親が杖を「恥ずかしい」「老人っぽい」と嫌がるのは、珍しいことではありません。本人にとって杖は、老いや身体の変化を認める象徴のように感じられることがあります。
家族が安全を心配して強く勧めるほど、反発が強くなる場合もあります。気持ちを否定せず、本人が続けたい外出を目的に、見た目も含めて本人が選んだ杖を短時間から試しましょう。
※この記事は、元福祉用具専門相談員として実際の相談現場で多かった事例や質問をもとに作成しています。
杖を恥ずかしい・老人っぽいと感じる理由
- 急に高齢者になったように感じる
- 近所や知人の視線が気になる
- まだ自分は大丈夫と思いたい
- 弱ったと認めるようで抵抗がある
- 見た目が好みに合わない
- 杖を使うと筋力が落ちると思っている
こうした気持ちは、わがままではありません。まず「そう感じるよね」と受け止め、すぐに説得しようとしないことが第一歩です。
家族が避けたい声かけと言い換え例
| 避けたい言葉 | 伝わりやすい言い換え |
|---|---|
| もう年なんだから使って | また安心して散歩へ行ける方法を試さない? |
| 転んだら家族が困る | 少し疲れたときだけ使うのはどうかな |
| 杖がないと危ない | どれが歩きやすいか専門の人に見てもらおう |
| みんな使っている | 色や形は自分で選べるよ |
「転ばないため」だけではなく、「買い物を続ける」「旅行を楽しむ」「疲れたときに支える」ための道具として伝えると、受け入れやすくなることがあります。
杖を考えたい7つのサイン
- 歩くときにふらつく
- 壁や家具につかまることが増えた
- つまずきや転倒が増えた
- 片脚の痛みや力の入りにくさがある
- 長く歩くと姿勢が崩れる
- 外出への不安が強くなった
- 家族の腕につかまって歩く
1つだけで必ず杖が必要とは限りませんが、以前より悪化している、転倒した、生活範囲が狭くなっている場合は早めに専門職へ相談してください。
杖を受け入れやすくする4つのステップ
1.困っている場面を聞く
「歩けない」と決めつけず、「どこを歩くと疲れる?」「最近、段差は不安?」と具体的に聞きます。
2.使う場面を限定する
最初から毎日使う必要はありません。長い距離、通院、買い物など、本人が必要性を感じる場面だけ試します。
3.本人がデザインを選ぶ
色、柄、素材、持ち手、折りたたみ機能などを本人が選ぶと、「介護用品」ではなく外出用品として捉えやすくなります。
4.高さと使い方を専門職に確認してもらう
杖の長さや持つ側が合わないと、姿勢が崩れたり痛みが増えたりすることがあります。福祉用具専門相談員、理学療法士などに歩き方を見てもらいましょう。
おしゃれな杖を選ぶときのポイント
- 本人が気に入る色・柄か
- 身長に合わせて調整できるか
- 持ち手が握りやすいか
- 重すぎず、振り出しやすいか
- 杖先ゴムが摩耗していないか
- 折りたたみ式なら固定部が確実に止まるか
見た目だけで選ばず、安全性と身体への適合を優先します。「杖の種類と選び方」も参考にしてください。
杖だけでは支えが足りない場合
杖を使っても反対の手で壁や家具につかまる、ふらつきが強い、転倒を繰り返す場合は、歩行器や手すりが合う可能性があります。
判断の目安は「杖だけでは危険?歩行器へ替えるタイミング」をご覧ください。
急な変化は受診を優先
急に歩きにくくなった、片側だけ力が入らない、ろれつが回らない、強い痛み・めまい・息苦しさがある場合は、杖を選ぶ前に医療機関へ相談してください。
相談先と関連記事
病院のリハビリ職、福祉用具専門相談員、担当ケアマネジャー、地域包括支援センターなどへ相談できます。
よくある質問
杖を使いたがらないのはなぜですか?
「杖=年寄り」というイメージへの抵抗が最も多い理由です。加えて、近所の人に見られたくない、まだ自分は大丈夫だと思いたい、持ち歩くのが面倒といった理由が重なっていることもあります。
高齢者が杖を使うデメリットはありますか?
高さが合っていない杖や身体に合わない種類を使うと、かえってバランスを崩すことがあります。また片手がふさがるため、荷物の持ち方にも注意が必要です。導入時に高さと使い方を専門職に確認してもらいましょう。
何歳から杖を使うものですか?
年齢で決まるものではありません。歩く速さが落ちた、段差でつまずくようになった、外出先で手すりを探すようになったなど、生活の中の変化が判断の目安になります。
おしゃれな杖はどこで買えますか?
福祉用具店のほか、デザイン性の高い杖を扱う専門店や通販でも購入できます。色や柄を本人に選んでもらうと、「持たされた」ではなく「自分で選んだ」という気持ちになり受け入れられやすくなります。
杖は介護保険でレンタルできますか?
松葉杖・多点杖・ロフストランドクラッチなどは、条件を満たせば介護保険のレンタル対象です。一般的なT字杖は対象外で自費購入になります。詳しくは介護保険でレンタルできる歩行補助つえの選び方をご覧ください。
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杖を受け入れるまでの間、外出をあきらめないために
杖をすすめても受け入れてもらえない時期は、家族が付き添える範囲でしか外出できなくなりがちです。通院や買い物の付き添いだけを1時間単位で頼める介護保険外のサービスもあります。家族以外の人が同行することで、本人が支えを受け入れるきっかけになることもあります。
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※杖は実際の歩き方を見てもらったうえで選ぶ必要があります。まずは担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員へ相談してください
まとめ
親が杖を恥ずかしい、老人っぽいと感じるときは、説得より納得が大切です。本人の気持ちを受け止め、続けたい生活を目的に、本人が選んだ杖を必要な場面から試しましょう。高さと使い方は専門職に確認してください。


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