機能が変わります。重量・ブレーキ・座面の高さ・幅など、実際に使う場面を思い浮かべながら確認してください。可能であれば試用して、押す・曲がる・止まる・座るまで一通り試してみましょう。
わからないことはケアマネジャーや福祉用具専門相談員に気軽に聞いてみてください。あなたの状況に合った一台がきっと見つかります。


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